AR Chronicle

黒鳥カラス

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第1章―放課後のログイン―

決裂の兆し

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 広場には死の静寂が広がっていた。
 レイスウルフの巨体はすでに霧のように崩れ、黒い光の粒となって消えていく。
 だが勝利の余韻はどこにもなかった。

「……ちっ」
 神谷が陽斗を睨みつけたまま舌打ちした。
「俺が仕留めるはずだった。報酬も、経験値も。全部だ」

「そんなこと言ってる場合じゃないだろ」
 蓮が一歩前に出て、冷ややかな声を放つ。
「俺たちが協力しなければ、誰か死んでたんだぞ」

「だからどうした?」
 神谷の目には狂気の光が宿っていた。
「死ぬ奴は死ぬ。それがこのゲームのルールだろ? 強い奴が生き残る、それだけの話だ」

 その言葉に、美咲の顔が引きつる。
「……そんなの、ただの殺し合いじゃない……」
 震える手で杖を握りしめ、必死に声を絞り出した。
「これは“冒険”じゃないの? 仲間と一緒に進むための……!」

「理想論だな」
 神谷は冷笑を浮かべる。
「俺は勝つためにここにいる。力を手に入れるために、な」

 彼の背後に控える東城高校の部員たちも、戸惑いながらも武器を構え直した。
 緊張は一気に広がり、空気が張り詰める。

「おいおい……まさか、本気でやる気か?」
 蓮が低く唸るように言い、槍を構えた。
「レイスウルフを倒した直後に仲間割れなんて、正気じゃない」

「仲間? ハッ、冗談言うな」
 神谷は吐き捨てる。
「俺たちは“敵校”だ。最初から味方だなんて思ってねぇよ」

 その瞬間、村人たちが震えながら広場の端から声を上げた。
「や、やめてください……! どうして、仲間同士で……」
 だが、その声は虚しく響くだけだった。

 陽斗は唇を噛みしめ、剣を握り直す。
「俺は……」
 彼の瞳は、恐怖と怒りと、そして迷いで揺れていた。

 美咲が彼の背中を見つめ、小さく首を振る。
「戦わないで……お願い、陽斗くん……」

 だが、神谷の刃はすでに陽斗の喉元を狙うかのように光っていた。

「やめる気はない。次に斃れるのは、お前らだ」

 緊張の糸が——切れようとしていた。
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