天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十二章 熱愛騒動編

第67話‐2 ペルセポネの嫉妬

アドニスのファンであるペルセポネがショックを受けたように、アフロディーテがファンの前でアドニスの唇を奪った事件はファンの間で大きな話題となった。

天界においてはアーティストの恋愛も認められている風潮だが、中には複雑な感情を持つファンも当然いた。

メディアの報道は、キスをされたアドニスの赤らめた顔をアップで映し、その顔が「萌える」「可愛い」などと話題になっていた。

そして、アフロディーテとアドニスの仲を噂する声もネットに溢れ、応援する派と批判する派に分かれて議論が繰り広げられた。

『恋愛を禁止されるなんて可哀想！2人の恋を応援してあげたい』
『純情なアドニスが手練れな女神に手を出されるのは嫌』

そんな議論が交わされていたが、その一方ではアフロディーテを批判する意見もあった。

『なんでわざわざファンの目の前でキスしたんだ？』
『自分が勝った時のご褒美ってことか？ふざけてるな！』
など、アフロディーテの行為に対する非難の声も多かった。


(アフロディーテ様……)

その議論はアドニスの耳にも届いていて、アフロディーテが悪者扱いされることに胸を痛めていた。

その一方、気になる女神にキスされた余韻に、ドキドキしながら過ごす日々が続いたのだった。

（アフロディーテ様の唇……柔らかかったなぁ……さりげなく胸も当たってて。やっぱデカいよなぁ。あの体を、俺は抱いたんだな）

そしてアフロディーテから告げられた言葉。
『絶対に勝ちなさい』

(勝って、恋愛禁止令を解除しろってことだよな？アフロディーテ様も俺と付き合いたいってこと、だよな)

そう解釈すると、アドニスの胸はますます高鳴った。それだけでなく下半身まで反応してしまう。

(やっぱり付き合いたい！それに、エッチしたい！！)

悶々とした欲望を抱えながら、アドニスは仕事に励むのだった。


ユニット対決の勝者には恋愛禁止令を解除する権利を与えるーー

この条件に、アドニスとヒュアキントスは平常心ではいられなかった。
なぜなら2人とも、想い人がいるからだ。

だが、この恋愛禁止令解除の権利を巡り、思いもよらぬ波乱が起きることになるとは、この時はまだ誰も知らなかったーー 

第68話に続く・・・