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「ん……」
カーテンの隙間から差す光で目が覚めた。そして目の前に眠った陸さんの顔があり、僕は驚いて声を上げそうになり、必死に声をあげるのを抑える。
え? なんで? ここ、僕の部屋じゃないの? いや、どの部屋にしたってなんで陸さんが僕と同じベッドで寝ているの? そうだ。僕、ヒートを起こして部屋に籠もってたんだ。もしかして、陸さんラットを起こしたとか?
そうして覚えている限りのことを思い出そうとする。そうだ。それでゆきなお義母様に言われたのもあり、いつもならヒートがくると部屋の鍵を閉めていたけれど今回は一応開けておいたんだ。それでラットを起こした陸さんが……。
そうだ。陸さんに抱かれたような気が……。え? 僕、まさか誘っちゃってないよね? そこはさすがに記憶がない。だいたいヒートのときのことを覚えていると気がおかしくなりそうになる。それくらい僕はヒートが恥ずかしい。
そうやって僕が慌てながらも思い出していると、目の前の陸さんは目を覚ました。こんなに間近で陸さんを見るのは初めてでドキリとして逃げようとして起き上がる。
「もう大丈夫なのか?」
「あ、あの……はい。ほぼ終わり……ました」
僕はヒートのことを話すのがとてつもなく恥ずかしい。それを好きな陸さんに言うんだから余計に恥ずかしい。
「そうか。記憶はどれくらいある?」
「えっと……ところどころしか覚えてないけど、あの、もしかして僕のこと……」
「あぁ。抱いた」
!! やっぱり僕、陸さんに抱かれたんだ。そう思うと赤くなっていいのか青くなっていいのかわからない。
僕は今までそういった経験がない。それは今まで誰とも付き合ったことがないからだ。できることなら陸さんに初めてをあげたかったから。だからそれが叶ったんだと思うと赤くなるし、でも、陸さんは僕のことを好きなわけじゃないから、ラットで僕のことを抱くなんて陸さんとしては消したい出来事だと思うと青くなる。
「項は噛んでないから安心しろ。それは合意があってからだ」
項、噛まなかったんだ。それは安心していいのか残念に思っていいのかわからない。合意があってから。ということはいつまでたっても僕たちは番にはならないだろう。
「ただ、初めの方はゴムをつけてないから妊娠する可能性はある」
あ、そうか。ラットってオメガのヒートに煽られて急に起こすからゴムなんて取りに行くどころじゃないか。
「もし妊娠してもおろせとは言わないから安心しろ」
産んでいいんだ。普通に僕と陸さんの子として育てていいと言うことだろうか。
「あの……巻き込んでしまって申し訳ありませんでした。あの、お仕事は? 大丈夫でしたか?」
「ああ。休んだ」
え? 休んだ? それって僕のせいで? 番ならばパートナー休暇が認められるけれど、僕と陸さんは番じゃないからパートナー休暇は適用されない。それになにより普段忙しくしているのに休んだりしたら余計に忙しくなってしまう。
「まぁ休んだと言ってもお前が寝た後にリモートで出来ることはしたから気にするな」
気にするなと言われても、今の言い方だと出来なかったこともあるんだろう。僕のヒートに陸さんを巻き込んでしまったことが申し訳ない。やっぱり鍵をかけておくべきだった。
「仕事にも支障ありましたよね。ほんとにごめんなさい」
「ヒートだったんだから仕方がないだろう」
「あの、今日って何曜日ですか?」
「土曜日だ」
「あの! ご迷惑をおかけしたので、陸さんの食べたいものなんでも作ります! なんでも言ってください!」
そう言って僕は頭をさげる。だって、僕ができることって言ったらそれくらいしかないから。
カーテンの隙間から差す光で目が覚めた。そして目の前に眠った陸さんの顔があり、僕は驚いて声を上げそうになり、必死に声をあげるのを抑える。
え? なんで? ここ、僕の部屋じゃないの? いや、どの部屋にしたってなんで陸さんが僕と同じベッドで寝ているの? そうだ。僕、ヒートを起こして部屋に籠もってたんだ。もしかして、陸さんラットを起こしたとか?
そうして覚えている限りのことを思い出そうとする。そうだ。それでゆきなお義母様に言われたのもあり、いつもならヒートがくると部屋の鍵を閉めていたけれど今回は一応開けておいたんだ。それでラットを起こした陸さんが……。
そうだ。陸さんに抱かれたような気が……。え? 僕、まさか誘っちゃってないよね? そこはさすがに記憶がない。だいたいヒートのときのことを覚えていると気がおかしくなりそうになる。それくらい僕はヒートが恥ずかしい。
そうやって僕が慌てながらも思い出していると、目の前の陸さんは目を覚ました。こんなに間近で陸さんを見るのは初めてでドキリとして逃げようとして起き上がる。
「もう大丈夫なのか?」
「あ、あの……はい。ほぼ終わり……ました」
僕はヒートのことを話すのがとてつもなく恥ずかしい。それを好きな陸さんに言うんだから余計に恥ずかしい。
「そうか。記憶はどれくらいある?」
「えっと……ところどころしか覚えてないけど、あの、もしかして僕のこと……」
「あぁ。抱いた」
!! やっぱり僕、陸さんに抱かれたんだ。そう思うと赤くなっていいのか青くなっていいのかわからない。
僕は今までそういった経験がない。それは今まで誰とも付き合ったことがないからだ。できることなら陸さんに初めてをあげたかったから。だからそれが叶ったんだと思うと赤くなるし、でも、陸さんは僕のことを好きなわけじゃないから、ラットで僕のことを抱くなんて陸さんとしては消したい出来事だと思うと青くなる。
「項は噛んでないから安心しろ。それは合意があってからだ」
項、噛まなかったんだ。それは安心していいのか残念に思っていいのかわからない。合意があってから。ということはいつまでたっても僕たちは番にはならないだろう。
「ただ、初めの方はゴムをつけてないから妊娠する可能性はある」
あ、そうか。ラットってオメガのヒートに煽られて急に起こすからゴムなんて取りに行くどころじゃないか。
「もし妊娠してもおろせとは言わないから安心しろ」
産んでいいんだ。普通に僕と陸さんの子として育てていいと言うことだろうか。
「あの……巻き込んでしまって申し訳ありませんでした。あの、お仕事は? 大丈夫でしたか?」
「ああ。休んだ」
え? 休んだ? それって僕のせいで? 番ならばパートナー休暇が認められるけれど、僕と陸さんは番じゃないからパートナー休暇は適用されない。それになにより普段忙しくしているのに休んだりしたら余計に忙しくなってしまう。
「まぁ休んだと言ってもお前が寝た後にリモートで出来ることはしたから気にするな」
気にするなと言われても、今の言い方だと出来なかったこともあるんだろう。僕のヒートに陸さんを巻き込んでしまったことが申し訳ない。やっぱり鍵をかけておくべきだった。
「仕事にも支障ありましたよね。ほんとにごめんなさい」
「ヒートだったんだから仕方がないだろう」
「あの、今日って何曜日ですか?」
「土曜日だ」
「あの! ご迷惑をおかけしたので、陸さんの食べたいものなんでも作ります! なんでも言ってください!」
そう言って僕は頭をさげる。だって、僕ができることって言ったらそれくらいしかないから。
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