天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第三十一章 最終章③ 真相の開示編

第101話‐3 審判の結果

「君達が僕の心が動かせようが動かせまいが僕はどちらでも良かった。僕はヒュアキントスとアドニスに愛着を持っていたし、助けたいと思っていたのだから。だが試練を与えるためにあえて悪役になる必要があった。だがね……君達がパフォーマンスを通して僕に伝えてくれたこと……。正直に言うと、あの時僕の心は動いていた。まさか、君達が僕の本音に気付いているとは夢にも思わなかったからね」
「エロス様………」

「少し悔しいが、僕の負けだよ。君ら二人は、このまま無罪放免としよう。地球由来の文化の普及という目的も達成されたことだしね」
「「「「え………」」」」

美少年達4人は揃って驚きの言葉を発してしまう。

「良かった……！アドニス、ヒュアキントス…！君達は処刑を回避できたんだよ！」

ガニュメデスは歓喜のあまり思わず泣いてしまう。

「…………」
ナルキッソスはいつものように無表情だったが、目元は少し赤くなり口元はほんの少し微笑んでいた。

「あ…ありがとうございます！エロス様……」

ヒュアキントスとアドニスは礼を言う。
だがその表情は、他の美少年達ほど嬉しそうではなかった。

「演じる必要があったとはいえ、君達には意地悪をする形になり、済まなかった。そして、愚かな実験により君達を生み出したことも謝罪しよう。本当にすまなかった……！」

エロスは深々と頭を垂れる。

「……いえ、そんな……謝らないでください。エロス様が悪役を演じてまで、僕達のことを思ってくれていたこと、とても嬉しかったです」

ヒュアキントスは感謝の気持ちを伝える。

「ああ、ありがとうス。君達の優しさには救われるよ……」
エロスは安堵の表情を浮かべる。

エロスは回想をしていた。

以前、ナルキッソスが解雇されるかもしれない危機を乗り越えるため、美少年達がライブをした時のことだ。
皆で試練を乗り越え、そして孤立気味だったガニュメデスをアドニスが気にかけ輪に入れていた。

ライブ後の楽屋での彼らの様子を、エロスは陰で見守っていた。
※36話参照

（うん……これなら大丈夫そうだな。これからも彼らを見守っていこうかな…それにしてもあの子達は本当によくやってくれたよ…ありがとう、皆）


第102話に続く・・・