大姪と私

クライングフリーマン

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28.年忌

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==== この物語はあくまでもフィクションです =========
私の名前は野本由起夫。姪の名前は如月来夢(らむ)。
私は、脊柱管狭窄症が進み、車椅子生活になった。私と大姪との同居生活が始まったのだ。
母が亡くなった後、私は徹底して『終活片づけ』をしていたので、大姪(妹の孫)は2階に居住した。
私が母と同居していた時の名残の『ナースコール』を復活して、私は必要時に大姪を呼ぶことになった。

今日は日曜日。
「2軒先の家、喪服の人だらけだよ。」
「ああ。去年、お爺さんが亡くなったからね。一周忌だろう。早いなあ、1年経つのも。」
「ねえ。なんで一周忌の後、三回忌なの?」
「カウントの仕方が違うんだよ。前に説明しなかったっけ。まあ。いいや。一周忌は、亡くなった1年後。三回忌からは、三年目。三年後じゃない。つまり、亡くなった年も数えるんだ。三回忌だけじゃない。その次の七回忌も七年目。七年後じゃない。仏教的な考え方の詳しい事は分からないが、仏教のマナーや決まり事は共通している。勘違いしている人もいるけど、三年後の『年忌』はない。同じ月日なら、タダの祥月命日。一回忌とか三周忌って言ってる人は、仏教じゃない宗教を信じている人か常識がない人。『ご先祖様』『ほとけさま』は、仏壇に待機しているんじゃなく、あの世からお盆に帰って来る、って話したよね?あの世に行ったら、あの世が『現住所』。」お盆に『帰省』するんだよ。」
「じゃ、年忌の時は?」「帰って来ない。坊さんがあの世とこの世の隙間を空けるだけ。お盆のように、すり抜けてこられないし、来ない。」
「ふうん。」
「それより、ウチのひい婆ちゃんの一周忌、準備の仕方、覚えた?」
「覚えた。あの人のことだから、狭いって言うだろうな。『折りたためるベッド』なんて言ってたけど、そんなのレンタル出来ない。折りたたんで使うのは、健康な人だよ。」
「うん。健康な内は、『健康に甘えて』何でも出来ると信じてるからね。だから、難病抱えてる人に怠け者呼ばわりする。」
「どうせ、僕なんか、って言わないでね。」
「言ったら張り倒すんだろ?」「張り倒す。」
「そんなお前が好きって言ってみて。」
「そんなお前が好き。」「反応した?」「した。」
「スケベ。」
笑いながら、二階に上がった。
色んな手を使ってくるなあ。
まあ、いつも『反応』してるんだけど。

―完―

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