安心して下さい。私の幸せは貴方じゃありません!

minmi

文字の大きさ
3 / 10

しおりを挟む
 それから数日すると、真っ青な顔のエリクソン子爵夫妻がトーマスを連れ我が家にやってきた。
 その顔色からやっと現状を理解したのかと思ったが、あの愚か者は未だに分かっていないようで、不機嫌だと言わんばかりの顔で父親に引き摺られながらやって来た。
 帰れ。塩でも撒くか?

 「こ、この度は愚息が大変ーー」

 「こんな所でする話しではないだろう。どうぞ中へ」

 今日も今日とて素敵な微笑みのお父様は見ているだけで癒されるわねぇ。
 写真に残して部屋に飾りたい。
 お父様に手を引かれるまま部屋へ向かえば、テーブルを挟みエリクソン子爵たちも腰かける。
 
 「たっ、大変申し訳ありませんでした!」

 全身を震わせながらも頭を下げる子爵に、隣りでは同じく夫人も真っ青な顔色で頭を下げていた。

 「…………」

 いや、お前も謝れよ。
 ただ一人、のほほんと出されたお茶を啜る愚か者は謝る気がないらしい。
 というか、謝る理由が分かっていないのだろう。バカだから。

 「父上、母上何を謝ることがあるのです。確かにフィーとは婚約は破棄になりましたが、侯爵も同意の上だったのですから何も問題はないでしょう?」

 「「「「「…………」」」」」

 はい、バカ~~。

 「それにいずれはこの侯爵家も私が継ぐのです。ならば将来義理の息子ともなる僕に侯爵も広い心で許してくれるに決まっているではないですか」

 「「「「「…………」」」」」

 はい、バカ~~。パート2
 あまりに身勝手であり、愚かな発言に皆空いた口が塞がらない。
 あ、私は笑いを堪えるのに必死で閉じてましたけど。
 なぜこのバカは我が家を継げると思っているのか。
 それはあれか?我が家の乗っ取りでも考えたのか?その頭で?
 やめてよ、笑いが止まんないじゃない。あんたバカだから無理よ。
 
 「ト、トーマス、お前何を言っているんだ?」

 「はい?何のことです?」

 本当に、本当に分からないという顔で父親を見るバカは最早人間なのか疑わしくなってくる。
 チンパンジーの方がまだマシなのでは?

 「お前はソフィア嬢と婚約破棄したのだぞ?それをどうしてこのまま侯爵家を継げるなどと思っているのだ?」

 え?いや、それもちょっと違うんだけど……

 「口を挟んで申し訳ないが彼は婿養子であったため、あのまま結婚していたとしてもこの侯爵家当主にはなれなかった」

 「「「え?」」」

 流石はお父様。
 私がツッコミを入れる前に言って下さって嬉しいですわ。
 そして御三方、貴方達どこまでバカなの?もういい大人でしょ?

 「何を驚いているんだ?この侯爵家を継ぐのは初めからソフィアだと決まっている」

 本当にどうしたらそんな勘違いができるのか、バカはこの侯爵家の血を一滴も継いでもいないのに。

 「は?で、ですが、フィーは女です!だからこそ僕を婿養子として受け入れーー」

 「女だからなんだい?君がどう勘違いしていたかは知らないが、現在では女性でも家は継げるんだよ。異議を唱えるなら陛下に申し上げるんだな。あと君も貴族なら女性を下に見るような発言は控えた方がいい」

 あと私のこともうフィーって呼ぶんじゃねぇよ。私はお前のことクズって呼ぶぞ。バカでもいいかもしれない。

 「そ、そんな……」

 ガクリと力尽きたように床に手をつくバカ。
 このバカそんなことも知らず生きてきたのか。
 そしてバカの親2人、アンタたちも知らんかったんかい!

 「大体継ぐつもりだったというが君は何もしていなかったじゃないか。そのための勉強もそうだが、学園での成績も見られたものじゃないと報告があったが?周りとの付き合いも全くしていなかったんだろう?」

 貴族社会は勉強も大事だが、何より人付き合いが物を言う。
 いくら頭がよくても人付き合いが出来ない者はこうして手を離されるしかないのだ。
 終わったな、トーマス。
 笑っちゃうぜ、トーマス。
 バカは治らなかったな、トーマス。
 お父様だーい好き!

 
 
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

遊び人の侯爵嫡男がお茶会で婚約者に言われた意外なひと言

夢見楽土
恋愛
侯爵嫡男のエドワードは、何かと悪ぶる遊び人。勢いで、今後も女遊びをする旨を婚約者に言ってしまいます。それに対する婚約者の反応は意外なもので…… 短く拙いお話ですが、少しでも楽しんでいただければ幸いです。 このお話は小説家になろう様にも掲載しています。

冷遇された没落姫は、風に乗せて真実を詠う ─残り香の檻─

あとりえむ
恋愛
「お前の練る香など、埃と同じだ」 没落した名家の姫・瑠璃は、冷酷な夫・道隆に蔑まれ、極寒の離れに追いやられていた。夫の隣には、贅を尽くした香料を纏う愛人の明子。 しかし道隆は知らなかった。瑠璃が魂を削って練り上げた香は、焚く者の心根を映し出す「真実の鏡」であることを。 瑠璃が最後に残した香の種を、明子が盗み出し、手柄を偽って帝の前で焚き上げた瞬間。美しき夢は、獣の死臭が漂う地獄へと変貌する。 「この香りの主を探せ。これほど澄み切った魂が、この都に在るはずだ」 絶望の淵で放たれた一筋の香りに導かれ、孤独な東宮が泥の中に咲く白蓮を見つけ出す。 嘘と虚飾にまみれた貴族社会を、ひとりの調香師が浄化する、雅やかな逆転劇。

真実の愛に祝福を

あんど もあ
ファンタジー
王太子が公爵令嬢と婚約破棄をした。その後、真実の愛の相手の男爵令嬢とめでたく婚約できたのだが、その先は……。

悪役断罪?そもそも何かしましたか?

SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。 男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。 あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。 えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。 勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。

わたくしがお父様に疎まれている?いいえ、目に入れても痛くない程溺愛されております。

織り子
ファンタジー
王国貴族院の卒業記念パーティーの場で、大公家の令嬢ルクレツィア・アーヴェントは王太子エドワードから突然の婚約破棄を告げられる。 父であるアーヴェント大公に疎まれている―― 噂を知った王太子は、彼女を公衆の面前で侮辱する。

婚約者から妾になれと言われた私は、婚約を破棄することにしました

天宮有
恋愛
公爵令嬢の私エミリーは、婚約者のアシェル王子に「妾になれ」と言われてしまう。 アシェルは子爵令嬢のキアラを好きになったようで、妾になる原因を私のせいにしたいようだ。 もうアシェルと関わりたくない私は、妾にならず婚約破棄しようと決意していた。

《完結》悪女と噂されたわたくしのざまぁ

ヴァンドール
恋愛
悪女と噂のわたくしとの結婚なら、どれほど軽んじても問題はないと思っていた旦那様。 ところが……。

婚約破棄、されたほうです。

みけねこ
恋愛
社交パーティーの会場のど真ん中で突然言い渡された婚約破棄。 目の前で婚約者は肩を抱き寄せられ、得意げに弟はこちらにそう突きつけた。 婚約破棄、されたのはどうやらこちらのようです。

処理中です...