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俺と彼女の、せいしをかけた戦い
せいしをかけた戦い④
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俺が湯船につかっている間に吉良坂さんは草飼さんとどこかに消えてしまった。風呂に押し入って来るのかと思って慌てて鍵を閉めたけど、そんなことはなかった。そこまで強引なことはしないらしい。
濡れた髪をバスタオルでゴシゴシやりながらリビングに戻る。まだ誰もいないじゃん、と思ったらすぐに吉良坂さんがやってきた。しかも着替えている。
「宮田下くん、ど、どう?」
「ど、どうって」
吉良坂さんの身体をまじまじと見つめる。彼女はいま白のシャツの上から赤いニットを着ており、破壊力抜群の胸のふくらみがいつもより強調されている。
下は黒のミニスカートに黒のタイツ。
なんだか、読書の秋を擬人化したかのような姿だ。
知的でクールなイメージ。
だが彼女はこの服の下にいい感じに透けている、俺好みの花柄レースピンク下着を身に着けているのだ!
「そ、そんな見つめられると、は、恥ずかしいよ」
「ご、ごめん。普通に知的でいいなって思って。でもなんでわざわざ着替えたの?」
いまの吉良坂さんの格好も捨てがたいが、もこもこパジャマ姿も名残惜しかった。
「そ、それは……あ、あとで宮田下くんに楽しんでもらうためです!」
「俺が、楽しむ?」
「はい。なので着替えました」
いやいや、なので着替えましたって全然意味わかんないんですけど。
「そ、それより早く髪を乾かさないと風邪をひきますよ。私はその間に夕ご飯の用意をしますので」
「え? 吉良坂さんが作るの?」
「というよりもう作ってあります。草飼に手伝ってもらいながらですが」
「じゃあ今日はそのために学校を休んだの?」
「はい」
こくりとうなずく吉良坂さん。
「あ、あの、私が作ったんじゃ、ダメ、ですか?」
「そんなことないよ。女の子にご飯を作ってもらって、嬉しくない男なんていないよ」
「ほんとですか?」
太陽のようににぱっと笑う吉良坂さん。
女の子に、ではなくて吉良坂さんに、と言えなかったことを反省する必要はないみたいだ。
「あ、ありがとうございます。じゃあいまから用意しますね」
吉良坂さんが小走りでキッチンへ向かう。
あれ?
そういえば草飼さんはどこへ?
そんなことを思いながら、俺はドライヤーで髪を乾かす。それを終えると同時に、吉良坂さんから「用意できました」の声が聞こえた。
俺はダイニングテーブルのもとへ向かう。
「お、おお」
ダイニングテーブルの上にはいろんな料理が並んでいた。色とりどりの野菜となにか白い身――鯛だろうか――と牡蠣の入ったお鍋、鮑の姿焼き、アボカドとサーモンのお刺身に鰻の蒲焼まである。魚介類のフルコースって感じだな。
「すごい、どれもおいしそうだ」
「あ、ありがとうございます」
「このお鍋の中に入ってる魚はなに?」
「ああ、それは魚ではなくてスッポンです」
「ス、スッポン?」
想像の斜め上の単語が飛び出した。
「あの、一度噛むと中々離してくれないあのスッポン?」
「はい。食べると精力がつくと噂のスッポンです。それに精力アップに欠かせない牡蠣を合わせてみました」
ん? なんだか嫌な予感がしてきたぞ?
「じ、じゃあこれは?」
「これは、メスのあわびです」
言い方! ってか貝に性別なんてあるんですか?
「じゃあこっちは」
「サーモンもアボカドも身体を元気にしてくれるらしいです」
「ってことは鰻も……」
「そこまで女の子に言わせるんですか?」
「いや、やっぱりもういいです」
これはひどいー。
ってか吉良坂さん、なんか今日いろいろと振り切れてませんか?
