207 / 295
第二十四章 ユニット対決開始編
第73話‐2 ナルシスト
しおりを挟む
その夜、ヘルメスはユニット対決のもう1人の発案者であるロキと会合していた。
先日のオリンポス12神とエロスとの会議の内容を、彼にも伝えておく必要があったからだ。
「そうか……この所、どうもおかしな流れを感じていたが…。まさかここまで大ごとになるとはね……」
ロキは深刻な表情を浮かべていた。
「ええ。ただのお祭り騒ぎの企画の範疇を越えてしまった。まさか、あの子達の中に、処刑を保留され更生中の子がいたなんて知らなかったから…」
ヘルメスはそう言って俯いていた。
(まあ、僕は知ってたんだけど…それは黙っていよう)
ロキは内心そう考えていた。
「しかし、オリンポス12神まで介入してくるとはね。君から見て誰が厄介そうなんだい?」
「やはりポセイドン殿ですね。相当お怒りの様子だった。そしてアレスとヘパイストスが反対派で他はまだわからない。エロスもあの通り厄介な方ですし…」
「13人中11人を肯定派にしないといけないとなると、仮に残り全員が認めても、その4人から最低2人は変えさせないといけないわけか」
「ええ。それに現段階では6人が肯定側ですが、中立的な者もいる。どちらに転ぶかわかりません」
「ふむ……。なかなか厳しい状況だね」
「そうですね……。正直、私もどうすれば良いのか、さっぱりわからなくて……。ただ、一つだけ言えるのは、彼らを救うために全力を尽くすつもりです」
「そうだね。僕も協力するよ」
「ありがとうございます」
2人の間には重い空気が流れていた。
「だがね。対決は対決だ。僕は君に負けるつもりはないよ!」
ロキは好戦的な目つきでそう言った。
想定を越える事態にはなったが、未だヘルメスに負けたくないプライドは残っていた。
ヘルメスはそれを聞き、ニヤリと笑った。
「ふふっ、望むところです」
***
こうして、アイドルユニット対決は新たな局面を迎えようとしていたのだった。
数日後、アイドルユニット対決イベントの詳細が発表された。
会場はシリウスにあるスタジアムだった。
対戦方式は、各組毎にライブパフォーマンスをする。
その後、会場のファンによる投票結果、及びネット視聴者による投票で勝敗が決まる。
この勝敗によりひとまず、勝った側は先制点を取った形になる。
負けた側も、まだ逆転する可能性は残されている。
ヒュアキントスは、アドニス達と久しぶりに会えることを心待ちにしながら、レッスンや仕事をこなしていた。
日々が過ぎていき、ヒュアキントスとナルキッソスは仮レコーディングを行うことになった。
「曲は同じだけど歌詞が変わってるんだよね?どんな感じなんだろう?」
ヒュアキントスは少しワクワクしていた。ナルキッソスはいつもと変わらずクールな表情を崩さなかった。
だがーーー彼のクールな態度は一気に崩れることになるのだった。
先日のオリンポス12神とエロスとの会議の内容を、彼にも伝えておく必要があったからだ。
「そうか……この所、どうもおかしな流れを感じていたが…。まさかここまで大ごとになるとはね……」
ロキは深刻な表情を浮かべていた。
「ええ。ただのお祭り騒ぎの企画の範疇を越えてしまった。まさか、あの子達の中に、処刑を保留され更生中の子がいたなんて知らなかったから…」
ヘルメスはそう言って俯いていた。
(まあ、僕は知ってたんだけど…それは黙っていよう)
ロキは内心そう考えていた。
「しかし、オリンポス12神まで介入してくるとはね。君から見て誰が厄介そうなんだい?」
「やはりポセイドン殿ですね。相当お怒りの様子だった。そしてアレスとヘパイストスが反対派で他はまだわからない。エロスもあの通り厄介な方ですし…」
「13人中11人を肯定派にしないといけないとなると、仮に残り全員が認めても、その4人から最低2人は変えさせないといけないわけか」
「ええ。それに現段階では6人が肯定側ですが、中立的な者もいる。どちらに転ぶかわかりません」
「ふむ……。なかなか厳しい状況だね」
「そうですね……。正直、私もどうすれば良いのか、さっぱりわからなくて……。ただ、一つだけ言えるのは、彼らを救うために全力を尽くすつもりです」
「そうだね。僕も協力するよ」
「ありがとうございます」
2人の間には重い空気が流れていた。
「だがね。対決は対決だ。僕は君に負けるつもりはないよ!」
ロキは好戦的な目つきでそう言った。
想定を越える事態にはなったが、未だヘルメスに負けたくないプライドは残っていた。
ヘルメスはそれを聞き、ニヤリと笑った。
「ふふっ、望むところです」
***
こうして、アイドルユニット対決は新たな局面を迎えようとしていたのだった。
数日後、アイドルユニット対決イベントの詳細が発表された。
会場はシリウスにあるスタジアムだった。
対戦方式は、各組毎にライブパフォーマンスをする。
その後、会場のファンによる投票結果、及びネット視聴者による投票で勝敗が決まる。
この勝敗によりひとまず、勝った側は先制点を取った形になる。
負けた側も、まだ逆転する可能性は残されている。
ヒュアキントスは、アドニス達と久しぶりに会えることを心待ちにしながら、レッスンや仕事をこなしていた。
日々が過ぎていき、ヒュアキントスとナルキッソスは仮レコーディングを行うことになった。
「曲は同じだけど歌詞が変わってるんだよね?どんな感じなんだろう?」
ヒュアキントスは少しワクワクしていた。ナルキッソスはいつもと変わらずクールな表情を崩さなかった。
だがーーー彼のクールな態度は一気に崩れることになるのだった。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
プール終わり、自分のバッグにクラスメイトのパンツが入っていたらどうする?
九拾七
青春
プールの授業が午前中のときは水着を着こんでいく。
で、パンツを持っていくのを忘れる。
というのはよくある笑い話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
