ボイス~常識外れの三人~

Yamato

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異変

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それは突然やってきた。

悦子は病院の外来で検査結果を聞いていた。
「残念ですが…乳がんです」
「…やっぱり」
「この画像見てください」
シャーカッセンに映る白い塊がある。
「ここが病変です、しかも…」
「はい?」
「肺にまで転移してます」
言葉が出なかった。どこかで覚悟はしていた。

悦子がシャワーしていた時のことである。
「ん?」
胸を洗った時、右の乳房にシコリを感じた。
(まさか…)
本屋に行って乳がんの勉強をした。
肺への転移はかなり進行している証でもある、と知った。

「あと、どのくらい生きられますか?」
「おそらく…半年くらいかと…」
「治療は?」
「…ここまでくると、抗がん剤か放射線治療ですが、効果はあまり期待出来ないかも知れません…」
「…そうですか…」

病院を出て歩きながら、悦子は何から考えていいか分からないでいた。
(生きられないんだ…)
電車から夕日が眩しく悦子を照らした。
帰ると晴美が夕飯の支度をしていた。
「おかえり!」
「うん…」
「どしたの?」
「あっ…うん、大丈夫よ。潤と瞳は?」
「ふふっ…遊び疲れて寝てるわ」
「そう…」
悦子は寝ている2人の顔を眺めた。
この子達の成長を見届けられない。
これから、沢山の思い出も作れない。
自分は何をどうしたらいいのか…

リビングで伸一や晴美、子供達の遊ぶ姿を見て悦子は決断した。
(残り人生は、この人達の為に生きよう)

伸一と晴美に素直に話した。
「……うそ!うそでしょう?」
悦子は首を振った。
「いや!いやいや!悦子!」
「…晴美」
「やだやだ!悦子が死ぬなんてやだ!」
「入院するのか?」
「ううん、もう無理なら残りをみんなと過ごしたいんです。少しでも想い出になれれば、私の人生も悔いはありません」
悦子の強い意思を感じた。
晴美は泣いている。
「あの…晴美は私が話します」
「…分かった」
「ごめんなさい…」
「オレは何か治療がないか可能な限り探すよ。本心は晴美と同じだ…」
「ありがとうございます…」

伸一は子供達の部屋に入った。

「晴美…」
「どうしてなの?なんで悦子が…」
「もしかしたらバチが当たったのかも!」
「…どういう意味?」
「3人で暮すことをお願いしたのはアタシだからね、神様が許してくれなかったのかな」
「そんなの…だって、悦子は私を救ってくれたのよ!それなのに…むしろ、私の方がバチ当たりよ」
「ふふっ…聞いてくれる?」
晴美は黙って頷いた。
「アタシは3人の生活がとても充実してたの。伸一さんも受け入れてくれた。前に話したよね?アタシと晴美は2人で1人だって…」
「…うん」
「あれね、すごく実感するの。お互いに支え合って…なんか一心同体って気がするのよ」
「…うん」
「だから、アタシが死んでも晴美の中で生きていたいの!」
「でも…まだ諦めちゃ!」
「そうね…伸一さんが探してくれるって。だから、アタシは晴美と子供達と残りの日々を楽しく過ごすって決めたの!ねっ?」
悦子の決断に晴美は、悦子をこれ以上悲しませたくない気持ちになった。
「ホントはこうなる運命だったのかなぁ?」
「へっ?」
「ホントは伸一さんと晴美が一緒になる…アタシは架け橋だったのかも…」
「違うわ!それは違う!絶対違う!」
「ふふっ、そう怒らないで。だから3人の生活を思いついたのかもね」
「悦子…」
「さぁ、忙しくなるわよ!これから沢山の想い出を作らなきゃ!」

伸一がやってきた。

「子供たちは?」
「潤も瞳もよく寝てるよ」
「やっぱり伸一さんに似て寝つきがいい」
「そうか?」
悦子は伸一とキスをして、晴美ともキスを交わした。
「これから、毎晩、3人でエッチしませんか?」
「ヨシ!頑張るわ!なっ?晴美」
「はい!」

晴美が伸一に耳打ちした。
「これから、ずっと悦子の中で出してください」
「えっ…いいのか?」
「はい、私は構いません。悦子に少しでも多く幸せを味わってほしいんです」
「ハハッ…なんか初めて3人でした時のこと思い出したよ」
「えっ?」
「あの時は悦子に晴美で出してくれって言われたんだ」
「…そうだったんですか…」
「晴美の意見に乗るよ」
「はい!お願いします」

