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第3話 I helped the cat 「私は猫を助けました」
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「あ、猫だ!」
公園から聞こえる子供の声で私は現実に引き戻された。
「えー、どこどこー」
「ホントだ。 可愛い!」
猫を見つけた子供たちは愛くるしい顔の猫に手を振っていた。
黒猫でシッポを振りながら毛繕いをしている。
いいな、猫は。皆から可愛いって言われて…
猫の姿がみんなからチヤホヤされる森村さんと重なった。そして思った。
そうか、可愛いは正義なんだ。可愛ければ多少の校則違反も目をつぶってもらえる。
でも、もとがブサイクな私は校則が押さえつけてくる。
髪を染めてはいけない、化粧をしてはいけない。
つまり可愛くなってはいけない。校則の全てが残酷だ。
悔しい。情けない。
色んな感情が混じりあい、私は泣きたくなった。
その瞬間、猫が走り出した。男の子が猫を捕まえようとしたのだ。
猫が走る先にはトラックが迫っていた。
そこまでの状況を理解する前に私の体は猫に向かって走っていた。
自分でもどうしてそうしたのかわからない。
無我夢中で走り、猫を抱き抱え、トラックを間一髪で避けた。
私は路上に転がり顔に多少擦り傷をおったが、猫は大丈夫そうだ。よかった。
「あみ、おやさみなさい」
「お休み、お母さん」
猫を助けたその日の夜、私は自分の部屋に行き、布団に入った。
今日はいろいろあったな。あの猫は飼い猫なのかな。
そんなことを考えていたらいつの間にか眠ってしまった。
夢の中にあの猫が出てきた。
「こんばんは」
普通に猫がしゃべってきた。普通なら驚くけどここは夢の中、なんでもありだ。
そしてとなりには黒い帽子に黒い服のお姉さんがいた。まるで魔法使いだ。
「今日はうちの猫を助けてくれてありがとう」
お姉さんは優しい笑顔を向けてきた。
「ありがとだにゃ」
猫がお辞儀した。可愛い。
「ケガをさせてごめんね」
そういって白くてキレイな手でお姉さんは私の顔の傷をそっと撫でた。
不思議なことに痛みが消えた。右手で触れてみるとかさぶたがなくなっている。
「治癒の魔法よ」
お姉さんは優しい手つきで私の頭を撫でた。そして耳元でささやいた。
「お礼にあなたを可愛くしてあげる」
ハッと目を覚ますといつもの自分の部屋だった。
夢にしては妙に現実味があったな。顔に触れてみると怪我はなおっていた。
「おはよう」
階段を降りて台所の母に挨拶をした。
「おはよう。あら、髪型変えたのね。そっちの方が可愛いわよ」
母が何のことを言っているかわからなかった。で、洗面台に行ったらわかった。
私が可愛くなってる。
たまたま写真写りがいいとかそういう次元じゃなくて本当に顔の骨格から可愛くなってる。
ていうか母よ、さすがに娘がここまで変われば別人だと思うんじゃないか?
疑問と戸惑いが治まりかけた頃、昨日の夢を思い出した。
あの時のお姉さん魔法使いは確か言ってた。
「お礼にあなたを可愛くしてあげる」と。
夢だけど夢じゃなかった!!
公園から聞こえる子供の声で私は現実に引き戻された。
「えー、どこどこー」
「ホントだ。 可愛い!」
猫を見つけた子供たちは愛くるしい顔の猫に手を振っていた。
黒猫でシッポを振りながら毛繕いをしている。
いいな、猫は。皆から可愛いって言われて…
猫の姿がみんなからチヤホヤされる森村さんと重なった。そして思った。
そうか、可愛いは正義なんだ。可愛ければ多少の校則違反も目をつぶってもらえる。
でも、もとがブサイクな私は校則が押さえつけてくる。
髪を染めてはいけない、化粧をしてはいけない。
つまり可愛くなってはいけない。校則の全てが残酷だ。
悔しい。情けない。
色んな感情が混じりあい、私は泣きたくなった。
その瞬間、猫が走り出した。男の子が猫を捕まえようとしたのだ。
猫が走る先にはトラックが迫っていた。
そこまでの状況を理解する前に私の体は猫に向かって走っていた。
自分でもどうしてそうしたのかわからない。
無我夢中で走り、猫を抱き抱え、トラックを間一髪で避けた。
私は路上に転がり顔に多少擦り傷をおったが、猫は大丈夫そうだ。よかった。
「あみ、おやさみなさい」
「お休み、お母さん」
猫を助けたその日の夜、私は自分の部屋に行き、布団に入った。
今日はいろいろあったな。あの猫は飼い猫なのかな。
そんなことを考えていたらいつの間にか眠ってしまった。
夢の中にあの猫が出てきた。
「こんばんは」
普通に猫がしゃべってきた。普通なら驚くけどここは夢の中、なんでもありだ。
そしてとなりには黒い帽子に黒い服のお姉さんがいた。まるで魔法使いだ。
「今日はうちの猫を助けてくれてありがとう」
お姉さんは優しい笑顔を向けてきた。
「ありがとだにゃ」
猫がお辞儀した。可愛い。
「ケガをさせてごめんね」
そういって白くてキレイな手でお姉さんは私の顔の傷をそっと撫でた。
不思議なことに痛みが消えた。右手で触れてみるとかさぶたがなくなっている。
「治癒の魔法よ」
お姉さんは優しい手つきで私の頭を撫でた。そして耳元でささやいた。
「お礼にあなたを可愛くしてあげる」
ハッと目を覚ますといつもの自分の部屋だった。
夢にしては妙に現実味があったな。顔に触れてみると怪我はなおっていた。
「おはよう」
階段を降りて台所の母に挨拶をした。
「おはよう。あら、髪型変えたのね。そっちの方が可愛いわよ」
母が何のことを言っているかわからなかった。で、洗面台に行ったらわかった。
私が可愛くなってる。
たまたま写真写りがいいとかそういう次元じゃなくて本当に顔の骨格から可愛くなってる。
ていうか母よ、さすがに娘がここまで変われば別人だと思うんじゃないか?
疑問と戸惑いが治まりかけた頃、昨日の夢を思い出した。
あの時のお姉さん魔法使いは確か言ってた。
「お礼にあなたを可愛くしてあげる」と。
夢だけど夢じゃなかった!!
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