追放寸前だった私、なぜか最強の氷の魔導師の婚約者にされました。冷酷無表情かと思いきや、ベッドの上では甘くて独占欲だだ漏れです

春夜夢

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第8話:王都の婚約破棄宣告と、“彼の選択”――私は本当に、愛されているの?

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それは突然だった。

王都からの使者が魔法学院へ現れ、淡々と通告した。

「氷の魔導師、カイル・アイゼンハルト殿。
 あなたと結城リカ殿との婚約は、“無効”とされます」

理由は、明白だった。

・異世界人との契約は前例がない
・身分証明も魔法資格もない者を正式婚約者として扱うことはできない
・王族よりの縁談が進行中であることへの配慮

「……つまり、“私”では王家にふさわしくない、と?」

口にして、初めて実感した。

私は異物なのだ、この世界にとって。

けれど――カイルは、何も言わなかった。

使者の前でも、私の手を取らず、名前すら呼ばなかった。

彼が黙っている間に、私は、胸の奥にじくじくとした“冷たい痛み”を覚えていた。

その夜、部屋の扉が開く音で目を覚ました。

「……リカ」

「……来ないで。私、今、あなたの顔見たら泣くかもしれない」

「泣いてもいい。怒ってもいい。……でも、それでも君の隣にいたい」

彼は、ゆっくりとベッドに腰を下ろし、私を抱きしめる。
身体が冷えていた私に、彼の体温はあまりに優しかった。

「昼間、なぜ黙ってたの?」

「……お前を“公に守る”力を、俺はまだ持っていなかった。
 けれど、“私的に守る”なら、今すぐにでもできる」

彼の手が、私の頬を撫で、唇が、そっと重ねられる。

「だから……今日は“私的に”お前を奪わせてくれ」

その囁きと共に、彼は私の寝間着をそっとずらし、肩を剥いた。

「やっ、だめ、気持ちが不安定な時に、こんな……っ」

「だからこそ、お前を“愛している”と、身体で証明する」

そのまま彼は、私の胸に、下腹部に、何度も優しく口づけた。

いつもより丁寧に、何度も抱かれた。

ゆっくりと入ってくる熱に、身体がまた、快感と安堵にとろけていく。

「他の誰に拒否されても、俺だけは、お前を必要とする」

「っ……わたしも、あなたじゃなきゃ、だめ……」

何度も、名前を呼び合いながら、ひとつになった。

翌朝。

王族との縁談が“破棄”されたという情報が学院に届いた。

カイルが、全ての政治的立場を捨てて、自ら断ち切ったのだという。

「お前が欲しい。それ以上でも、以下でもない」

カイルは、私を見て、静かに言った。

この人は、誰より不器用で、
だけど――誰よりも、真っすぐだった。

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