落ちこぼれ予言者と、世界を救うただの少年

春夜夢

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第一試練・記憶と決意の幻影

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白い光に包まれた瞬間、フィノとレントは、それぞれ別の空間にいた。

 ──ここは、どこ?

 フィノの目の前に広がっていたのは、懐かしい“あの家”だった。
 名家エルカ家。予言者の名門。幼い頃、自分が“未来視”の力に目覚めたその場所。

 けれどそこにいるのは、かつての自分──
 まだ希望を信じ、予言を誇りにしていた少女の姿だった。

「“未来は見えるもの”であって、“変えるものじゃない”。
 それを壊したから、あなたは追放されたのよ?」

 鏡のように語りかける“過去の自分”。

「どうしてあなたは、見えている未来を否定するの?」

 フィノは立ち尽くす。言葉が出ない。
 でも──

「……否定してるんじゃない。変えたいって思っただけ」

 「不幸になる未来」が見えたら、誰だって手を伸ばす。
 それが“正しいかどうか”じゃなく、ただ“放っておけなかった”から。

「それが、私が私である理由。……たとえ世界中が否定しても」

 幻影の家が、光とともに崩れ落ちた。
 フィノは、白い空間の中で、前を向いた。

 一方、レントの前に現れたのは──“誰もいない村”。

 かつて彼が育った、記憶の中の村。
 けれど人々は影のように消え、声も届かない。

 「僕のせいで……」

 思わずそう呟いた瞬間、炎のような幻影が襲いかかる。

『お前が器だから、村は滅びた』

『存在そのものが呪いだ』

『生まれてきたことが、間違いだった』

 レントは、崩れ落ちそうになる自分を両腕で支える。
 視界が揺れて、声が頭を貫く──

 でも、思い出す。

 「違う……僕は……“選ばれた”んじゃない」

 「“選んだ”んだ。生きるって。誰かと歩くって。未来を、変えるって」

 その瞬間、幻影の村は光となって霧散する。
 レントは、強く目を開けた。

 二人は、それぞれの空間を超え、中央の間へと導かれていた。
 再び出会うと、そこには試練の声が響いた。

『選択を終えし者たちよ。
 第一試練、通過を認める。
 塔の第二層への扉、開放──』

 ──ゴゴゴ……

 塔が再び揺れ、上層へ続く階段が出現する。

 フィノとレントは顔を見合わせ、そして微笑んだ。

「怖かったけど……ちゃんと向き合えた」

「うん。過去も、未来も、僕たちの中にある。だから進める」

 二人は、次の階層へと足を踏み出す。

 その先に待つのは──真なる“神の意志”との邂逅。
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