異次元の殺し屋・万華鏡

クライングフリーマン

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5.【覚悟】

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 ======== この物語はあくまでもフィクションです =========
 ここは、『和の国』。
 俺の名は、「異次元の殺し屋・万華鏡」。次元を渡り歩く殺し屋だが、殺すのは、人間とは限らない。

 俺には聞こえる。殺してくれ、と。
 どこの次元でも聞こえている。

 今日は、予想しなかった事態に遭遇した。
 高貴な夫妻が、お互いに刃を向け、「自害」をしようとしている。

 俺は歩み寄り、2人の小刀を床に落して、こう言った。
「陛下。おやめ下さい。民が苦しんでいるからと言って、あなた方が責任を取ることはない。一日、時間を下さい。」

「貴方が、どなたか知らないが、事態を収拾出来るとでも?戦争が始まり、侵略が始まったのですよ。」
「信頼できませんか?私は、どこから現れましたか?」

 俺は、そう言って、消えた。いや、簡単に言うとテレポーテーションしたのだ。
 この次元も執政者が愚かな為、最悪の道を選んだようだ。

 空に上がって、星を俯瞰して見た。
『船殻諸島』と呼ばれる領土は『実効支配』されていた。
 この国の友好国である『沢庵』国は、隣国の『華美国』に攻撃され、この国の同盟国だったメリケン国は、報復措置として、『華美国』の『香水』地域を攻撃した。
 メリケン国は、鯡国と戦争しているウキアナ国に援軍を送り続けている。

 地上に降りて、民の憎しみのエネルギーが集中している金庫省に行った。
 金庫省では、他の次元同様、隣国に媚びへつらう人々が、隣国の命令を受けていた。
 隣国の華美国は、『民族総動員法』に基づき、華美民族以外の排斥を、双輪大臣に命じた。
 この国の民は」例外である。「奴隷」なのだから、「人」ではない。
 古今東西、支配者達が使ってきた「論理」だ。
 国の決め事をする骨会議事堂の外に、大勢の「外国人」が、いや、他民族がデモを行っていた。
『和の国』人と同じ『年貢金』を納めるように『挌技決定』されたからだ。
 今まで「外国人優遇」して来たのは、「華美国人優遇」と分かり辛いようにカモフラージュしていたのだ。
 強制送還に応じなかった者達が、デモに参加した。
 華美軍は、戦車が現れ、デモ参加者は蜂の巣・皆殺しにした。
 そして、他民族の実質「居住区」になっていた地域には、空爆で『焼夷弾』が落された。国中、華美軍の監視下に置かれた。
 夕刻、双輪大臣は世界に向け、華美国の声明を発信した。
「今日から、我が国は『和の国』ではなく、華美国『和の国』自治区になります。元『和の国』の民は殺されません。だが、24時間体制で華美国の監視下に置かれ、毎日18時間労働が課せられます。政治家の、華美国の血が入っていない民は、一般の民に格下げです。10年計画で、母国語の『華美国語化』を進めます。」
 骨会議員の半数は、解雇、強制労働工場へ移送された。
 元から一般の民だった人々は、元骨会議員を侮蔑した。

 俺は、骨会図書館で調べた上で、問題の時間軸に移動(タイムリープ)した。

 華美国。内務省。双輪大臣の芝田重蔵は、ある書類にサインをしていた。
 マジックインクで書かれた書類には、『和の国』は華美国に併合される、と書いてあった。

「芝田。文字通り、国を売ったな。よく書類を見ろ。」
 俺の言葉に、職員が詰め寄ってきた。

「そ。そんな馬鹿な。同盟国になる筈だったのに。」
 俺は、スマホの録音を止め、時間を止めた。

 時間が動き出した時、芝田は、華美国にも『和の国』にもいなかった。

 芝田が目を覚ました時、大勢のペンギンが見下ろしていた。不思議そうな顔をしていた。
 やけに寒かった。

 俺は、また、次元を跳んだ。時間が変わったのだ。両陛下に報告しに行っても意味はない。

 後は、芝田の後継者次第だ。

 ―完―



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