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第1章_ベースとギルドと大阪と
低音訓練、始動
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翌朝。
ギルドの中庭に集合させられた俺は、眠そうな目をこすりながらサニーを抱えていた。
頭上のシステムウィンドウには、なぜか派手なタイトルが表示されている。
⸻
【特別訓練:ベーシスト強化プログラム】
監督:堂島龍臣
補助:ギルド員多数
注意:ベースを壊さないこと
⸻
「タイトルでかっ!」
「なんかゲーム内イベント感あるわね」雅が腕を組む。
「お前主役やん、気合い入れろ」智樹が半眼で俺を見る。
「いや俺まだ眠いんやって! 夜更かしして練習してただけで……」
「練習してたんかい」
「サニー磨いてただけや」
「それ練習ちゃう」
そんな俺の言い訳を無視して、堂島がドラムスティックをコン、コンと鳴らす。
「ほな、今日から鍛えるで。南条に狙われるっちゅうことは、それだけお前の低音が効いとる証拠や。伸ばすしかない」
「……伸ばすって、どうやって?」
「実地訓練や」
堂島の合図で、数人のギルド員が大きなスピーカーを運んできた。
ケーブルが繋がれ、無骨なアンプがうなる。
「え、なにこれライブ会場?」
「ちがう。これは“共鳴試験”や」舞さんがタブレットを操作しながら答える。「あなたの低音がどこまで支配リズムを崩せるか、測定する」
⸻
試験用の“ダミー人形”が中庭に並べられる。
胸のあたりに黒いリズム片が埋め込まれていて、不気味にコン、コンと光っていた。
「……え、これ動くん?」
「動く。支配された人間を再現したもの」舞さんはさらっと言う。
「おいおいマジかよ……」
「安心せぇ。死にはせん」堂島が笑った。
「俺が死ぬかもしれんやろ!」
「よし、始めるで。遼、構えろ」
⸻
サニーを肩にかけ、深呼吸。
E弦を指で強く叩いた。ドゥゥゥン……!
低音がスピーカーから拡張され、中庭全体を揺らす。
⸻
【スキル発動:リズムシフト】
効果:ダミーのリズムを半拍ずらす
成功率:70%
⸻
人形たちの動きが一斉にぎこちなくなり、腕や足がもつれる。
「おおっ!」
「やるやん!」ギルド員たちがどよめく。
「……いやマジで効いてるやん」俺自身も驚いた。
だが次の瞬間、リズム片が強く光り、人形たちが無理やり動きを合わせ直す。
「っ……やば!」
「続けろ! 音で押し返せ!」堂島が叫ぶ。
俺は必死で指を動かし、スラップで弦を叩く。
バチィン! ドゥン! ボォン!
汗が額を流れ、指先がしびれてくる。
⸻
【効果上書き:一時的支配解除】
成功率:30%
⸻
「……ちょっと緩んだ!」雅が声を上げる。
「でも、安定してない」智樹が冷静に分析する。
「わかっとる! けど指が……つる……!」
必死で弾き続ける俺の背中に、堂島の声が飛ぶ。
「遼! 低音は力で鳴らすんやない! 支えるために鳴らすんや!」
その言葉が胸に響いた。
俺は力を抜き、自然に四拍を刻む。
ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン……
不思議と音が滑らかに広がり、リズム片の光が次第に弱まっていく。
⸻
【新スキル獲得:グルーヴシールド】
効果:味方の精神を固定し、支配干渉を軽減する
⸻
「……おお! なんか出た!」
「シールドスキル!?」雅が目を見開く。
「お前、またロマン寄りやな」智樹が苦笑する。
「ロマンやなくて実用性や!」
そのとき、舞さんがタブレットを確認してにやりと笑った。
「データ取れた。間違いない。あなたの音は“仲間を守る低音”よ」
「……仲間を、守る……」
胸が熱くなった。俺の音に、そんな意味があったなんて。
⸻
訓練が終わる頃、サニーを抱えたまま芝生にへたり込む。
汗だくで指先は真っ赤。でも、不思議と心は軽かった。
「遼」智樹が隣に腰を下ろす。「……強くなってきたな」
「ふふっ、ちょっとは主人公っぽいじゃない」雅が微笑む。
「いやいや、主人公は飯食って寝たいだけや……」
そう口にしたとき、またシステムウィンドウが現れた。
⸻
【メインクエスト進行度:15%】
『梅田ギルドの支配を打ち破れ』
更新:切り札“低音”の成長を確認
⸻
「……またフラグ立ったやん」
「気にすんな。立てとけ」智樹が肩を叩く。
「そうね。折れなければいいだけ」雅が笑った。
俺はサニーを見下ろし、弦をそっと撫でた。
低音は、確かに俺たちを支えてくれている。
次は、実戦で試す番だ。
ギルドの中庭に集合させられた俺は、眠そうな目をこすりながらサニーを抱えていた。
頭上のシステムウィンドウには、なぜか派手なタイトルが表示されている。
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【特別訓練:ベーシスト強化プログラム】
監督:堂島龍臣
補助:ギルド員多数
注意:ベースを壊さないこと
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「タイトルでかっ!」
「なんかゲーム内イベント感あるわね」雅が腕を組む。
