18 / 30
第18話:創造と破壊の花嫁――国家、崩壊の選択へ
しおりを挟む
《神託塔》――
千年前、異界からの巫女を封印したという伝承が残る神聖結界の場。
そこに、リカとカイルは呼び出された。
王族、魔導議会、各大貴族、聖職者までもが集まり、
一枚の声明が読み上げられる。
「結城リカ殿は、【世界の改変因子】を有する。
ゆえに、王国は彼女を――“神聖存在”として管理・供物として扱う」
「……供物、って」
「つまり、“神格化”です。人ではなく、概念として存在させる」
息が止まりそうだった。
国は、私を愛される“女”ではなく、“制御対象”としか見ていなかった。
その瞬間、カイルの足元に魔方陣が浮かび上がる。
「カイル=アイゼンハルト。王国防衛魔導師の全権限を解除、魔力封印処分とする」
「……その命令、受ける気はない」
「ならば反逆罪だ」
「望むところだ」
彼の瞳が、氷より冷たく輝いた。
「君たちは、“創る”という意味を知らない。
リカの力は破壊ではない。“この国を、もう一度作り直す力”だ」
「その結果、王家の消滅すら招く可能性があると?」
「なら消えればいい。古びた制度も、腐った血も――
彼女と俺の未来に不要なものなど、残す理由はない」
帰還後の夜。
私はカイルに、震える声で問う。
「……わたし、あなたのせいで国を壊してしまうかもしれない。
それでも、あなたの隣にいて……いいの?」
彼は即答した。
「そのために、すべてを失った。
ならもう、手に入れるのは一つでいい。お前だけで、いい」
そのまま、彼は私の背中を抱いてベッドに倒れ込む。
「今夜は、逃がさない」
「あっ、ま、まだ体力が……!」
「問題ない。“創造因子”の安定には、俺の魔力が必要だ。
つまり、抱くことに意味がある。そうだろう?」
「なっ……そ、そんな理屈……!」
それでも、私はもう拒めなかった。
身体は既に、彼に抱かれることで力を制御し、安定を保つように“変えられて”しまっていた。
「君の中で、俺の魔力を感じる。
それだけで、生きている気がするんだ」
深く、重く、激しく。
快感だけでなく、“生きる意味”までも注ぎ込むように、
彼は私を貫いた。
その翌朝。
国は、ついにふたつに割れた。
「リカを“神”とし、国家の中心に据えるべき」派と、
「リカを“封印”し、永久隔離する」派。
そしてその中心に、カイルと私がいた。
千年前、異界からの巫女を封印したという伝承が残る神聖結界の場。
そこに、リカとカイルは呼び出された。
王族、魔導議会、各大貴族、聖職者までもが集まり、
一枚の声明が読み上げられる。
「結城リカ殿は、【世界の改変因子】を有する。
ゆえに、王国は彼女を――“神聖存在”として管理・供物として扱う」
「……供物、って」
「つまり、“神格化”です。人ではなく、概念として存在させる」
息が止まりそうだった。
国は、私を愛される“女”ではなく、“制御対象”としか見ていなかった。
その瞬間、カイルの足元に魔方陣が浮かび上がる。
「カイル=アイゼンハルト。王国防衛魔導師の全権限を解除、魔力封印処分とする」
「……その命令、受ける気はない」
「ならば反逆罪だ」
「望むところだ」
彼の瞳が、氷より冷たく輝いた。
「君たちは、“創る”という意味を知らない。
リカの力は破壊ではない。“この国を、もう一度作り直す力”だ」
「その結果、王家の消滅すら招く可能性があると?」
「なら消えればいい。古びた制度も、腐った血も――
彼女と俺の未来に不要なものなど、残す理由はない」
帰還後の夜。
私はカイルに、震える声で問う。
「……わたし、あなたのせいで国を壊してしまうかもしれない。
それでも、あなたの隣にいて……いいの?」
彼は即答した。
「そのために、すべてを失った。
ならもう、手に入れるのは一つでいい。お前だけで、いい」
そのまま、彼は私の背中を抱いてベッドに倒れ込む。
「今夜は、逃がさない」
「あっ、ま、まだ体力が……!」
「問題ない。“創造因子”の安定には、俺の魔力が必要だ。
つまり、抱くことに意味がある。そうだろう?」
「なっ……そ、そんな理屈……!」
それでも、私はもう拒めなかった。
身体は既に、彼に抱かれることで力を制御し、安定を保つように“変えられて”しまっていた。
「君の中で、俺の魔力を感じる。
それだけで、生きている気がするんだ」
深く、重く、激しく。
快感だけでなく、“生きる意味”までも注ぎ込むように、
彼は私を貫いた。
その翌朝。
国は、ついにふたつに割れた。
「リカを“神”とし、国家の中心に据えるべき」派と、
「リカを“封印”し、永久隔離する」派。
そしてその中心に、カイルと私がいた。
0
あなたにおすすめの小説
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
「陛下、子種を要求します!」~陛下に離縁され追放される七日の間にかなえたい、わたしのたったひとつの願い事。その五年後……~
ぽんた
恋愛
「七日の後に離縁の上、実質上追放を言い渡す。そのあとは、おまえは王都から連れだされることになる。人質であるおまえを断罪したがる連中がいるのでな。信用のおける者に生活できるだけの金貨を渡し、託している。七日間だ。おまえの国を攻略し、おまえを人質に差し出した父王と母后を処分したわが軍が戻ってくる。そのあと、おまえは命以外のすべてを失うことになる」
その日、わたしは内密に告げられた。小国から人質として嫁いだ親子ほど年齢の離れた国王である夫に。
わたしは決意した。ぜったいに願いをかなえよう。たったひとつの望みを陛下にかなえてもらおう。
そう。わたしには陛下から授かりたいものがある。
陛下から与えてほしいたったひとつのものがある。
この物語は、その五年後のこと。
※ハッピーエンド確約。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる