愛して、哀して、胎を満たして

白亜依炉

文字の大きさ
15 / 19
監禁前夜

六話・回帰、そして始まったモノ②

しおりを挟む
 抜けてしまったアイネの力が戻ってくる前に、メアはひょいと軽やかにアイネを横抱きしたかと思うと廊下の突き当り――前方にある扉へと足を進めた。
 脱ぎ捨てられたズボンと下着だけがどこか寂し気に廊下に寝ころぶ。されど、そちらを見向きもしないで扉は開いてぱたりと閉じた。

 足を踏み入れたその先、事前につけられていた明かりに一瞬目が眩んでくらりと世界が回る。アイネの視界が安定した頃には、メアは部屋の中腹まで歩みを進めており嫌でも部屋全体が一望できた。そこには、一般家庭ではお目にかかることなど滅多にないだろう広大な空間が広がっていた。
 入った右手にはバーカウンターを思わせるダイニングキッチン、その正面には6人くらいは腰かけられそうな大きい食卓が設置されている。食堂の基礎はこちら側ですべて補われているのだろう。
 そして、その反対、左手には……男二人が余裕で寝ころべるほど大きいなベッドが置かれていた。仕切りのようなものはなく、食卓サイドと寝室空間が一緒くたになっている。いや、それよりも……ベッドの上に置かれたアレは……。

「よいしょっと、……あぁ、やっぱり此処にベッドを置いてよかった。ドアを開ける手間も省けるし、空いた時間の分だけいっぱい愛してあげられる。ね、アイネもそう思うよね!」
「だから何を勝手、っ…やぁっ、やだ、っんぁ……ひぃッ」

 ベッドに下ろすなり、決定事項だと言わんばかりにメアの指が再び秘部に埋まった。しかも、ご丁寧なことにベッド上にはアレ――ローションが転がされている。これでは今日は固く閉じたままの後孔すらも解すことが可能になってしまった。
 これから起こるだろう事象を想像し、ひたひたと背が冷えていく。快楽とはまた違う震えがアイネを襲った。

 既に愛液で濡れていたメアの右手はまた膣内壁と戯れるように我が物顔で蠢き、左手は器用に片手でローションの蓋を外すと冷たいソレを僅かにアイネの太ももへとかけた。ツンと棘すら感じる刺すような冷たさに火照った体が粟立った。

「ひっ、つめた……っ」
「ごめんね。先に温めてからナカに入れるべきだったね」
「ちが、勝手に、あっあぁっ……それ、やめ、んうっ」

 否定や反論をしようにも、それを邪魔するようにナカに収まった指が動いて腰が揺れる。口からは甘えたような嬌声が零れ落ちる。嫌だと思うのに、やめてほしいと思うのに、どうしてか体は意思に反して引き剥がそうとは動かない。媚びるようにナカを締めて、ねだるように腰を揺らす。

 これじゃあ、まるで……。

「……あは、アイネってば誘ってるの? えっちだなぁ」
「ちが、ぁっ……も、やめろって……んんっ」
「だぁーめ。今日はお仕置きだって言ったでしょ? ……大丈夫だよ。アイネのことはちゃんと俺が満たしてあげるから」

 言うが早いか、太ももにかけたローションを少量すくっては後孔の表面をくにくにと解すだけだった左手がつぷっと爪先だけの侵入を果たす。
 入り込んだ僅かばかりの切っ先がまた一つアイネの身体に現実を刻み込んだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

ふたなり治験棟

ほたる
BL
ふたなりとして生を受けた柊は、16歳の年に国の義務により、ふたなり治験棟に入所する事になる。 男として育ってきた為、子供を孕み産むふたなりに成り下がりたくないと抗うが…?!

怒られるのが怖くて体調不良を言えない大人

こじらせた処女
BL
 幼少期、風邪を引いて学校を休むと母親に怒られていた経験から、体調不良を誰かに伝えることが苦手になってしまった佐倉憂(さくらうい)。 しんどいことを訴えると仕事に行けないとヒステリックを起こされ怒られていたため、次第に我慢して学校に行くようになった。 「風邪をひくことは悪いこと」 社会人になって1人暮らしを始めてもその認識は治らないまま。多少の熱や頭痛があっても怒られることを危惧して出勤している。 とある日、いつものように会社に行って業務をこなしていた時。午前では無視できていただるけが無視できないものになっていた。 それでも、自己管理がなっていない、日頃ちゃんと体調管理が出来てない、そう怒られるのが怖くて、言えずにいると…?

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

カテーテルの使い方

真城詩
BL
短編読みきりです。

【BL】捨てられたSubが甘やかされる話

橘スミレ
BL
 渚は最低最悪なパートナーに追い出され行く宛もなく彷徨っていた。  もうダメだと倒れ込んだ時、オーナーと呼ばれる男に拾われた。  オーナーさんは理玖さんという名前で、優しくて暖かいDomだ。  ただ執着心がすごく強い。渚の全てを知って管理したがる。  特に食へのこだわりが強く、渚が食べるもの全てを知ろうとする。  でもその執着が捨てられた渚にとっては心地よく、気味が悪いほどの執着が欲しくなってしまう。  理玖さんの執着は日に日に重みを増していくが、渚はどこまでも幸福として受け入れてゆく。  そんな風な激重DomによってドロドロにされちゃうSubのお話です!  アルファポリス限定で連載中  二日に一度を目安に更新しております

R指定

ヤミイ
BL
ハードです。

【創作BL】溺愛攻め短編集

めめもっち
BL
基本名無し。多くがクール受け。各章独立した世界観です。単発投稿まとめ。

処理中です...