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第二十二章 熱愛騒動編
第68話-1 社会現象化する美少年達
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第68話「社会現象化する美少年達」
アルバム発売イベントも波乱はあったものの無事に終わり、美少年達はいよいよユニット対決に向けて本格的に動き出した。
しばらくは2組に分かれて準備やレッスンを行うことが多くなるだろう。
個々の強化のため、個別レッスンも同時にこなさなくてはならない。
美少年達は、ユニット対決が終わるまでの間、寮を出てユニットの組同士で生活を送ることを事務所から宣告された。
仲間といえど、一時的にライバルになるのと、ユニットの結束を深めるために決定したらしい。
それはつまり、一時的にバラバラになるということだ。
これまで4人で同じ屋根の下で暮らしてきた美少年達にとって、寂しいことだった。
特にヒュアキントスとアドニスは、別々になることに寂しさを感じていた。
「寂しくなるけど、お互い頑張ろうね!」
「そうだな、会えないわけじゃないし」
そう言って、別れを惜しむように握手を交わした。
2人は知る由もなかった。
これも裏で策略が張り巡らされていることなど。
***
「やあヒュアキントス君」
レッスンの合間、ある男がヒュアキントスに声をかけた。
「!!あなたは……」
その男は彼らの指示役であるマスターこと、狡知の神ロキだった。
彼はすでにアドニスに正体をバラしていたので、ヒュアキントスも正体を知っている。
だがそれだけでなく、彼には不信感を抱いていた。
なぜなら、彼には以前、アポロンとの恋路を妨害されたからだ。
「そんなに警戒しないでよ、君に謝りたくてね」
「……謝る?」
「アポロンのことさ。君達は恋愛禁止だからね。このままじゃマズイと思って横槍を入れたんだ。だけど、君を傷つけてしまったことは悪いと思ってる。済まなかった」
ロキは素直に謝罪した。
「……もういいですよ。僕が悪いので」
(それもあるけど、アポロンに一泡吹かせたいのも本音だったけどね…)
ロキはこっそりそう思いながら、話を続けた。
「君とナルキッソス君とは一時的に敵同士になっちゃうね。だが君達も僕にとって大事な子だ。だから、なるべくフェアな勝負にしたいと思っている。何か困ったことがあれば相談に乗るからね。それじゃ、また会おう」
それだけ言うと、ロキは去っていった。
(マスターは無茶ぶりばかりしてくるけど、僕達を育ててくれた人でもあるんだよな。それに、あの方は何だか憎めないな…)
ヒュアキントスは少し複雑な気持ちで、ロキを見送った。
心なしかロキは複雑そうな表情を見せたように見えた。
まるでこれから起こることを憂いているかのようにーー
だが単純なヒュアキントスは深く考えることはなかった。
アルバム発売イベントも波乱はあったものの無事に終わり、美少年達はいよいよユニット対決に向けて本格的に動き出した。
しばらくは2組に分かれて準備やレッスンを行うことが多くなるだろう。
個々の強化のため、個別レッスンも同時にこなさなくてはならない。
美少年達は、ユニット対決が終わるまでの間、寮を出てユニットの組同士で生活を送ることを事務所から宣告された。
仲間といえど、一時的にライバルになるのと、ユニットの結束を深めるために決定したらしい。
それはつまり、一時的にバラバラになるということだ。
これまで4人で同じ屋根の下で暮らしてきた美少年達にとって、寂しいことだった。
特にヒュアキントスとアドニスは、別々になることに寂しさを感じていた。
「寂しくなるけど、お互い頑張ろうね!」
「そうだな、会えないわけじゃないし」
そう言って、別れを惜しむように握手を交わした。
2人は知る由もなかった。
これも裏で策略が張り巡らされていることなど。
***
「やあヒュアキントス君」
レッスンの合間、ある男がヒュアキントスに声をかけた。
「!!あなたは……」
その男は彼らの指示役であるマスターこと、狡知の神ロキだった。
彼はすでにアドニスに正体をバラしていたので、ヒュアキントスも正体を知っている。
だがそれだけでなく、彼には不信感を抱いていた。
なぜなら、彼には以前、アポロンとの恋路を妨害されたからだ。
「そんなに警戒しないでよ、君に謝りたくてね」
「……謝る?」
「アポロンのことさ。君達は恋愛禁止だからね。このままじゃマズイと思って横槍を入れたんだ。だけど、君を傷つけてしまったことは悪いと思ってる。済まなかった」
ロキは素直に謝罪した。
「……もういいですよ。僕が悪いので」
(それもあるけど、アポロンに一泡吹かせたいのも本音だったけどね…)
ロキはこっそりそう思いながら、話を続けた。
「君とナルキッソス君とは一時的に敵同士になっちゃうね。だが君達も僕にとって大事な子だ。だから、なるべくフェアな勝負にしたいと思っている。何か困ったことがあれば相談に乗るからね。それじゃ、また会おう」
それだけ言うと、ロキは去っていった。
(マスターは無茶ぶりばかりしてくるけど、僕達を育ててくれた人でもあるんだよな。それに、あの方は何だか憎めないな…)
ヒュアキントスは少し複雑な気持ちで、ロキを見送った。
心なしかロキは複雑そうな表情を見せたように見えた。
まるでこれから起こることを憂いているかのようにーー
だが単純なヒュアキントスは深く考えることはなかった。
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