天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十二章 熱愛騒動編

第67話‐1 ペルセポネの嫉妬

第67話「ペルセポネの嫉妬」

B－PROJECTのイベントに突如乱入した、美の女神アフロディーテ。

彼女は観客の前で、突然アドニスの唇を奪ったのだった。


ファンの前でキスをされるというあまりに大胆な行動にアドニスは放心状態になっていた。

しかも、その相手が憧れの存在でもあるアフロディーテなのだから尚更である。
アドニスが固まっている間に、アフロディーテは唇を離して微笑んだ。

「いい？絶対に勝ちなさい。これは命令よ」
「は…はいぃ・・・」

アドニスは顔を赤くしてそう頷くしかできなかった。

他の3人も、唖然としてその様子を見守ることしかできなかった。
こうして、波乱の展開のままイベントは終わった。


***

翌日。
昨日のアルバム発売イベントで起きた、アフロディーテによる発表とアドニスとのキスは、記者によりTVやネットニュースなどで大きく取り上げられていた。

SNSでも大騒ぎになっており、トレンドワードの上位に上がり、TVニュースでも話題沸騰だった。
その話題は当然、神達にも届いていた。

TVの映像で、アフロディーテがアドニスにキスをする場面が大きく映し出されていた。


それを見て、思わず手に持っていたマグカップを落とした女神がいた。

アドニスの熱狂的ファンであるペルセポネである。


(嘘…。アドニス君が……)

ショックを受けて呆然としていた。だが次第にいろいろな感情が湧き上がってきた。

（許せない……！私のアドニス君に手を出すなんて！！）
怒りのあまり、わなわなと震えていた。

ペルセポネは、アドニスのことはあくまでファンとして好きであって、恋愛感情を抱いているわけではない。
だが、自分の推しキャラを横取りされたような気持ちになった彼女は、どうしても許せなかったのだ。

自分は節度を持っているのに、あっさり横取りされたようで悔しかった。


(アドニス君はみんなのものなのに！ファンの前で、あんな堂々と手を出すなんて…まるで自分の物だとアピールしているみたいじゃない！）

アフロディーテは複数愛者として有名だった。彼女は奔放で束縛を嫌うので、気に入った男を片っ端から手を出しているのである。
そんな女神に対して、むくむくと嫉妬心を抱いた。


あまり関わりはないものの、前々から良い気持ちを抱いていなかっただけに、余計に腹立たしい気持ちになるのだった。

(アドニス君…あの女ひとに弄ばれるんじゃ……そんなことさせないわ！私が守ってあげないと！）


ペルセポネの悪癖である暴走が始まろうとしていたーー 
女神同士の戦いが始まるーー！？