25 / 30
第25話:神と呼ばれる牢獄――それでも、あなたに抱かれたい
しおりを挟む
王宮・神域の間――
それは、世界で最も美しく、最も冷たい檻だった。
純白の大理石に、黄金の柱。
宙に浮かぶ魔導術式が、私の周囲をぐるりと囲んでいた。
(これが……“崇められる”ということ)
着せられたのは、透けるように薄い神装。
“女神”として王国が私に与えたのは、尊厳でも自由でもなく――見世物としての称号だった。
「カイルさんは……今、どこに……」
誰にも会えず、誰とも話せず、魔力も抑えられ、
私の存在は、世界で最も孤独な光になっていた。
その夜、
扉の結界が、音もなく凍りついた。
「……迎えに来た」
その声に、心臓が跳ねた。
「カイルさん……!」
彼はゆっくりと歩み寄り、
そのまま、誰も見ていないというのに――
私の足元に跪いた。
「……お前を“神”になどさせない。
お前は、俺だけの女だ。今すぐ奪ってやる」
「……でも、私、もう“崇拝対象”になっちゃったのに……」
「そんなの関係ない。
今から“ただの女”に戻してやる。俺の腕の中でな」
そのまま、彼は私を抱き上げ、
豪奢な玉座の上に、そっと私を寝かせた。
「この部屋の結界は封じた。ここでは、もう誰もお前を縛れない」
「じゃあ……もう一度、抱いて。カイルさんの手で、私を“人間”に戻して……」
その夜、
玉座は、甘く、淫らな音で満たされた。
「リカ……今夜は、君を“聖域の中で”犯す。
俺のものであることを、誰にも否定できないように」
「っ、あっ……ん……! 気持ち、よすぎて、涙が……!」
神衣を脱がされ、素肌を舐められ、
聖域の中で、私はただの“彼の女”に戻っていく。
「お前の全部を、神じゃなく、“妻”として味わいたい」
「うん……うん……いっぱい、私に刻んで……」
彼は、優しさと狂気の狭間で、私を何度も突き上げ、
魔力のすべてを私の奥に注いだ。
「リカ、お前は神なんかじゃない。俺のものだ。それでいい」
「……うん、私、もう……“あなたのためだけの存在”でいい……」
翌朝、
王宮中が凍りついた。
“女神が姿を消した”と――
“氷の魔導師が、神域を奪った”と。
だが私はただ、カイルの腕の中で眠っていた。
愛されすぎて、
魔眼の輝きすら穏やかに揺れるほどに、満たされて。
それは、世界で最も美しく、最も冷たい檻だった。
純白の大理石に、黄金の柱。
宙に浮かぶ魔導術式が、私の周囲をぐるりと囲んでいた。
(これが……“崇められる”ということ)
着せられたのは、透けるように薄い神装。
“女神”として王国が私に与えたのは、尊厳でも自由でもなく――見世物としての称号だった。
「カイルさんは……今、どこに……」
誰にも会えず、誰とも話せず、魔力も抑えられ、
私の存在は、世界で最も孤独な光になっていた。
その夜、
扉の結界が、音もなく凍りついた。
「……迎えに来た」
その声に、心臓が跳ねた。
「カイルさん……!」
彼はゆっくりと歩み寄り、
そのまま、誰も見ていないというのに――
私の足元に跪いた。
「……お前を“神”になどさせない。
お前は、俺だけの女だ。今すぐ奪ってやる」
「……でも、私、もう“崇拝対象”になっちゃったのに……」
「そんなの関係ない。
今から“ただの女”に戻してやる。俺の腕の中でな」
そのまま、彼は私を抱き上げ、
豪奢な玉座の上に、そっと私を寝かせた。
「この部屋の結界は封じた。ここでは、もう誰もお前を縛れない」
「じゃあ……もう一度、抱いて。カイルさんの手で、私を“人間”に戻して……」
その夜、
玉座は、甘く、淫らな音で満たされた。
「リカ……今夜は、君を“聖域の中で”犯す。
俺のものであることを、誰にも否定できないように」
「っ、あっ……ん……! 気持ち、よすぎて、涙が……!」
神衣を脱がされ、素肌を舐められ、
聖域の中で、私はただの“彼の女”に戻っていく。
「お前の全部を、神じゃなく、“妻”として味わいたい」
「うん……うん……いっぱい、私に刻んで……」
彼は、優しさと狂気の狭間で、私を何度も突き上げ、
魔力のすべてを私の奥に注いだ。
「リカ、お前は神なんかじゃない。俺のものだ。それでいい」
「……うん、私、もう……“あなたのためだけの存在”でいい……」
翌朝、
王宮中が凍りついた。
“女神が姿を消した”と――
“氷の魔導師が、神域を奪った”と。
だが私はただ、カイルの腕の中で眠っていた。
愛されすぎて、
魔眼の輝きすら穏やかに揺れるほどに、満たされて。
1
あなたにおすすめの小説
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
白いもふもふ好きの僕が転生したらフェンリルになっていた!!