「どうしたんですか? やっぱりお気に召さないですか?」
「そ、そんなことはないよ。ただ」
たしかに目の前にある料理は、精力のつく食材だったり、エッチなものを連想させたりするものばかりだが、おいしそうに見えることに変わりわない。
だけど――。
「その、一番奥に置かれてるそれは?」
「これは私が食べるものです。女の子なので夜はあまり食べないようにしていますから」
「いやいや、それでもおかしいでしょ? だってフフフ、フランクフルトって」
しかもめちゃくちゃでかくて長い。
「おかしいですか? 私、フランクフルト大好きなんですけど?」
純粋な顔のまま首をかしげる吉良坂さん。
「いや、まあ……百歩譲ってフランクフルトが好きだから食べるってのはわかる。でもその横になんで生クリームがあるんだ?」
「このとろっとろで濃厚な味わい白いのをフランクフルトにつけて食べるんです。これが意外とおいしいんです」
予想通りの答えが返ってきた!
ってかあからさますぎてもはや潔い!
「い、いや、さすがにフランクフルトと生クリームは合わないでしょ」
「食わず嫌いはよくないです。食べ物の好みは人それそれですから」
そうそう。女の子の下着の好みが人それぞれであるようにね! ってバカ!
「ま、まあそうだな。吉良坂さんが好きなら、いいんだけど」
「はい。早速いただきましょう」
そんなこんなで、俺は吉良坂さんが作ってくれた料理を食べることになった。
料理はどれも最高においしくて、頬が落ちるとはこのことかと実感した。
吉良坂さんは食べる俺をじっと見つめていたが、「おいしい」の言葉を聞いた瞬間、にぱあっと笑ってくれた。
「じゃあ私も、しゃぶりつきますね」
しゃぶりつくと食べるは同義語として辞書に載ってるのかぁ。さすが小説家志望は知識や語彙力が違うなぁ。
俺が心の中で吉良坂さんにツッコんでいる――ここで言うツッコんでるは漫才のツッコむだからね――間に、吉良坂さんは太くて長いフランクフルトの先端に白くてとろーりとした生クリームをたっぷりつけて、
「ああっ、大きくて、ふ、太い」
だの、
「はうっっ、ちちょっと、濃すぎます」
だの、
「こんな大きいのお口に入りません」
だの、
「んあっ、あ、お口の中がトロトロで、濃くて、おいひすぎます」
だの、わけのわからないことを口にしていた。
うん! 吉良坂さんって妄想力の化け物だったんだね!
俺も妄想力の化け物になりそうだよ!
濡れた髪をバスタオルでゴシゴシやりながらリビングに戻る。まだ誰もいないじゃん、と思ったらすぐに吉良坂さんがやってきた。しかも着替えている。
「宮田下くん、ど、どう?」
「ど、どうって」
吉良坂さんの身体をまじまじと見つめる。彼女はいま白のシャツの上から赤いニットを着ており、破壊力抜群の胸のふくらみがいつもより強調されている。
下は黒のミニスカートに黒のタイツ。
なんだか、読書の秋を擬人化したかのような姿だ。
知的でクールなイメージ。
だが彼女はこの服の下にいい感じに透けている、俺好みの花柄レースピンク下着を身に着けているのだ!
「そ、そんな見つめられると、は、恥ずかしいよ」
「ご、ごめん。普通に知的でいいなって思って。でもなんでわざわざ着替えたの?」
いまの吉良坂さんの格好も捨てがたいが、もこもこパジャマ姿も名残惜しかった。
「そ、それは……あ、あとで宮田下くんに楽しんでもらうためです!」
「俺が、楽しむ?」
「はい。なので着替えました」
いやいや、なので着替えましたって全然意味わかんないんですけど。
「そ、それより早く髪を乾かさないと風邪をひきますよ。私はその間に夕ご飯の用意をしますので」
「え? 吉良坂さんが作るの?」
「というよりもう作ってあります。草飼に手伝ってもらいながらですが」
「じゃあ今日はそのために学校を休んだの?」
「はい」
こくりとうなずく吉良坂さん。
「あ、あの、私が作ったんじゃ、ダメ、ですか?」
「そんなことないよ。女の子にご飯を作ってもらって、嬉しくない男なんていないよ」
「ほんとですか?」
太陽のようににぱっと笑う吉良坂さん。
女の子に、ではなくて吉良坂さんに、と言えなかったことを反省する必要はないみたいだ。
「あ、ありがとうございます。じゃあいまから用意しますね」
吉良坂さんが小走りでキッチンへ向かう。
あれ?
