追放寸前だった私、なぜか最強の氷の魔導師の婚約者にされました。冷酷無表情かと思いきや、ベッドの上では甘くて独占欲だだ漏れです

春夜夢

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第13話:“魔眼因子”と呼ばれた私――国家の敵か、最強魔導師の妻か

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翌朝、目を覚ますと、カイルの腕が私の腰に絡んでいた。

(……昨日は、夢じゃなかったんだ)

あれほど深く、強く、何度も何度も――
身体を繋いで、心を溶かして、誓いを交わした。

「……おはよう、リカ」

寝起きの声が、少し掠れていて、珍しく甘ったるい。

「カイルさん、疲れてる?」

「……お前が可愛すぎて、つい熱くなっただけだ」

彼が額を押し当ててきたその瞬間、部屋の扉が荒々しくノックされた。

「緊急報告です! 王宮からの召喚命令――
 “結城リカ殿の出自に関する重要確認事項”とのことです!」

「……何の冗談だ?」

カイルの声が低く沈む。
私は、なぜか寒気を覚えた。

王宮の書庫。
重厚な扉の奥、王家直属の魔導研究官が一冊の古文書を開いた。

それは、禁書指定されていたものだった。

“異界より現れし巫女、魔眼の因子を持つ。
その眼は、魔力を拒絶し、制御し、最終的には神性をも覆す。
国にとって有益でなければ、処分の対象とすることが望ましい”

そのページの脇に、書き込まれた注釈があった。

【対象名:結城リカ。記録日:カイル・アイゼンハルトの召喚日と一致】

(……私が、“処分対象”?)

その場で立ち尽くす私の背後で、カイルの魔力が高く跳ねた。

「誰が、こんな戯言を書いた」

「これは……千年前の預言文の一部です。
 ただ、現代に“魔眼因子”を持って召喚されたのは、あなたの婚約者が初めてでして……」

「――ならば、それは運命ではない。“選ばれた”んだ」

「ですが、万が一、暴走すれば国家が――」

「暴走しない。俺が止める。俺が制御する。俺が……この手で、抱き続ける」

その言葉に、私の胸の奥が熱くなった。

「カイルさん……」

「お前は、誰に否定されてもいい。
 俺だけは、何があっても――味方でい続ける」

その夜、カイルは私を“言葉で守る”だけでは終わらなかった。

ベッドの上で、彼は執拗なほどに私の身体を愛して、
“誰のものなのか”を、心と身体に刻み込んできた。

「お前のすべてを、俺の中に染めてやる。
 魔眼も、異界の因子も、全部含めて――俺の、女にする」

快楽と魔力が混ざり合う中、
私は、確かにこの人に守られていると、全身で理解した。
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