天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第三十二章 最終章④ 新たな出発編

第102話‐3 ライトワーカー

「アポロン様。今日も美しいですね」
「はは。それは君の方だよ、ヒュアキントス」

ヒュアキントスは恋人であるアポロンと会っていた。


ヒュアキントスとアポロンは恋人同士で仲睦まじい様子だ。
アポロンは相変わらずヒュアキントスのことを溺愛しており、ヒュアキントスもまたそんなアポロンを深く愛しているようだった。

だが、ヒュアキントスは自分の秘密を彼に打ち明けようとしていた。

「アポロン様、実はお話があるんです……」
「ん？どうしたんだい？」

ヒュアキントスは少し躊躇していたが、意を決して告白した。

「僕は……僕とアドニスは……実験生命体なんです………」
「……………え？」
ヒュアキントスの言葉にアポロンの表情が固まった。
彼は明らかに動揺していた。

（やっぱり……驚くよね……）
ヒュアキントスにはわかっていたことだった。

アポロンが自分の正体を知った時、どういう反応をするのか想像がついていたのだ。
それでもヒュアキントスは全てを伝えたかったのだ。

ヒュアキントスは、エロスから告げられた事実をアポロンに打ち明けたーー

「……ということなんです。僕は、実験によって人工的に作られた神です……」
ヒュアキントスの話を聞いたアポロンは暫く黙っていたが、やがて口を開いた。

「そうか……そうだったんだね……」
「はい……黙っていてごめんなさい……」
ヒュアキントスの表情は暗く沈んでいた。

自分の素性を知って、アポロンがどんな反応をするか怖くてたまらなかった。
だが、隠したくも騙すこともしたくなかったのだ。心から愛しているからこそ。

「ありがとう、打ち明けてくれて。私の気持ちは何も変わらない。君が君であることに変わりはないのだから」
「あ、ありがとうございます……！」
アポロンは優しい微笑みを浮かべていた。

その微笑みを見て、ヒュアキントスの瞳に涙が滲んだ。
そんなヒュアキントスの体をそっと抱き寄せ、頭を撫でるアポロン。

「よしよし、泣かないでおくれ」
「うぅ……すみません」

ヒュアキントスは真実を知っても受け入れてくれるアポロンのことをますます愛おしく思った。
だがーーー

「アポロン様。もう一つ大事なお話があります。
「なんだい？」

次に告げられたヒュアキントスの言葉に、アポロンは言葉を失うのだった。


第103話に続く・・・