天界アイドル～ギリシャ神話の美少年達が天界でアイドルになったら～

第三十二章 最終章④ 新たな出発編

エピローグ③

「……ヒュアキントス。本当は君を行かせたくはない。だが、君の気持ちはわからなくもない。神として、使命を果たしておいで」

アポロンは切ない表情を微かに浮かべ、微笑んでいた。
その微笑みを見て、彼の心情を察したヒュアキントスは胸が熱くなるのを感じた。


（アポロン様……）
彼は優しい眼差しを向けている。

そんなアポロンに、ヒュアキントスはこう返した。

「ありがとうございます。アポロン様。わがままを通してごめんなさい。僕は、地球人の方を選ぶと言ったけど……それでも、宇宙で一番愛してるのはアポロン様。それは変わりません」
「っ！！」

ヒュアキントスの言葉に、アポロンは思わず息を呑んだ。
ヒュアキントスからの不意打ちの告白を受け、顔を真っ赤に染め上げる。
そんな彼の様子を見たヒュアキントスもまた、顔を赤らめたのだった。

「ヒュアキントス、私もだよ！たとえ君が地球に行っても、君への愛は変わらない。地球の次元上昇が成功し、君達がすぐ戻ってこれるように我々も力を尽くそう。私達は君達の味方だということを、忘れないでくれ」

アポロンは真剣な面持ちでそう言うと、ヒュアキントスの手を取り、手の甲にキスをした。

「っ！！あ、ありがとうございます……！」
ヒュアキントスはますます赤面しながら礼を言った。

その様子を見ていた他の神々も、微笑ましいものを見るように微笑んだのだった。

こうして、ヒュアキントスとアドニスは、新たな出発のために、宇宙船へと乗り込んだのだったーーー