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お父様に恥をかかせないためとはいえ、この時間は本当に転生者である自分には辛い時間であった。
「お嬢様行きますよ!はいっ、吸ってー」
「すぅーー、うっ」
キュッと内臓を締められるような感覚に、貴族って大変なんだと改めて感じた。
コルセットなど未来人(?)であった私には苦行でしかないのだった。
それから何とか無事ドレスを着せてもらうと、内臓を吐き出す前にお父様に手を引かれパーティーに向かう。
綺麗だね、お父様も素敵ですわと親子で褒め合いながら会場へ入れば、大勢の人が賑わう会場に足を踏み入れるのだった。
「陛下たちにさえ挨拶してしまえば後は自由だ。帰りたくなったらすぐに言いなさい」
父よ、貴族としてそのセリフはどうなんだと思ったが、私があまりこういう場が得意ではないことを知っての言葉だと分かっていたため喜んで頷くのだった。
「お父様がいらっしゃれば何も怖いものはありませんわ」
「私もソフィがいれば何者にも負けないよ」
ふ、ふふふ。録音してぇ。
とっとと王様たちに挨拶して帰り、部屋で身悶えたいと心から願うのだった。
「本日は御招きいただき有難う御座います。ハーラウンド侯爵ジークフリードが娘ソフィアでございます」
「ソフィアちゃん来てくれたのね!嬉しいわ、もっとこっちにいらっしゃい」
挨拶もそこそこに王妃に手招きされ、恐縮しながらも近寄っていく。
隣りでは陛下が苦笑いしていた。
「ああ、ジョセフィーヌに似てきたわね。目元なんか本当にそつくりよ」
亡くなった母と親友だったという王妃は、本当に懐かしそうにソフィアを見つめてくる。
「そういえば聞いた話しによると最近婚約破棄されたそうね」
耳が早いですね王妃様。
「はい。どうやら運命のお相手を見つけたようでして」
「ーーへぇ、そうなの」
重く、冷たく響いたその声に、周りがピキリと固まった気がした。
「それなら私たちからも彼らに祝いの言葉を贈るとしましょう。運命のお相手なのだもの、別れるなんてことないはずよね」
「それはそれは。きっと涙を流し喜ぶことでしょう」
父よ、悪ノリが過ぎるのではないか。
王妃様より結婚の祝いなど言われたが最後、彼らに別れるという選択肢はなくなってくる。
まぁ、私にはもう関わりがないためどうでもいいが。
「そんなことよりよ、ソフィアちゃん!」
何だ何だ?
覚えがあるやりとりに何だ嫌な予感をしていると……
「婚約破棄したということは、今お相手はいないということよね?」
「……………そうです」
昔から可愛がってもらってはいるが、王妃のこういうところがどうにも苦手だった。
「なら、ね?うちの息子たちはどう?」
王妃様がギラギラとした目でどうだと訴えてくるのはこれが初めてではない。
以前も、トーマスと婚約するよりも前、まだ幼かったソフィアに「ソフィアちゃんうちにお嫁に来ない?」と言われたことがあったが、隣りでそれを聞いていたお父様の顔色に反射的に首を振った自分は偉かったと思う。
だが今は……
「条件さえ飲んでいただけるのでしたら」
笑顔でそう返した私に、それまで隣りで静かに話しを聴いていた王様も身を乗り出してくる。
「なんと!?誠か?」
その驚きように、まぁ無理もないかと苦笑いする。
私のファザコン振りを知っている王様たちはきっと無理だろうと思っていたはずなのだから。
「お嬢様行きますよ!はいっ、吸ってー」
「すぅーー、うっ」
キュッと内臓を締められるような感覚に、貴族って大変なんだと改めて感じた。
コルセットなど未来人(?)であった私には苦行でしかないのだった。
それから何とか無事ドレスを着せてもらうと、内臓を吐き出す前にお父様に手を引かれパーティーに向かう。
綺麗だね、お父様も素敵ですわと親子で褒め合いながら会場へ入れば、大勢の人が賑わう会場に足を踏み入れるのだった。
「陛下たちにさえ挨拶してしまえば後は自由だ。帰りたくなったらすぐに言いなさい」
父よ、貴族としてそのセリフはどうなんだと思ったが、私があまりこういう場が得意ではないことを知っての言葉だと分かっていたため喜んで頷くのだった。
「お父様がいらっしゃれば何も怖いものはありませんわ」
「私もソフィがいれば何者にも負けないよ」
ふ、ふふふ。録音してぇ。
とっとと王様たちに挨拶して帰り、部屋で身悶えたいと心から願うのだった。
「本日は御招きいただき有難う御座います。ハーラウンド侯爵ジークフリードが娘ソフィアでございます」
「ソフィアちゃん来てくれたのね!嬉しいわ、もっとこっちにいらっしゃい」
挨拶もそこそこに王妃に手招きされ、恐縮しながらも近寄っていく。
隣りでは陛下が苦笑いしていた。
「ああ、ジョセフィーヌに似てきたわね。目元なんか本当にそつくりよ」
亡くなった母と親友だったという王妃は、本当に懐かしそうにソフィアを見つめてくる。
「そういえば聞いた話しによると最近婚約破棄されたそうね」
耳が早いですね王妃様。
「はい。どうやら運命のお相手を見つけたようでして」
「ーーへぇ、そうなの」
重く、冷たく響いたその声に、周りがピキリと固まった気がした。
「それなら私たちからも彼らに祝いの言葉を贈るとしましょう。運命のお相手なのだもの、別れるなんてことないはずよね」
「それはそれは。きっと涙を流し喜ぶことでしょう」
父よ、悪ノリが過ぎるのではないか。
王妃様より結婚の祝いなど言われたが最後、彼らに別れるという選択肢はなくなってくる。
まぁ、私にはもう関わりがないためどうでもいいが。
「そんなことよりよ、ソフィアちゃん!」
何だ何だ?
覚えがあるやりとりに何だ嫌な予感をしていると……
「婚約破棄したということは、今お相手はいないということよね?」
「……………そうです」
昔から可愛がってもらってはいるが、王妃のこういうところがどうにも苦手だった。
「なら、ね?うちの息子たちはどう?」
王妃様がギラギラとした目でどうだと訴えてくるのはこれが初めてではない。
以前も、トーマスと婚約するよりも前、まだ幼かったソフィアに「ソフィアちゃんうちにお嫁に来ない?」と言われたことがあったが、隣りでそれを聞いていたお父様の顔色に反射的に首を振った自分は偉かったと思う。
だが今は……
「条件さえ飲んでいただけるのでしたら」
笑顔でそう返した私に、それまで隣りで静かに話しを聴いていた王様も身を乗り出してくる。
「なんと!?誠か?」
その驚きように、まぁ無理もないかと苦笑いする。
私のファザコン振りを知っている王様たちはきっと無理だろうと思っていたはずなのだから。
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