「お前主役やん、気合い入れろ」智樹が半眼で俺を見る。
「いや俺まだ眠いんやって! 夜更かしして練習してただけで……」
「練習してたんかい」
「サニー磨いてただけや」
「それ練習ちゃう」
そんな俺の言い訳を無視して、堂島がドラムスティックをコン、コンと鳴らす。
「ほな、今日から鍛えるで。南条に狙われるっちゅうことは、それだけお前の低音が効いとる証拠や。伸ばすしかない」
「……伸ばすって、どうやって?」
「実地訓練や」
堂島の合図で、数人のギルド員が大きなスピーカーを運んできた。
ケーブルが繋がれ、無骨なアンプがうなる。
「え、なにこれライブ会場?」
「ちがう。これは“共鳴試験”や」舞さんがタブレットを操作しながら答える。「あなたの低音がどこまで支配リズムを崩せるか、測定する」
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試験用の“ダミー人形”が中庭に並べられる。
胸のあたりに黒いリズム片が埋め込まれていて、不気味にコン、コンと光っていた。
「……え、これ動くん?」
「動く。支配された人間を再現したもの」舞さんはさらっと言う。
「おいおいマジかよ……」
「安心せぇ。死にはせん」堂島が笑った。
「俺が死ぬかもしれんやろ!」
「よし、始めるで。遼、構えろ」
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サニーを肩にかけ、深呼吸。
E弦を指で強く叩いた。ドゥゥゥン……!
低音がスピーカーから拡張され、中庭全体を揺らす。
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【スキル発動:リズムシフト】
効果:ダミーのリズムを半拍ずらす
成功率:70%
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人形たちの動きが一斉にぎこちなくなり、腕や足がもつれる。
「おおっ!」
「やるやん!」ギルド員たちがどよめく。
「……いやマジで効いてるやん」俺自身も驚いた。
だが次の瞬間、リズム片が強く光り、人形たちが無理やり動きを合わせ直す。
「っ……やば!」
「続けろ! 音で押し返せ!」堂島が叫ぶ。
俺は必死で指を動かし、スラップで弦を叩く。
バチィン! ドゥン! ボォン!
汗が額を流れ、指先がしびれてくる。
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【効果上書き:一時的支配解除】
成功率:30%
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「……ちょっと緩んだ!」雅が声を上げる。
「でも、安定してない」智樹が冷静に分析する。
「わかっとる! けど指が……つる……!」
必死で弾き続ける俺の背中に、堂島の声が飛ぶ。
「遼! 低音は力で鳴らすんやない! 支えるために鳴らすんや!」
その言葉が胸に響いた。
俺は力を抜き、自然に四拍を刻む。
ドゥン、ドゥン、ドゥン、ドゥン……
不思議と音が滑らかに広がり、リズム片の光が次第に弱まっていく。
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【新スキル獲得:グルーヴシールド】
効果:味方の精神を固定し、支配干渉を軽減する
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「……おお! なんか出た!」
「シールドスキル!?」雅が目を見開く。
「お前、またロマン寄りやな」智樹が苦笑する。
「ロマンやなくて実用性や!」
そのとき、舞さんがタブレットを確認してにやりと笑った。
「データ取れた。間違いない。あなたの音は“仲間を守る低音”よ」
「……仲間を、守る……」
胸が熱くなった。俺の音に、そんな意味があったなんて。
⸻
訓練が終わる頃、サニーを抱えたまま芝生にへたり込む。
汗だくで指先は真っ赤。でも、不思議と心は軽かった。
「遼」智樹が隣に腰を下ろす。「……強くなってきたな」
「ふふっ、ちょっとは主人公っぽいじゃない」雅が微笑む。
「いやいや、主人公は飯食って寝たいだけや……」
そう口にしたとき、またシステムウィンドウが現れた。
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【メインクエスト進行度:15%】
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更新:切り札“低音”の成長を確認
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「……またフラグ立ったやん」
「気にすんな。立てとけ」智樹が肩を叩く。
「そうね。折れなければいいだけ」雅が笑った。
俺はサニーを見下ろし、弦をそっと撫でた。
低音は、確かに俺たちを支えてくれている。
次は、実戦で試す番だ。
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