天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第三十二章 最終章④ 新たな出発編

第103話‐1 神として

第103話「神として」

自分の正体をアポロンに打ち明けたヒュアキントス。
アポロンはそれでも変わらないと優しく受け入れたのだがーー

もう一つの重要な告白に、アポロンは言葉を詰まらせるのだった。


「アポロン様。僕……地球へ行きます」
「え………？」
「アドニスと一緒に、ライトワーカーに志願したんです。地球を助けるために、地球人に転生します」

その告白は、ヒュアキントスが実験で生み出された生命体だという事実以上にアポロンにとって衝撃的なものだった。
何故なら、彼が地球に転生すれば会えなくなってしまうからだ。
ヒュアキントスと離れたくない。ずっと一緒にいたいと思っている彼にとっては、とても耐えられないことだった。

「そ、そんな……！駄目だ！行かないでくれ！」
アポロンは必死に懇願したが、ヒュアキントスの意思は固かった。

「もう決めたんです。かつてアトランティス人達を見捨てる形になってしまった僕達にできること…それはライトワーカーになって地球人達をサポートすることです。このまま僕達だけ、罪の処分を免れてハッピーエンドではアトランティス人達に顔向けできないです。僕達なりに、けじめをつめないといけません」

「ダメだ。許すわけにはいかない。君達もリスクのことは知っているだろう？すぐに戻ってこれればいい。私だって、待つことくらいはできるさ。だが……最悪の場合1万3千年戻ってこれない可能性だってあるんだ。もしそうなれば君は1万3千年の間、地球で生まれ変わりを繰り返すことになる」

低位の神がボランティアとして地球に地球人として転生し、地球の次元上昇を助けるライトワーカーの使命。

今はちょうど地球の転換期に辺り、その転換期は1万3千年の周期で巡ってくる。
今は地球が次元上昇できるタイミングの時であり、その時であれば地球人に転生したとしても、また元の星に帰ってくることは比較的容易である。

だが、これは大きな賭けでもあった。

地球というのは他の星に比べ重く、地球人に転生する場合は波動(エネルギー)を大きく落とさなくてはならない。
アトランティス時代はまだ宇宙人である神々が降り立つことができていたが、今は重すぎて不可能になっていた。

一度大きく波動を落としてしまうと、上昇できず地球に留まってしまう危険性もあった。

そして今回の地球の次元上昇は、成功できると決まっているわけではない。
もし失敗すれば、ライトワーカーもそのまま地球に留まり、地球人として輪廻転生を繰り返すことになる。


次の機会である、1万3千年後までーーー


だからこそアポロンは反対したのだ。
愛するヒュアキントスをそんな残酷な目に遭わせたくはなかったから・・・。