乙女ゲーの世界に落ちましたが、目の前には推しのご先祖様!?異世界チートで魔王を倒すはずが、いつの間にか恋に落ちていました。

高崎 恵

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視察に一緒に行くみたいです。

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「ミラー様、マーク様おはようございます」

 翌日に各自で朝食を取ると玄関で待ち合わせる。昨日の夕飯の際に今日も一緒に過ごそうと誘われていたのだ。しかしもう約束の時間になっているがまだユーリの姿が見えない。
 無線機を使って呼び出しているが、返事はない。もしかして彼は無線機を常備してないのかも知れない。今度ちゃんと確認しないと。

「すみませんミラー様。ユーリがまだ寝てるかも知れないので見てきますね。マーク様、ユーリの部屋を教えて頂けますか?」

 ユーリを起こしに行こうとすると、ミラー様に手を引かれて待ったがかかる。

「いや、わざわざお越しに行く必要はないさ。彼はきっと来るはずだよ。それにもし来なかったらそれはそれで良いさ。そうなったら2人でデートしよう」

「デートですか!?」

「そんなことさせるかよ」

「ちょっと遅れて来てその言い方はないでしょう。ミラー様は待っててくれたのに」

 ミラー様と話して待っていると少し遅れてユーリがやって来た。相変わらず機嫌は良くなさそうで今も眉間に皺が寄っている。

「では揃ったことだし行こうか。今日は僕の視察に付き合って欲しい。君たちも旅だけでなく、普段の人々の生活をちゃんと見てご覧」

 そこからは用意されていた馬車に乗って移動する。ミラー様とマーク様が隣同士で座り、その前に私とユーリが座る。
 王家の馬車なだけあってそこまで狭くはないが、それでもすぐ隣に座るユーリに少し緊張してしまう。こんな近い距離にいるのは久しぶりなのだ。


「ところでこの港町に来たのは、海の洞窟のダンジョンに行く為かい?」

「ああ。あそこは水タイプの魔物が多いと聞いたから次の訓練にちょうど良いかと思ってな」

「マーク、まだ予定に余裕はあるよね? 明日そこのダンジョンに一緒に行くのはどうかな?」

「それは辞めて下さい。さすがにダンジョンに入るのは許可出来ません」
「馬鹿か。お前はやっぱり馬鹿なのか。王子がそんな簡単にダンジョンに行ける訳ないだろう。行くなら俺が居ない時に行けよ」

「今後の為にも一度行ってみるのは駄目なのか?」

「とにかく今はまだその必要はありませんから」

「そいつの言う通りだ。お前は大人しくしとけよ」

 ミラー様のことをマーク様とユーリで止めている。普段は気の合わない2人が珍しい光景だ。そしてミラー様もいつもならすぐに納得するのに、今回は少し渋っている。そんなにダンジョンに行ってみたいのだろうか?

「ミラー様、私もまだそのダンジョンに行ったことないんです。未知な所へミラー様を連れて行き危険な目に遭わすわけには行けませんから」

 私もそう言ってマーク様達に加勢すると、やっとミラー様も頷いた。

「僕に気を取られてユリ殿を危険な目に合わすのはいけないからね。今回は残念だがダンジョンに入ることは諦めるよ。だけどいずれ一緒に行くからその時はよろしく頼んだよ」

 そうミラー様がウインクするとマーク様とユーリがため息を吐く。本当今日は2人の息がぴったりだ。
 暫く経つと馬車が止まり、養殖場のような所に案内される。


「王子様、お待ちしておりました。この度はこんな所までお越し頂きありがとうございます。王子様に来て頂けるとはとても光栄でございます。私はこの養殖場の代表を務めていますフィルと言います」

 そう言って頭を下げる養殖場の代表のおじさん。頭を下げるとつるりんとした頭部が見える。しかしあのお城のセクハラ親父達とは違って、とても人の良さそうな男性だ。

「そんなに畏まらなくても大丈夫だ。今日は色々話を聞かせてもらいたいからよろしく頼むよ。こちらは側近のマークと、冒険者のユーリとユリだ。彼女達にも今日は話を聞かせてもらいたいと思って連れて来た」

「冒険者の方達なのですね。いつもお世話になっています」

 そう言って私達にも頭を下げるフィルさんに慌てて声を掛ける。

「私達にそんなに畏まらなくても大丈夫です。普通に接して下さい」

「そんな冒険者の方達のおかげで我々は安全に暮らせているのですから。今日は何かあればすぐに仰ってくださいね」

 そう言うと早速養殖場の施設まで案内してくれる。従業員も多くいるが、皆通路の隅で頭を下げていてその中を歩いていくので私はとても緊張してしまう。
 しかしミラー様とユーリはなんともないようにその中を歩いて行く。


「ちょっと、何であなたもそんな緊張しないのよ」

 耐えきれなくなった私はユーリにそっと声を掛ける。

「気にしてたらこいつとどこも歩けないぞ? 気にするだけ無駄だ」

「なんか慣れてるね。ミラー様とユーリってそんなに接点がないと思ってたけど違ったのね」

「お前こそミラーにプロ……」

「何?」

「いや、何でもない」

 何か言いかけたのだが珍しく言葉を止めるユーリ。ちょうどフィルさんが養殖についての説明を始めたので、何を言っていたのか気になるが話を聞くのに集中する。

「ここで魚を育てています。海の中にいけすを作り、こちらでは海藻を、あちらでは魚を育てています。水系のスキルを持った者を中心に温度管理、餌の調整を行っていて天然物よりも栄養素が満点です」

「そうか。海の中で飼育して同じ環境を作っているのだな。魚が取れない時期もあなた達のおかげで新鮮な魚介が食べられているよ。それで最近海に異変や変わったことはあるかい?」

「いえ、特には……」

「フィルさん、あのことは話さなくて良いのかい?」

 ミラー様とフィルさんが話していると、従業員の1人が声を掛ける。

「何かあったのかい?」

「いやでも……王子様のお耳に入れるような話ではないのですが」

「いやどんな小さなことでも聞いておきたい。今後の対策を練る必要があるかも知れないからね」

そう優しくミラー様が声を掛けるとそれならと言ってフィルさんが話始めてくれた。
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