天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第十九章 トリックスター編

第58話‐1 ゼウスの狙い

第58話「ゼウスの狙い」


マスターの通告が終わり、その場に残された美少年達4人。
アルバム発売に続いて、今度は2組のユニットに分かれてライバル対決をすることになり、彼らは困惑していた。


そんな中、最初に口を開いたのはガニュメデスだった。


「みんな…本当にごめん……！！僕は、運営者であることを君達に隠してて、裏切り者と思われても仕方ない。それなのに…」

ガニュメデスは深く頭を下げて3人に謝罪した。

だが・・・

「お前なぁ、急に記者会見なんか開いて焦っただろ！けど、お前が戻ってきてくれて良かったぜ」
そう言ってガニュメデスの頭をポンっと叩いたのはアドニスだった。


「ガニュメデス。僕達は君と話したいと思ってた。君が残ってくれて嬉しいよ」
ヒュアキントスも笑顔で語りかける。


「ふん。お前を許したわけじゃないが、脱退するなんて無責任だ。センターなら責任を果たせ」
ナルキッソスは相変わらずツンケンしているが、彼なりに仲間のことを想っていたのだろう。


そんな彼らの温かい言葉に感動したのか、ガニュメデスの瞳には涙が浮かんでいた。

全員がガニュメデスを責めるような素振りは一切なかった。


「みんな……！僕は、本当は脱退なんてしたくなかった。みんなと一緒にいたいのが本音だ。でも許してくれると思わなかったから……」

そう吐露するガニュメデスに対し、ヒュアキントスは彼の肩をポンポンと叩いて言った。


「お帰り。ガニュメデス」
「あ、ありがとう…。僕は、運営者はもう辞める。メンバーとしてだけ、君達といたいんだ！」



彼は今やっとメンバーに心を開いたのかもしれない。
こうして一つ危機を乗り越え、和解を果たした美少年達だった。


(ゼウス様…あなたは最初からこうするつもりだったんですね）

記者会見の後、ゼウスと交わした会話をガニュメデスは回想していた。