その晩は悦子を伸一と晴美で攻めた。
晴美の顔に悦子が跨り、伸一の肉棒を悦子の口で愛撫する。
「ん!んん!…あっ…ん、ん!」
悦子は晴美がクリを舐めると、体をビクッとする。
「あっ…晴美…あん!」
クチュクチュと晴美は悦子の陰部を、慣れた舌遣いで中も舐める。
「あうっ!あん!いい…あっ!や…あん!」
伸一は晴美に挿入し、ピストンを激しくする。
喘ぎ声と共に果てる。
それを悦子が口で掃除し、今度は悦子に入れる。
「あっ!しんいちさん!あぁっ!あん!や!」
髪を乱し、感じる顔は更なる興奮を誘う。
晴美は悦子の乳首を舐める。
ダブルの快感が悦子を狂わせる。
そして、悦子の中に全ての精子を放った。
しばらくして陰部から精子が流れてくる。
それを晴美が舐めて吸い尽くした。

3人はそれぞれ濃厚なキスをする。

決して酒池肉林的なものではなく、3人の愛の行為として連日続けた。
悦子は毎晩、中か顔に出された。
それを晴美が吸い尽くす、これを繰り返した。

そして3か月が過ぎた頃。

とうとう悦子が倒れた。
台所で吐血し、晴美が救急車を手配してそのまま入院となった。

もう体中は痛みとの戦いとなる。
食事しても吐いてしまい、どんどんと痩せていった。
顔の頬もこけてしまい、痛々しさだけが露わになった。
「どう?」
「…うん、痛い…」
「どこが?」
「胸は…くっ!………はぁっ…全部…かな」
「痛み止めしてもらおう?」
「もういいわ…いたっ!効かない…の」
晴美は正面から向き合った。
辛い悦子の前では泣かないと決めた。
「…ごめん…ね、晴美には…うっ…もっと、幸せがあったのかもね…」
「言わないで…私は充分幸せだから」
「伸一さんと潤と瞳を…よろしくね」
「…うん…安心して。みんな必ず幸せにするから」
「…あー、なんか気が抜けた…」
「悦子…」
「…晴美」
「ん?」
「晴美と出会えて良かった…」
「…うん」
言葉が出ない。
「もっと子供達の成長…見たかった…」
晴美は悦子の手を握った。
悦子も精一杯の力を込めたが、儚い力しか出なかった。
「伸一さん…」
「ん?」
「幸せでした…ありがとう…」
「俺こそ…」
悦子はニッコリ微笑んだ。

「少し痛みが治まったから…寝ます」

それからほどなくして悦子は去った。

晴美は溜めていた涙を一気に流した。
腫れるほど泣いた。

それから更に半年後。

伸一と晴美は夫婦として、潤と瞳も大きくなってきた。

ある日。

伸一が出張で家を開けた時のこと。
夕方に買い物から戻り、夕飯の支度をしていて、ふと気配を感じた。
(えっ?)
誰かいる気がした。
リビングを見渡しても姿は無い。
だが、明らかに気配がした。
懐かし感じだった。
「…悦子?」

その瞬間、目の前が白くなった。
まるで異空間にいるような…。
正面に悦子がいた。

「悦子!」
「久しぶり!」
「どうしたの?」
「ふふっ…来ちゃった」
晴美はたまらず抱きついた。
「夢じゃないよね?ねぇ?」
「そうね」
「伸一さんも子供達も心配はしないで!」
「うん、心配してないよ」
「…なんか悦子の気配を感じたの」
「…そう、もう安心ね」
「あのね、アタシも行かなきゃならないの」
「えっ…ヤダ!行かないで!」
「ごめんね、どうしてもお願いして晴美の前にだけ出してくれたの。でも、もう行かなきゃ…」
「もっと、話したい!ねぇ!」
「大丈夫!いつも見てるから…」
「悦子!ヤダ!悦子!」

晴美の前からスッと悦子が消えた。
そして、次の瞬間にいつものリビングの景色が戻った。
(あっ…えっ?夢?…)
いや、抱きついて感触が残っている。

ふと、壁の鏡を見た。

晴美の後ろに悦子が見えた。
(悦子…)

伸一が戻って来た。

「おかえりなさい」
「ただいま…ん?」
「はい?」
「いや…気のせいかな、悦子の声と似てた」
「えっ?」
「あれ?」
「どーしました?」
「何となくだけど…晴美の顔が悦子に似ていた気がした…」

「そうでしたか…ちょっとお話があるんです」
「なんだ?」

晴美は伸一に悦子の幻影を話した。

(悦子…ありがとう…頑張るね)

そして、伸一達は普通の家族の形になった。
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感想 1

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みんなの感想(1件)

どうなんでしょう

Yamatoさんの作品いい!、エロあって、ストーリーあって、落としどころあって、これはちょっと最後が残念、早く終わらせようとしたんじゃないか?って感じもしたけど、それでも他の作家より良い終わり方でした。最近書かれていないようですが、新しい作品を期待します。

2019.09.21 Yamato

ありがとうございます。実は、少し他の仕事で書くのがおろそかになってました。また、そのうち書くと思いますので、そのときはお付き合いのほど、よろしくお願いします。純粋に嬉しい感想ありがとうございます。

解除

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