安心して下さい。私の幸せは貴方じゃありません!

minmi

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 あれから話しがとんとん拍子に進み、一週間経たずして殿下との婚約が結ばれた。
 何より乗り気だったのが意外にもシリウス殿下だったこともあり、まだ決まってもない結婚式のウエディングドレスはどんなものがいいか王妃様と嬉々としてデザイン中らしい。
 私としては自分のことを着飾ることにあまり興味がないので、誰かが決めてくれれば助かる。
 
 「ソフィア嬢の魅力を最大限引き出すためにもここはこうして……いや、こっちを………」

 紅茶に手をつけることなく、ブツブツと呟き一心不乱に紙に手を滑らす彼の姿を父と2人愉しげに見守る。
 そう、私が言っていた素晴らしい才能とは芸術家としての才だ。
 芸術家と一言に言っても様々だが、彼にはデザインの才能があった。

 「どんなドレスが出来上がるのか楽しみだね」

 「ええ。以前から殿下の描くものはとても素晴らしいものばかりでしたわ」

 出会いは偶然であったが、彼が描く絵やデザインは私との波長が合うものばかりだった。
 何より……

 「ここにブルーダイヤの飾りを……いや、こっちの方が?侯爵と並んだ時のバランスを考えて……」

 そう、彼は私たち親子のファンだったらしい。
 アイドルでもないためファンというには語弊があるかもしれないが、憧れる2人の並んだ姿を絵に描きたいと出会って間もなくお願いされた時は笑ったものだ。
 お父様へのプレゼントに悩んでいる時も色々と相談に乗ってくれた。
 贈り物に普通の万年筆はつまらないのでは?と考え何か模様を彫りたいと言えば嬉々として一緒に考えてくれた。
 それを先日お父様に教えた時はかなり驚いていたものだ。
 
 「お父様への贈り物ですもの、妥協したくありませんでしたの。あれは私たち2人で考えた世界に一つだけの、お父様だけの万年筆ですわ」

 笑って私がそう言ったその時に、お父様は殿下のことを受け入れたそうだ。
 殿下とはすでに婚約者という関係ではあるが、自分ではまだ彼に恋愛感情は抱いていない……たぶん。
 あれほど王妃様たちの前で言っておいてと言われれば申し訳ないが、友達以上恋人未満、どちらかというと可愛い弟というのが正直なところだ。
 ただトーマスの時とは違い、大切にしたいとは思っている。
 お父様の次ぐらいには。
 だって彼だけが分かってくれたから。
 お父様のことも、お父様を慕っている私のことも。
 
 「お2人が互いを大切に想っていることは見ていてすごく分かります。とても幸せそうで、そんな美しいお2人の姿を僕は描いてみたいのです」

 そう言ってくれた彼とはすぐに打ち解けた。
 殿下は私より2つ年下のため学年は違っていたが、暇を見つけては彼がいる温室に足を運んでいたものだ。

 「殿下が描くものはいつもどこか温かいものを感じますわ。見ていてすごく癒されます」

 「有難う御座います。父上たちはあまり良く思っていないみたいなのでそう言ってもらえると励みになります」

 これはあくまでも彼の趣味であり、それが王子ともなれば周りに受け入れられることは難しいだろう。
 数人いる王子たちの中でも彼の存在はとても浮いているというのも私自身聞いたことがあった。
 
 
 
 
 
 
 
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