そういえば草飼さんはどこへ?
そんなことを思いながら、俺はドライヤーで髪を乾かす。それを終えると同時に、吉良坂さんから「用意できました」の声が聞こえた。
俺はダイニングテーブルのもとへ向かう。
「お、おお」
ダイニングテーブルの上にはいろんな料理が並んでいた。色とりどりの野菜となにか白い身――鯛だろうか――と牡蠣の入ったお鍋、鮑の姿焼き、アボカドとサーモンのお刺身に鰻の蒲焼まである。魚介類のフルコースって感じだな。
「すごい、どれもおいしそうだ」
「あ、ありがとうございます」
「このお鍋の中に入ってる魚はなに?」
「ああ、それは魚ではなくてスッポンです」
「ス、スッポン?」
想像の斜め上の単語が飛び出した。
「あの、一度噛むと中々離してくれないあのスッポン?」
「はい。食べると精力がつくと噂のスッポンです。それに精力アップに欠かせない牡蠣を合わせてみました」
ん? なんだか嫌な予感がしてきたぞ?
「じ、じゃあこれは?」
「これは、メスのあわびです」
言い方! ってか貝に性別なんてあるんですか?
「じゃあこっちは」
「サーモンもアボカドも身体を元気にしてくれるらしいです」
「ってことは鰻も……」
「そこまで女の子に言わせるんですか?」
「いや、やっぱりもういいです」
これはひどいー。
ってか吉良坂さん、なんか今日いろいろと振り切れてませんか?
「どうしたんですか? やっぱりお気に召さないですか?」
「そ、そんなことはないよ。ただ」
たしかに目の前にある料理は、精力のつく食材だったり、エッチなものを連想させたりするものばかりだが、おいしそうに見えることに変わりわない。
だけど――。
「その、一番奥に置かれてるそれは?」
「これは私が食べるものです。女の子なので夜はあまり食べないようにしていますから」
「いやいや、それでもおかしいでしょ? だってフフフ、フランクフルトって」
しかもめちゃくちゃでかくて長い。
「おかしいですか? 私、フランクフルト大好きなんですけど?」
純粋な顔のまま首をかしげる吉良坂さん。
「いや、まあ……百歩譲ってフランクフルトが好きだから食べるってのはわかる。でもその横になんで生クリームがあるんだ?」
「このとろっとろで濃厚な味わい白いのをフランクフルトにつけて食べるんです。これが意外とおいしいんです」
予想通りの答えが返ってきた!
ってかあからさますぎてもはや潔い!
「い、いや、さすがにフランクフルトと生クリームは合わないでしょ」
「食わず嫌いはよくないです。食べ物の好みは人それそれですから」
そうそう。女の子の下着の好みが人それぞれであるようにね! ってバカ!
「ま、まあそうだな。吉良坂さんが好きなら、いいんだけど」
「はい。早速いただきましょう」
そんなこんなで、俺は吉良坂さんが作ってくれた料理を食べることになった。
料理はどれも最高においしくて、頬が落ちるとはこのことかと実感した。
吉良坂さんは食べる俺をじっと見つめていたが、「おいしい」の言葉を聞いた瞬間、にぱあっと笑ってくれた。
「じゃあ私も、しゃぶりつきますね」
しゃぶりつくと食べるは同義語として辞書に載ってるのかぁ。さすが小説家志望は知識や語彙力が違うなぁ。
俺が心の中で吉良坂さんにツッコんでいる――ここで言うツッコんでるは漫才のツッコむだからね――間に、吉良坂さんは太くて長いフランクフルトの先端に白くてとろーりとした生クリームをたっぷりつけて、
「ああっ、大きくて、ふ、太い」
だの、
「はうっっ、ちちょっと、濃すぎます」
だの、
「こんな大きいのお口に入りません」
だの、
「んあっ、あ、お口の中がトロトロで、濃くて、おいひすぎます」
だの、わけのわからないことを口にしていた。
うん! 吉良坂さんって妄想力の化け物だったんだね!
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