天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十八章 ユニット対決最終結果編

第89話‐2 アドニスの決意

「大変申し訳ありません。今回は辞退させてください」
「え、ええ！？」

ロキは驚いて素っ頓狂な声を上げる。
まさかアドニスからそんな答えが出るとは思っていなかったのだろう。

「……理由を聞かせてもらおうか」
エロスは冷静な態度で尋ねる。

「神格を取り戻すことが俺の何よりの願いであることは変わりありません。ですが…俺はヒュアと一緒に取り戻したいと願ってます」

そう語るアドニスの表情は真剣そのもので、嘘偽りのない本心であることが伺えた。

「……なるほど。だけど、この機会を逃せばもう後戻りはできないよ？それでもいいのかい？」
「構いません。俺たちは必ず神格を取り戻します。ヒュアのこと信じてるんで大丈夫です」

アドニスは迷いのない目を見せると、自信満々に言い切った。

「そうか。では君の意思を尊重しよう」
「ありがとうございます。ですが！恋愛禁止令解除は有難く受けさせていただきます！」
「ああ、分かったよ。それじゃあこれで話は終わりだね。これからもよろしく頼むよ」

こうしてユニット対決は終わりを告げたのだった。

（これでいいんだ。俺が欲しかったものは手に入ったんだから）

そして決戦の時を迎えることになるのだった。

***

ユニット対決を終えた美少年達B－PROJECTの4人は、久しぶりに彼らの寮に戻っていた。

(何だか久しぶりに感じるな…また4人で暮らせるんだ！）
やはり4人が揃うことは特別なことだと感じるのだった。

「ヒュアキントス」

声をかけてきたのはエースであるガニュメデスだった。

「ガニュメデス…！おめでとう。悔しいけど、後悔はないよ」

ヒュアキントスは素直に、ガニュメデス達の勝利を祝福した。
そして彼らしい爽やかな笑顔を浮かべて言う。

するとガニュメデスも嬉しそうに微笑んだ。

「ありがとう。君達も、あそこまで成長するとは思ってなかった。ライバルとして不足なしだった」
ガニュメデスも彼らへの敬意を込めて答えた。

「ガニュメデス達も凄かったよ！本当に感動したし尊敬してる……！」
ヒュアキントスはそう言ってガニュメデスの手をギュッと握った。
まるで友情を確かめるかのように。

「よぉ、ヒュア、ナル。お前らかっこよかったぜー！」
そこに現れたのはアドニスだ。
相変わらず明るく軽い様子だが、どこか疲れているようにも見える。

「アドニス！君達もすごかったよ」
「ふん、お前達に勝てなかったのは悔しいが、よくやったと思うぞ」
ヒュアキントスとナルキッソスもアドニス達を褒め称える言葉をかけた。
そんな彼らに、アドニスは少し照れたように頭を掻いた。

「やあ、みんな揃ったようだね」

そこへ現れたのは、彼らの監督役であるアポロンであった。

「アポロン様！」

アポロンと恋仲にあるヒュアキントスは目を輝かせながら彼の名前を呼んだ。
他の3人も彼に注目する。

「今回のユニット対決はとても素晴らしいものだったね。君たちは本当に成長したと思うよ」
アポロンは満足そうな表情を浮かべている。

「仲間同士で対決することは過酷だったろうが、それぞれの弱点を克服する良い機会になっただろう」
そう言って彼は全員の顔を見回すように視線を動かした。
「アポロン様」

アドニスが徐に口を開く。

「なんだい？」
アポロンはすぐに反応して返事をした。

「俺たちは…俺とヒュアは……審判されているそうですね。オリンポス12神とエロス様から」
「！？」

(なぜそのことを……！？)

突然のアドニスの質問に驚くアポロンだったとガニュメデスだった。

第90話に続く・・・