8 / 25
第八話:裁きの始まりは、式典から
しおりを挟む
その日は、国中が湧いていた。
神託庁主催「聖女就任・祝福式典」。
天より神託を受けた“エリス・アルメリア”が、正式に聖女として国民の前に姿を現す――
そんな名目の、国規模の大イベント。
「まさか、あの“処刑されるはずだった令嬢”が聖女に……」
「でも、美しいし神々しいし、なんだか納得してしまう」
広場に集まった民衆は、口々に私の名をささやいた。
称賛と噂と、興味と。
けれど、私はどこも見ていない。
今日の標的は、ただ一人。
「……来たわね」
広間の奥、王族専用の来賓席。
そこに座るのは、レオンハルト王太子。
金の装束、威厳ある笑み。
処刑台のときと変わらない、その顔。
式典の開始と共に、私の名が呼ばれる。
「――聖女、エリス・アルメリア殿。
神託庁より、正式なる聖女任命の辞令が下されます」
神託庁の代表が私に手を差し出す。
それを受け取りながら、私は一歩、前に出た。
会場が静まり返る。
いまなら、誰もが私の声に耳を傾ける。
「……私は、聖女としてこの国の導きを担うことを、誓います」
そこまでは、形式通り。
けれど――
「同時に、この場をお借りして。
王家より命を狙われたこと、ならびに王太子レオンハルト殿下から受けた数々の冤罪について、ここに告発いたします」
騒然。
民衆がどよめき、王家の護衛が動き出す。
「黙れ! 貴様、何を――!」
レオンが立ち上がる。
だが私は、ゆっくりと神託の証――聖印を掲げた。
「神は見ていました。
処刑台で、私を貶め、殺そうとしたその愚かな選択を。
私は“聖女”として、王太子殿下に“償いの機会”を与えます」
「貴様ァ……!」
レオンが叫ぶその前に、
私の護衛――ユリウスが剣を抜き、私の前に立つ。
「騎士として、聖女を害する者はすべて敵と見なします」
空気が裂けるような静寂。
私は、王太子を見据えて微笑んだ。
「逃げないでね、レオンハルト。
今度は、私が“あなたの罪”を暴く番よ」
神託庁主催「聖女就任・祝福式典」。
天より神託を受けた“エリス・アルメリア”が、正式に聖女として国民の前に姿を現す――
そんな名目の、国規模の大イベント。
「まさか、あの“処刑されるはずだった令嬢”が聖女に……」
「でも、美しいし神々しいし、なんだか納得してしまう」
広場に集まった民衆は、口々に私の名をささやいた。
称賛と噂と、興味と。
けれど、私はどこも見ていない。
今日の標的は、ただ一人。
「……来たわね」
広間の奥、王族専用の来賓席。
そこに座るのは、レオンハルト王太子。
金の装束、威厳ある笑み。
処刑台のときと変わらない、その顔。
式典の開始と共に、私の名が呼ばれる。
「――聖女、エリス・アルメリア殿。
神託庁より、正式なる聖女任命の辞令が下されます」
神託庁の代表が私に手を差し出す。
それを受け取りながら、私は一歩、前に出た。
会場が静まり返る。
いまなら、誰もが私の声に耳を傾ける。
「……私は、聖女としてこの国の導きを担うことを、誓います」
そこまでは、形式通り。
けれど――
「同時に、この場をお借りして。
王家より命を狙われたこと、ならびに王太子レオンハルト殿下から受けた数々の冤罪について、ここに告発いたします」
騒然。
民衆がどよめき、王家の護衛が動き出す。
「黙れ! 貴様、何を――!」
レオンが立ち上がる。
だが私は、ゆっくりと神託の証――聖印を掲げた。
「神は見ていました。
処刑台で、私を貶め、殺そうとしたその愚かな選択を。
私は“聖女”として、王太子殿下に“償いの機会”を与えます」
「貴様ァ……!」
レオンが叫ぶその前に、
私の護衛――ユリウスが剣を抜き、私の前に立つ。
「騎士として、聖女を害する者はすべて敵と見なします」
空気が裂けるような静寂。
私は、王太子を見据えて微笑んだ。
「逃げないでね、レオンハルト。
今度は、私が“あなたの罪”を暴く番よ」
201
あなたにおすすめの小説
はじめまして、私の知らない婚約者様
有木珠乃@『ヒロ弟』コミカライズ配信中
ファンタジー
ミルドレッド・カーマイン公爵令嬢は突然、学園の食堂で話しかけられる。
見覚えのない男性。傍らには豊満な体型の女性がいる。
けれどその女性から発せられた男性の名前には、聞き覚えがあった。
ミルドレッドの婚約者であるブルーノ王子であることを。
けれどミルドレッドの反応は薄い。なぜなら彼女は……。
この世界を乙女ゲームだと知った人々による、悪役令嬢とヒロイン、魔女の入れ替え話です。
悪役令嬢を救いたかったはずなのに、どうしてこんなことに?
