天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第二十八章 ユニット対決最終結果編

第90話‐2 明かされる秘密

ヒュアキントスは、アドニスと2人でベランダに出て星空を眺めていた。
星々の光が彼らを優しく包み込むように輝いている。

「まさかこんなことになってたなんて…。確かに、僕達の罪は消えたわけじゃないけど……何だか実感が沸かないね」
そう言って微笑んだヒュアキントスの顔は少し寂しげだった。

「俺だってショックだったよ。正直言って怖い…。けど俺は、お前が処刑されるのは耐えられないんだ！だから絶対に勝ってみせる！」
アドニスはそう言って拳を握りしめた。

「僕も同じだよ。君が処刑されるなんて耐えられない。ユニット対決で君達とライバルになって勝負したけど、離れてみてやっぱり君達は大事な仲間だって思った」
「俺もだ。離れてみるとお前達の存在が大きいってことに気づいたんだ……本当に大切な存在だってことにさ。だからこそ、負けるわけにはいかない！必ず勝とうぜ！！」

(良かった。アドニスはアドニスのままだった。やっぱり君はそうだよね)

「うん！頑張ろう！」
2人は互いの手を強く握り合ったのだった。

『俺とお前は運命共同体だ』
ヒュアキントスは、アドニスにそう言われた時のことを思い出していた。

やはり2人は運命共同体なのだーー

大罪を犯して神格を失い、1万3千年の時を経てこの惑星シリウスで目を覚まし、天界にアイドル文化を普及させるという数奇な運命を辿ってきた2人は、まさに同じ運命を共有している2人だった。

だが2人は、彼らが思っている以上にまさしく『同じ運命を共有』していたのだったーー


***

ユニット対決が終わり、シリウス中を巻き込み社会現象にまでなったお祭り騒ぎも落ち着きを見せ始めていた頃のこと。

オリンポス12神の1人であり、ヒュアキントスとアドニスのかつての上司であった豊穣の女神デメテルは女神ヘラと会っていた。

「ヘラ。例の審判のことだけど。あなたは中立派を変える気はなさそうね」
「ええそうよ。私は中立の立場を取るつもりよ」

「あなたも彼らの活動を見たのでしょう？彼らは恋愛禁止令を一度犯したかもしれない。だけど、今は更生して真面目に頑張っているわ」
「……。あなたはかつて彼らの上司だったのだから、彼らを救いたい気持ちも分かるわ。でも私の立場としては簡単に認めるわけには行かないのよ」
「簡単に…ね。だったら、彼らの出生についてあなたに話すわ」
「えっ……？」