ろき
ファンタジー
ブラック企業で消耗する社畜・白瀬陸空(しらせりくう)の唯一の癒し。それは「白いもふもふ」だった。 ある日、白い子犬を助けて命を落とした彼は、異世界で目を覚ます。
ふと水面を覗き込むと、そこに映っていたのは―― 伝説の神獣【フェンリル】になった自分自身!?
「どうせ転生するなら、テイマーになって、もふもふパラダイスを作りたかった!」 「なんで俺自身がもふもふの神獣になってるんだよ!」
理想と真逆の姿に絶望する陸空。 だが、彼には規格外の魔力と、前世の異常なまでの「もふもふへの執着」が変化した、とある謎のスキルが備わっていた。
これは、最強の神獣になってしまった男が、ただひたすらに「もふもふ」を愛でようとした結果、周囲の人間(とくにエルフ)に崇拝され、勘違いが勘違いを呼んで国を動かしてしまう、予測不能な異世界もふもふライフ!
【完結】異世界に転移しましたら、四人の夫に溺愛されることになりました(笑)
かのん
恋愛
気が付けば、喧騒など全く聞こえない、鳥のさえずりが穏やかに聞こえる森にいました。
わぁ、こんな静かなところ初めて~なんて、のんびりしていたら、目の前に麗しの美形達が現れて・・・
これは、女性が少ない世界に転移した二十九歳独身女性が、あれよあれよという間に精霊の愛し子として囲われ、いつのまにか四人の男性と結婚し、あれよあれよという間に溺愛される物語。
あっさりめのお話です。それでもよろしければどうぞ!
本日だけ、二話更新。毎日朝10時に更新します。
完結しておりますので、安心してお読みください。
『異世界に転移した限界OL、なぜか周囲が勝手に盛り上がってます』
宵森みなと
ファンタジー
ブラック気味な職場で“お局扱い”に耐えながら働いていた29歳のOL、芹澤まどか。ある日、仕事帰りに道を歩いていると突然霧に包まれ、気がつけば鬱蒼とした森の中——。そこはまさかの異世界!?日本に戻るつもりは一切なし。心機一転、静かに生きていくはずだったのに、なぜか事件とトラブルが次々舞い込む!?
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
「陛下、子種を要求します!」~陛下に離縁され追放される七日の間にかなえたい、わたしのたったひとつの願い事。その五年後……~
ぽんた
恋愛
「七日の後に離縁の上、実質上追放を言い渡す。そのあとは、おまえは王都から連れだされることになる。人質であるおまえを断罪したがる連中がいるのでな。信用のおける者に生活できるだけの金貨を渡し、託している。七日間だ。おまえの国を攻略し、おまえを人質に差し出した父王と母后を処分したわが軍が戻ってくる。そのあと、おまえは命以外のすべてを失うことになる」
その日、わたしは内密に告げられた。小国から人質として嫁いだ親子ほど年齢の離れた国王である夫に。
わたしは決意した。ぜったいに願いをかなえよう。たったひとつの望みを陛下にかなえてもらおう。
そう。わたしには陛下から授かりたいものがある。
陛下から与えてほしいたったひとつのものがある。
この物語は、その五年後のこと。
※ハッピーエンド確約。ご都合主義のゆるゆる設定はご容赦願います。
転生したら悪役令嬢になりかけてました!〜まだ5歳だからやり直せる!〜
具なっしー
恋愛
5歳のベアトリーチェは、苦いピーマンを食べて気絶した拍子に、
前世の記憶を取り戻す。
前世は日本の女子学生。
家でも学校でも「空気を読む」ことばかりで、誰にも本音を言えず、
息苦しい毎日を過ごしていた。
ただ、本を読んでいるときだけは心が自由になれた――。
転生したこの世界は、女性が希少で、男性しか魔法を使えない世界。
女性は「守られるだけの存在」とされ、社会の中で特別に甘やかされている。
だがそのせいで、女性たちはみな我儘で傲慢になり、
横暴さを誇るのが「普通」だった。
けれどベアトリーチェは違う。
前世で身につけた「空気を読む力」と、
本を愛する静かな心を持っていた。
そんな彼女には二人の婚約者がいる。
――父違いの、血を分けた兄たち。
彼らは溺愛どころではなく、
「彼女のためなら国を滅ぼしても構わない」とまで思っている危険な兄たちだった。
ベアトリーチェは戸惑いながらも、
この異世界で「ただ愛されるだけの人生」を歩んでいくことになる。
※表紙はAI画像です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる