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トラバス家のメイド

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アメリア・アメリー嬢は元々最初の頃は社交界の蝶だなんて呼ばれていなかった。あまり人と付き合うのが苦手だった彼女は上の二人の姉といつも比べられていた。
一番上の姉は押しとやかで母親に似た美しい令嬢として知られていたし、二番目の姉は華やかで父親に似て凛々しい顔立ちをしていた。二人とも種類の違う美しさを持った令嬢だったが、アメリア嬢は母親にも父親にも似ておらす、父方の祖母に似ており二人と並んでしまうと平凡に見えてしまう。本人も両親に似ていないことを大変気にしており、そのことに負い目のようなものを感じていた。
それなのに二人の姉も彼女のことを相当馬鹿にして勉強しかできないカビくさ女等と嘲笑っていたものだから、“私はカビくさ女ではないわ”と自棄になり男漁りを始めた。元々顔は良い分類に入るのであの泣きぼくろに引き寄せられてか男が群がるようになった。

最初の内は二人の姉に勝てたような気がしていたがそれが間違いだとしばらくして気付いた。二人の姉は貞淑だとその後すぐ婚約者ができ結婚。

裏表の激しい二人の姉は婚約者ができたときに両親に隠れて彼女にこう言ったらしい。

「カビくさい女が貞操まで捨てたらなにも残らなくてよ」

「遊び相手には良いかもしれないけど、結婚相手にはしたくないわよ気持ち悪い。」

実際にはアメリア嬢はあくまで侍らせていただけでそういった行為をしたことない生娘なのだが二人の姉が社交界でさりげなく言って回っていたこともあり、実の姉からそんなこと言われる令嬢ということですっかり男漁りが激しいと呼ばれるようになった。両親も自分の上二人が言ったアメリア嬢が処女を捨てている等といった嘘を完全に信じていたため、余計に悪化した。
本当に処女を捨てていたのは上二人の姉の方なのを私は知っている。タイミングが良いのか悪いのか二人とも別の日だかお付きの人と遊んでいたのを見たことあるし。

それなら処女じゃなければ不味いのではと思うだろうがこの世には逃げ道というものがある。処女を一度だけ回復できる魔法薬があるのだ。これまた偶然喋っていたのを聞いてしまってわかったのだが。
ついでにアメリア嬢が処女だというのを知ったのも二人の姉が人のいないところで喋っていたのを聞いてしまってわかったことである。

今アメリア嬢は二人の姉を見返すのに躍起になっているはずだし、どうも辺境伯のことを好きなのかはさておき執着しているのでこれが失敗すれば今以上に悪い状況になることは間違いない。
せめて両親が彼女のことを理解してくれていればここまでには恐らくならなかったのだと思う。
だが実際はアメリアの両親は上二人のことを溺愛して下の子であるアメリア嬢を蔑ろにしていた。
それだけではなくアメリア嬢と録に向き合っておらず、家の内外で孤立させた挙げ句誰にも頼れない状況を意識してなくとも作ってしまった。誰にも頼れない彼女は自力でどうにかするしかなく最終的に現在、辺境伯に見初めて貰うことに執着し始めた。

それを考えるとさっきの掃除用具入れでの出来事は引っ掻くのは少しやり過ぎたかなと少し反省した。
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