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第三十四話「番を創った男──始まりの檻へ」
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王都の地下、立ち入りが禁じられた旧研究棟。
そこは、長く王家の闇を封じてきた“始まりの檻”だった。
セイルとレイグランは、最小限の護衛を連れて、その鉄扉の前に立つ。
地下深くにまで届く冷気が、ひたりと肌を撫でた。
「ここに……俺を“創った”人がいるのか」
セイルは、自分でも驚くほど冷静だった。
恐怖はある。だがそれより、確かめたいという想いの方が勝っていた。
「一緒に行こう」
レイグランがその手を握った。
扉の魔術封印が解かれ、音もなく開く。
研究室の中央に、ひとりの男が拘束されていた。
痩せ細った体、白髪混じりの髪、血走った瞳。
だが、その眼差しには異様な熱が宿っていた。
「セイル・ノア……いや、“実験体046-A”。ようやく会えたな」
男――アイン・ラグネス博士は、口元にゆがんだ笑みを浮かべる。
「君は“番”を象徴する究極のオメガとして調整された存在だ。君の存在自体が、“番の証明”だよ」
セイルの喉が、ひとつ鳴った。
「どうして……そんなもの、作ろうとした」
「王家の依頼だ。『番という制度を完全に制御できる個体』を求めていた。
私たちはそれを達成した。“君”によってな」
衝撃と嫌悪に、セイルの指先が震える。
「……だったら、俺は……お前の“失敗作”だ」
「ほう?」
「俺は“誰かを支配する番”じゃない。
愛されて、守られて、自分で“選ばれた”んだ」
その言葉に、アインは薄く笑った。
「では――証明してみせろ。“番ではない愛”が、本当に存在するというなら」
その瞬間、研究室に仕込まれていた古い魔術装置が起動する。
拘束が弾け、男が突進してくる。
「セイル!!」
レイグランが盾となり、男を地に叩きつけた。
「実験で命を弄び、“番”を呪いに変えたお前に、彼を語る資格はない」
研究棟は封鎖され、アインは再び幽閉された。
その際、セイルの出生に関するすべての記録も押収され、王家の直轄管理下に移された。
夜。
レイグランの寝室で、セイルは小さく囁いた。
「……俺、壊れてなかったかな」
レイグランは優しく髪を撫でた。
「君は創られたかもしれない。でも、今こうして隣にいるのは、“君が君であるから”だ」
セイルはその言葉に、ようやく泣くことができた。
長い間、塞いでいた涙が、静かに頬を伝って落ちた。
そこは、長く王家の闇を封じてきた“始まりの檻”だった。
セイルとレイグランは、最小限の護衛を連れて、その鉄扉の前に立つ。
地下深くにまで届く冷気が、ひたりと肌を撫でた。
「ここに……俺を“創った”人がいるのか」
セイルは、自分でも驚くほど冷静だった。
恐怖はある。だがそれより、確かめたいという想いの方が勝っていた。
「一緒に行こう」
レイグランがその手を握った。
扉の魔術封印が解かれ、音もなく開く。
研究室の中央に、ひとりの男が拘束されていた。
痩せ細った体、白髪混じりの髪、血走った瞳。
だが、その眼差しには異様な熱が宿っていた。
「セイル・ノア……いや、“実験体046-A”。ようやく会えたな」
男――アイン・ラグネス博士は、口元にゆがんだ笑みを浮かべる。
「君は“番”を象徴する究極のオメガとして調整された存在だ。君の存在自体が、“番の証明”だよ」
セイルの喉が、ひとつ鳴った。
「どうして……そんなもの、作ろうとした」
「王家の依頼だ。『番という制度を完全に制御できる個体』を求めていた。
私たちはそれを達成した。“君”によってな」
衝撃と嫌悪に、セイルの指先が震える。
「……だったら、俺は……お前の“失敗作”だ」
「ほう?」
「俺は“誰かを支配する番”じゃない。
愛されて、守られて、自分で“選ばれた”んだ」
その言葉に、アインは薄く笑った。
「では――証明してみせろ。“番ではない愛”が、本当に存在するというなら」
その瞬間、研究室に仕込まれていた古い魔術装置が起動する。
拘束が弾け、男が突進してくる。
「セイル!!」
レイグランが盾となり、男を地に叩きつけた。
「実験で命を弄び、“番”を呪いに変えたお前に、彼を語る資格はない」
研究棟は封鎖され、アインは再び幽閉された。
その際、セイルの出生に関するすべての記録も押収され、王家の直轄管理下に移された。
夜。
レイグランの寝室で、セイルは小さく囁いた。
「……俺、壊れてなかったかな」
レイグランは優しく髪を撫でた。
「君は創られたかもしれない。でも、今こうして隣にいるのは、“君が君であるから”だ」
セイルはその言葉に、ようやく泣くことができた。
長い間、塞いでいた涙が、静かに頬を伝って落ちた。
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