殺し屋に拾われました。

さゆまー

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第10話~大丈夫だよ

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監禁された部屋には時計とトイレだけがあった。手足に付けられた鎖は、部屋の中を歩き回るだけの長さはあるので、それらを利用することができる。
ふと時計を見ると、すでに2時間が経過していることがわかった。
「………きっと、今頃はウィリヴァー達にも連絡が来てるはずよ」
レベッカは笑っているような笑っていないような微妙な表情をしてカルラを見た。
「助けに来てくれるわ」
「………うん」
カルラは悲しくなることはなかった。どうせ、今頃は死んでいる運命だったのだから。2日間も生きられたのだから、もう後悔はない。
「カルラ、死んでもいいなんて思っちゃダメよ」
レベッカはカルラの気持ちを見透かしているかのように呟く。
「あなた、ボスの命守るって言ってたじゃない。きっとボスも嬉しかったはずよ。あなたがやらなくちゃならないことは、沢山あるのよ」
「………うん」
さっきよりも明るい《うん》が出た。レベッカは2時間ずっと、カルラを励ましてくれてる。
「レベッカ、私、全然大丈夫だよ」
カルラは心配させぬよう、精一杯の笑顔をレベッカに向けた。
しかし、レベッカの表情が明るくなることはなかった。
「…………………ごめんね、カルラ」
レベッカが倒れた。
ウィリヴァー達では。
「やー、二百人なんて余裕だったね」
新品ほやほやのきれいなスーツのシワを伸ばしながらウィリアムは笑った。
「あの女はどこだ」
オリヴァーはまだ少し怒っている。戦っている最中に、女に逃げられたからだ。
「消えたねー、もしかしたら二人のもとに向かったのかもね」
「チクショー、行くぞ」
「うん、急ごう」
あのニセレベッカは、動きにくくするためにあえてスーツを選んだのだろう。
「なんだこの柵、あの女これ飛び越したのか」
とかいいつつ、小学生が木をよじ登るよりはるかに早く飛び越える。
「君、顔はごっついのに身体能力はにゃんこだよねー、全然可愛くないにゃんこだね」
「にゃんこってなんだよ、気色悪い」
しばらく歩くと、無理やりこじ開けられたっぽいドアにたどり着いた。
「ここから入ったのか………」
「それにしてもなんでこじ開けてあるんだ?自分の組織の建物の鍵くらい、管理してるだろ」
「いや、これは演技だね。カルラの前にレベッカが捕まってる。そのときはちゃんと鍵を使ってるよ」
「レベッカなら捕まっても逃げられたはずだろ?レベッカだって弱くねぇぞ」
「そうだね。多分大量の麻酔でも入れたんじゃないの?いつからレベッカが捕まっていたかは知らないけどね」
口調はのんびりしているが、顔は全くのんびりしていない。
「………なあ、俺、嫌な予感がしてならないんだが」
「…………ん?」
「もしかしたら…………二人とも………もう………」
「オリヴァー!!!!」
「………」
「………進もうか」
ウィリアムはあの胡散臭い笑顔を見せた。怒っているサインだ。
「……悪い」
「………………僕に謝らないでよ」
カルラは。
「…………レベッカ?レベッカ!?」
「………カルラ、………離れて」
「え?」
「離れなさい!!!!」
「きゃっ!!」
レベッカが倒れている真横に鋭く尖ったナイフが飛んできた。レベッカはナイフがわき腹に刺さってしまった。
「カルラ!!はぁ……できる限り……動く……はぁ………のよ………止まっちゃダメよ………」
レベッカは苦しそうにしている。カルラがレベッカにしてやれることは何もない。仕方なく言うことを聞き、カルラは部屋の中を不規則に走り回った。たまにカルラの真下にナイフが刺さり、ヒヤリとした。
走り続けること7分。8歳の体はもう限界に近かった。なにせ8年間外に出たことがなかったのだから、体力だってそれなりにしかない。
ふとレベッカの方を見ると、自分でナイフを抜き、止血するためにズボンを身体に巻いて、なんとかナイフを避けていた。
「はぁ………一体どこから出てるのかしら………」
「はぁ、はぁ……レベッカ……大丈夫?」
「ええ、………アドレナリンが働いてくれてるわ…」
カルラはアドレナリンを知らなかったが、とりあえずは大丈夫なのだろうか。血も止まっているようで、傷は意外と浅かったようだ。
すると、ナイフの攻撃がピタリと止まった。
「と………止まった?…………のかしら…」
部屋の中が静まりかえる。すると、から女が出てきた。
「ウィリアムとオリヴァーがこっちに向かっている。もうじきここも開けられるだろう」
すると女は銃を二人に向けた。
「死んでもらう。お前らに用はない」
女は人差し指に力を込めた。
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