アオソラ診察室

No.26

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episode4 恋という病

01

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episode.4 side:Sora

 ――高校に上がる前。
 オレのお母さんが死んだ。

「咲さん、まだ若いのに……」
「大丈夫かい? 宙くん。いや、大丈夫じゃないよね」
 葬式で、名前も知らないお父さんの友人たちに慰めの言葉をかけられる。
 オレは無理やり笑った。
「うん……でも、ずっと前からお母さんの身体が弱いこと、わかってたし」
 元々、オレよりお母さんが先に死ぬかもしれないって、随分前からその覚悟はしていた。
「それより、お父さんの心配してあげて。すごく落ち込んでるから」
 そう言うと、お父さんの友人たちは顔を見合わせる。
「そうだね、あいつ、咲さんのこと大好きだったから……」
「宙くんは強い子だなあ」
 そう言って友人たちは、お父さんのところに向かって行った。

 これからは、家族はオレとお父さんの二人だけ。
 お父さんには迷惑かけられないし、近くに頼れる親戚もいない。
 弱いところは見せられない。
 オレがしっかりしなきゃ。

 けど、そう思っても、やっぱり頼れる人とか、話せる人が欲しくて。
 だから、身内以外……ネットで知り合いをつくって、連絡を取り合うようになった。


 アオイも、最初はその一人だった。


 ありきたりなカラオケボックス。二人きりの薄暗い部屋。

『俺、ゲイだって言ったら引く?』
『そうなの? じゃあ、オレとかどう?』
『それ、本気で言ってる?』
『……うん』

 そう言ったあと、アオイはオレのことをまっすぐ見て、静かに言った。
「……俺、本当はずっと、ソラのことそういう目で見てたんだ」
「えっ、そうなの?」
 それは初耳で、オレは驚いて聞き返した。
 アオイと初めて会ったのは、今年の夏が初めてだった。
 二人で遊ぶようになってからも、アオイがオレのことを好きだとか、全然そんなふうには感じたことはなかった。
「いや、ずっとって言うか、実際に会ってからなんだけど」
 アオイはそう、説明を付け加えた。
 その熱を持った目は、オレのことしか見ていない。
「本当に、好みど真ん中っていうか……か、かわいい、かわいいよ、ソラ」
 アオイは訴えるように、何度もそう言う。
 ガチっぽいとこ、普通なら引くところなのかもしれないけれど……オレは自分のことを思ってくれているのだと思うと、嬉しかった。
 オレも、アオイに微笑んだ。
「オレもね、蒼のこと、ずっとかっこいいなって思ってた」
「……本当?」
 アオイは、また目を瞬かせた。
「俺、ソラのこと性的な目で見てるんだよ。引かないの?」
 そう聞かれて、オレは首を横に振った。
「引かないよ。オレ、バイでさ。アオイのこと、結構そういう目で見てたんだよね。まさかアオイも男いけるなんて思ってなかったら、びっくりだったけど」
 そう言うと、アオイは驚いて目を開いて、その次に、嬉しような、困ったような顔で笑った。
「俺、初めてだよ、人に気持ちが通じたの……どうしよう……」
 そんなふうに戸惑うアオイが可愛くて、オレはアオイの首の後ろに腕を回した。
 すると、動揺したようにアオイはオレを見る。
「そ……ソラ?」
「じゃあさ……キスでもしてみる?」
「…………い、良いの?」
 頷くと、アオイはごくりと唾を飲んだ。
 その綺麗な顔を寄せられ、戸惑いがちに、口をそっと重ねられる。
 でも、一秒も経たずに離れた。
 それがおかしくて笑いながら、アオイの頭に手を添えて言った。
「ふふ、アオイ、もっとしていいんだよ?」
「あ、はは……俺、こういうこと全然したことなくて」
「そうなの?」
 その一連の言動で、オレはふと思った。
 もしかしてアオイ、童貞?
 え、大学生で、こんなにイケメンなのに?
 ……でもそれなら、オレがリードしてもいいよね?
 オレは、アオイの膝の上に乗った。
「じゃあ……口開けて」
「え?」
 アオイはそう、口を開く。
 その口を、オレは自分の口で塞いだ。
 そのまま、アオイの舌を舐める。
「……、っ」
 コーヒーの味が、口の中でする。
 オレがアオイの口内を侵食していくと、アオイも真似するように、オレの口の中に舌を入れた。
 生温かくて、ゾクゾクする。お互いに、夢中で舌を絡めた。水の音だけが部屋に響く。
「っ、はあ…」
 暫くして、口が離れる。つうっと銀の糸がお互いの口を繋いだ。
 アオイは熱のこもった目で、オレを見ていた。
「……ね、アオイ、キスするの、気持ちいいでしょ?」
「うん。気持ちい……っ、やばい……」
 アオイはそう言って、目線を下にずらす。
 確かにオレの尻に、ズボン越しに硬いものが当たっていた。
 オレもムラムラが我慢できなくなってきて、アオイに言った。
「ねえ、今からホテル行かない?」
「え?! いや、けど、ソラ、まだ高校生だし……」
「大丈夫だよ、行けるとこ知ってる」
 そう言うと、アオイは戸惑いながらも、オレの目を見て頷いた。

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