落ちこぼれ予言者と、世界を救うただの少年

春夜夢

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世界の果て、はじまりの地

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光の扉をくぐった先、二人が立っていたのは──

 “何もない世界”だった。

 空は白く、地は薄く光る砂で覆われ、風さえない。
 けれど空気には、不思議なぬくもりがあった。

「ここ……どこ?」

「……わからない。でも、懐かしい気がする」

 レントが静かに答える。
 その言葉通り、彼の中で何かが目を覚ましかけていた。

 ──キィン……ッ

 頭の奥に響く、澄んだ音。
 砂の中に埋もれていた“記憶石”が、ふいに輝き始めた。

「これは……!」

 レントが触れると、光が塔のように立ち昇り、記録が再生された。

 記録映像の中で、神々はこの場所に“最初の命”を降ろしていた。

 「ここに、願いを込めよう。世界がただ滅びるのではなく──誰かに“託す”未来を」

 そう言ったのは、一柱の神──エルセリア。

 彼女は“裁定者の制度”に反対し、密かにこの地に“器の原型”を埋め込んでいた。

 そして、語られた最後の預言。

 『器が自らを選び、導き手と共に歩むとき──
 世界は初めて、神の手を離れる』

「……僕は、この場所で“生まれた”んだ」

 レントの言葉に、フィノはそっと寄り添う。

「だからここが、始まりの場所。
 でも同時に、君が“未来を選ぶ”最後の地でもあるんだね」

 その瞬間、空にひとつの“光の柱”が現れた。
 それは、まるで空間そのものが開いていくような、神聖でいて恐ろしい現象だった。

 ──そして、声が響く。

 『最後の選択を行え。
  この世界を“裁定”するか、“託す”か』

 「裁定」とは、神のもとで選別された管理された世界を続けること。
 「託す」とは、神の加護を手放し、人間自身に未来を委ねること。

 どちらも正解ではない。
 けれど、それを選ぶのは──今や、“器と導き手”だけ。

 レントは、フィノの手を握った。

「……僕たちの旅は、ずっと“選ぶ”ってことを重ねてきた。
 その果てに今、ここにいる」

 フィノもまた、頷く。

「私も、見えた未来に抗い続けてきた。
 たとえ失敗しても、間違っても、“歩み続けること”だけはやめなかった」

 二人は、空を見上げた。
 そこには、誰の干渉もない、まっさらな世界が広がっていた。

「僕たちは、“託す”を選ぶ。
 未来を、人に委ねる。
 神がくれた奇跡よりも──人が築く希望を信じたいから」

 その言葉と共に、光の柱が静かに崩れ落ちた。

 世界が、静かに、揺らぎ始めた。
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