※他サイトにも掲載しています。
「地味な婚約者を捨てて令嬢と結婚します」と言った騎士様が、3ヶ月で離婚されて路頭に迷っている
歩人
ファンタジー
薬師のナターリアは婚約者の騎士ルドガーに「地味なお前より伯爵令嬢が
ふさわしい」と捨てられた。泣きはしなかった。ただ、明日から届ける薬が
一人分減るな、と思っただけ。
ルドガーは華やかな伯爵令嬢イレーネと結婚し、騎士団で出世する——はずだった。
しかしイレーネの実家は見栄だけの火の車。持参金は消え、借金取りが押し寄せ、
イレーネ本人にも「稼ぎが少ない」と三行半を突きつけられた。
3ヶ月で全てを失ったルドガーが街角で見たのは、王宮薬師に抜擢された
ナターリアが、騎士団長と笑い合う姿だった。
「なあ、ナターリア……俺が間違っていた」
「ええ、知ってます。でも、もう関係のない話ですね」
【完結】婚約破棄して泥を投げつけた元婚約者が「無能」と笑う中、光り輝く幼なじみの王子に掠め取られました。
ムラサメ
恋愛
「お前のような無能、我が家には不要だ。今すぐ消えろ!」
婚約者・エドワードのために身を粉にして尽くしてきたフィオナは、卒業パーティーの夜、雨の中に放り出される。
泥にまみれ、絶望に沈む彼女の前に現れたのは、かつての幼なじみであり、今や国中から愛される「黄金の王子」シリルだった。
「やっと見つけた。……ねえ、フィオナ。あんなゴミに君を傷つけさせるなんて、僕の落ち度だね」
汚れを厭わずフィオナを抱き上げたシリルは、彼女を自分の屋敷へと連れ帰る。
「自分には価値がない」と思い込むフィオナを、シリルは異常なまでの執着と甘い言葉で、とろけるように溺愛し始めて――。
一方で、フィオナを捨てたエドワードは気づいていなかった。
自分の手柄だと思っていた仕事も、領地の繁栄も、すべてはフィオナの才能によるものだったということに。
ボロボロになっていく元婚約者。美しく着飾られ、シリルの腕の中で幸せに微笑むフィオナ。
「僕の星を捨てた報い、たっぷりと受けてもらうよ?」
圧倒的な光を放つ幼なじみによる、最高に華やかな逆転劇がいま始まる!
私の妹は確かに聖女ですけど、私は女神本人ですわよ?
みおな
ファンタジー
私の妹は、聖女と呼ばれている。
妖精たちから魔法を授けられた者たちと違い、女神から魔法を授けられた者、それが聖女だ。
聖女は一世代にひとりしか現れない。
だから、私の婚約者である第二王子は声高らかに宣言する。
「ここに、ユースティティアとの婚約を破棄し、聖女フロラリアとの婚約を宣言する!」
あらあら。私はかまいませんけど、私が何者かご存知なのかしら?
それに妹フロラリアはシスコンですわよ?
この国、滅びないとよろしいわね?
婚約者チェンジ? 義理の妹は公爵令嬢の地位もチェンジされました』 ~三日で破談、家ごと褫奪の末路です~
ふわふわ
恋愛
「お姉様の婚約者、私がいただきますわ。だって“公爵令嬢”ですもの」
義理の妹コンキュはそう言って、王太子との婚約を奪いました。
父はそれを容認し、私は静かに受け入れます。
けれど――
公爵令嬢とは“地位”ではなく、“責任”の継承者。
王宮で礼儀も実務も拒み、「未来の王太子妃」を名乗った義妹は、わずか三日で婚約破棄。
さらに王家への不敬と統治能力の欠如が問題視され、父の監督責任が問われます。
そして下されたのは――家ごとの褫奪。
一方で私は、領地を守り、帳簿を整え、静かに家を支え続ける。
欲しがったのは肩書。
継いだのは責任。
正統は叫びません。
ただ、残るだけ。
これは、婚約を奪われた公爵令嬢が
“本当に継がれるべきもの”を証明する物語。
婚約者に「愛することはない」と言われたその日にたまたま出会った隣国の皇帝から溺愛されることになります。~捨てる王あれば拾う王ありですわ。
松ノ木るな
恋愛
純真無垢な侯爵令嬢レヴィーナは、国の次期王であるフィリベールと固い絆で結ばれる未来を夢みていた。しかし王太子はそのような意思を持つ彼女を生意気だと疎み、気まぐれに婚約破棄を言い渡す。
伴侶と寄り添う幸せな未来を諦めた彼女は悲観し、井戸に身を投げたのだった。
あの世だと思って辿りついた先は、小さな貴族の家の、こじんまりとした食堂。そこには呑めもしないのに酒を舐め、身分社会に恨み節を唱える美しい青年がいた。
どこの家の出の、どの立場とも知らぬふたりが、一目で恋に落ちたなら。
たまたま出会って離れていてもその存在を支えとする、そんなふたりが再会して結ばれる初恋ストーリーです。
婚約破棄されたので、隠していた聖女の力で聖樹を咲かせてみました
Megumi
恋愛
偽聖女と蔑まれ、婚約破棄されたイザベラ。
「お前は地味で、暗くて、何の取り柄もない」
元婚約者である王子はそう言い放った。
十年間、寡黙な令嬢を演じ続けた彼女。
その沈黙には、理由があった。
その夜、王都を照らす奇跡の光。
枯れた聖樹が満開に咲き誇り、人々は囁いた。
「真の聖女が目覚めた」と——
虐げられた聖女が魔力を引き揚げて隣国へ渡った結果、祖国が完全に詰んだ件について~冷徹皇帝陛下は私を甘やかすのに忙しいそうです~
日々埋没。
恋愛
「お前は無能な欠陥品」と婚約破棄された聖女エルゼ。
彼女が国中の魔力を手繰り寄せて出国した瞬間、祖国の繁栄は終わった。
一方、隣国の皇帝に保護されたエルゼは、至れり尽くせりの溺愛生活の中で真の力を開花させていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる