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滅びの予言、そして──始まりの朝
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“託す”という選択がなされた瞬間、
塔の最上層、神の空間は音もなく崩れ始めた。
まるで“役目を終えた構造物”のように、静かに、そして潔く。
けれど、世界は崩れなかった。
むしろ──“何かが解き放たれた”ように、空気は澄み、空は深くなっていた。
「……終わった、のかな?」
レントがそう呟く横で、フィノも微笑んだ。
「ううん。“始まった”んだよ、きっと」
選択は完了した。
神々の加護はすべて解除され、人の手に世界が戻った。
それは同時に、責任も、希望も、すべてを背負うという意味だった。
──そして、彼が現れた。
「ようやく……終わったか」
塔の残骸に立つ黒衣の男。
ゼイン・ハルヴァード。かつて神の側に立ち、器を見張り続けた男。
「ゼイン……!」
「驚いたよ。まさか、本当に“託す”を選ぶとはな」
彼は仮面を外した。
その素顔は、かつての預言者の面影を残したまま、どこかやつれていた。
「俺はかつて、お前のような器を導こうとした。
だが、世界はその少年を“裏切った”。
彼は、選ぶ前に、世界によって滅ぼされたんだ」
静かに語られる、ゼインの過去。
「だから俺は、希望という言葉を信じなかった。
選ばせる前に、選ばれる者を消してしまう世界に、託す価値などないと」
レントは、しばらく黙っていたが、やがてこう返す。
「それでも僕は、選ぶことをやめたくなかった。
たとえまた、間違える日が来たとしても──」
「……そうか」
ゼインは、ふっと目を細める。
「ならば、俺の役目は終わりだな。
もう、“器を止める者”は不要だ」
彼はゆっくりと、塔の崩れゆく影に歩いていく。
「だがレント……お前の中には、まだもう一つの予言が眠っている」
「……え?」
振り返ったゼインの表情は、どこか穏やかだった。
「託された未来が、すべての者にとって“正しい”とは限らない。
──だからこそ、選び続けろ」
そして、彼は消えた。
塔と共に、神々の最後の証人として。
夜が明けた。
風が吹き、雲が流れ、太陽が地平を照らす。
その光の中に立つレントとフィノ。
「……これから、どうしようか」
「うん。まずは、世界を見に行こう」
「世界を、“自分たちの目で”ね」
二人は歩き出す。
神も予言もない、でも希望に満ちた──“新しい時代”を生きるために。
塔の最上層、神の空間は音もなく崩れ始めた。
まるで“役目を終えた構造物”のように、静かに、そして潔く。
けれど、世界は崩れなかった。
むしろ──“何かが解き放たれた”ように、空気は澄み、空は深くなっていた。
「……終わった、のかな?」
レントがそう呟く横で、フィノも微笑んだ。
「ううん。“始まった”んだよ、きっと」
選択は完了した。
神々の加護はすべて解除され、人の手に世界が戻った。
それは同時に、責任も、希望も、すべてを背負うという意味だった。
──そして、彼が現れた。
「ようやく……終わったか」
塔の残骸に立つ黒衣の男。
ゼイン・ハルヴァード。かつて神の側に立ち、器を見張り続けた男。
「ゼイン……!」
「驚いたよ。まさか、本当に“託す”を選ぶとはな」
彼は仮面を外した。
その素顔は、かつての預言者の面影を残したまま、どこかやつれていた。
「俺はかつて、お前のような器を導こうとした。
だが、世界はその少年を“裏切った”。
彼は、選ぶ前に、世界によって滅ぼされたんだ」
静かに語られる、ゼインの過去。
「だから俺は、希望という言葉を信じなかった。
選ばせる前に、選ばれる者を消してしまう世界に、託す価値などないと」
レントは、しばらく黙っていたが、やがてこう返す。
「それでも僕は、選ぶことをやめたくなかった。
たとえまた、間違える日が来たとしても──」
「……そうか」
ゼインは、ふっと目を細める。
「ならば、俺の役目は終わりだな。
もう、“器を止める者”は不要だ」
彼はゆっくりと、塔の崩れゆく影に歩いていく。
「だがレント……お前の中には、まだもう一つの予言が眠っている」
「……え?」
振り返ったゼインの表情は、どこか穏やかだった。
「託された未来が、すべての者にとって“正しい”とは限らない。
──だからこそ、選び続けろ」
そして、彼は消えた。
塔と共に、神々の最後の証人として。
夜が明けた。
風が吹き、雲が流れ、太陽が地平を照らす。
その光の中に立つレントとフィノ。
「……これから、どうしようか」
「うん。まずは、世界を見に行こう」
「世界を、“自分たちの目で”ね」
二人は歩き出す。
神も予言もない、でも希望に満ちた──“新しい時代”を生きるために。
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