天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十三章 オリンポス12神登場編

第70話‐3 オリンポス12神の集合

「いや、彼らは処罰を保留されたまま1万３千年の間、眠りについていた。君が言う通り未遂に終わったし、更生の機会を与えてもいいと我々は判断した。だがなかなかその機会がなく、保留にされていたが、彼らを有効利用できると持ちかけてきた神がいてね」
「だからといって１万3千年も保留にしなくても…」

ヘパイストスが呆れたように言ったが、それに対してエロスは首を振った。


「理由は簡単だよ。彼らが犯そうとしたのは『情報漏えい』という重大な違法行為だ。地球人を助けるためとはいえ、天界に被害を及ぼしかねない行為だった。しかし、未遂に終わったのが複雑でね……。情状酌量の余地があると判断したものの、彼らは地球への思い入れが強く、また同じことを犯してしまう恐れもあった。時間の経過が必要と判断し、長期間眠らせることにしたんだ」

「なるほど。つまりこういうことか？彼らは大罪を犯す覚悟を持つほど地球への思い入れが強かった。長期間眠りにつかせて、目覚めた時に永い時が経過していれば、彼らの知っている地球ではなくなっている。そうなれば冷静に判断もできるだろう」

アテナが補足するかのようにそう言った。


「そういうことだね」
「更生の機会が地球の文化で芸能活動することとは…茶番だな」
ポセイドンは吐き捨てるように言った。

「しかし、真面目に活動を頑張っていて人気も博しているなら、更生は順調と言えるのではないでしょうか？」

ヘスティアが疑問を投げかけると、エロスが答えた。

「それが、順調に行っていたはずだが、彼らはルール違反を犯してね」
「待ってくれ。それは恋愛禁止令のことか！？そんなことくらいで、更生を却下するなんてあまりに理不尽だ！」

思わずアポロンは反論してしまう。彼らの頑張りを間近で見てきた者としては許せなかったのだ。

「ルールはルールだ。それにこれは更生の機会でもあるんだ。禁止されている上に神格を失っているのに恋愛に現を抜かすとは言語道断だよ」
「彼らは反省しているじゃないか！なぜこれ以上追い打ちをかける必要がある！？」

アポロンが激しく抗議したが、エロスは顔色一つ変えずにこう言い放った。

「彼らには猶予を与えたに過ぎないよ。本当に反省しているのか、見極める必要があるからね。そしてもう1つ、重要なことがある」
「何だって言うんだ！」
「このオリンポス12神の中に、彼らの恋愛相手がいるということだ」

「何……！？」

その言葉に一同は動揺を隠しきれなかった。

第71話に続く・・・