あなたが愛してくれたから

水無瀬 蒼

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オメガとして7

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「すっごい美味しそう!」
「そう、じゃなくて本当に美味しいよ。食べよう」

 口に入れたシュークリームは、当たり前だけどコンビニなんかで袋売りされているものとは全然違ったし、ペニエって初めて食べたけど、シンプルな揚げ菓子で美味しかった。でも、このペニエって家でも作れそうだな。後でレシピ検索してみよう。
 そして次に出てきたのはコンソメスープ。トリュフ風味というので飲んでみると、確かに普通のコンソメスープとは一味違った。こんなところでトリュフを使うって贅沢だ。
 こういうコース料理には前菜がつきものなのは知っていたけれど、冷前菜、温前菜とがあるのは知らなかった。それにしても冷前菜でキャビア、温前菜で黒アワビって贅沢三昧だ。キャビアなんて普段の食事では絶対に食べないから、食べるのなんて人生で数えるほどだろう。そのうちの一回が今だ。
 高級食材は前菜までで終わり、メインでは普通の食材が使われる。と言いたいけれど、ランクがいつものとは違う、というのは前提だ。
 それでも、海老や和牛というのは食べ慣れているからお腹も驚かないはずだ。それが顔にも出ていたのか、向かいでは樹くんが小さく笑っている。

「だって、あんな高級食材なんて樹くんと違って食べ慣れないから、体がびっくりしちゃうよ」
「俺だって食べるのはたまにだよ。普段の俺の食事知ってるじゃん」
「そうだけど、こういうお店でも堂々とできるだけの場数は踏んでるでしょう。僕なんて人生初だからね」
「でも、静かに丁寧に食べてるじゃん」
「それはパニック起こして騒ぐどころじゃないだけ」
「面白いな、優斗。これからは、何かのアニバーサリーのときには来ようか?」
 
 そう言っていたずら気に笑う樹くんを小さく睨む。からかって楽しんでる! なので、樹くんを無視して僕は黙々と料理を食べていく。
 オマール海老も黒毛和牛も口の中でとろけるようで、すごく美味しかった。まぁ、どちらも食材だけでかなりの値段がするのだから美味しくなかったら詐欺だけど。でも、オマール海老も黒毛和牛もどちらも普段食べないというのはある。大体、和牛自体が高いし、なんなら牛肉自体が高い。食費を抑えたい場合は牛肉自体を削るから。だから今日はすごい日なんだ。
 メインまで楽しんだ後はお待ちかね、デザートだ。それもアニバーサリーだからデザートがふたつ! 甘党の僕には嬉しかったりする。
 そう言えば、ブリュレってあまり食べてない気がする。レアチーズケーキなんかは結構食べるけれど。樹くんは甘党じゃないけど、ふたつも食べられるのかな、と心配したけれど、心配するのは無駄だった。
 それはサイズが小さいのと、上品な甘さ控えめな味だったから大丈夫なようだ。
 しかし、オレンジレアチーズケーキはとにかく見た目も美しかった。就職祝いというのを事前に伝えてあったため、お祝いメッセージがソースで書かれていて写真を撮りたいくらいだった。こんなサービスいいなぁ、と思った。
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