殺し屋に拾われました。

さゆまー

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第1話(裏)~俺と《強面》

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俺がに入ったのは、16の夏だった。
俺がなぜここに来たかと言うと、まぁ、あれだ、家出ってやつだ。
俺の実家は、金持ちで、財閥なんて言われていた。だから、子供が生まれたなんて聞いたら、世間は大騒ぎ。当然小学校だって普通のとはケタの違うものだったし、中学では受験もして、世界レベルで頭のいいとこに入った。別に勉強が嫌いだったわけじゃねーし、俺の周りの奴らだっていいやつが多かった。
だけど、俺はこの人生が嫌だった。
確かに、俺の知り合いの中でも金持ちとか御曹司とかがいたけど、俺とは違った。
みんな、自由な夢をもっていた。
そのとき俺は気づいてしまった。俺の人生はただ敷かれたレールをたどっているだけだって。
だから、俺は家を出た。
金なんて腐るほどある。知らないどっかの国に逃げたりした。だけど、追っ手が来る。どっかに寝泊まりなんてしていると、すぐに見つかる。とうとう眠ることもできずに、ひたすら逃げる日々が続いた。
その日も知らないとこをよたよた歩いていた。もはやいつ死んでもいい状況だ。だけど、家には帰りたくなかった。
その時だ。
「おい、君、こんな時間に何しているんだ」
きれいな低音に顔をあげると、俗に言う《強面》が俺をまじまじと見つめていた。追っ手が来たのかと焦った俺は逃げだそうとした。が、《強面》は俺の手首をガシッと力強く、だけど水でも触っているみたいに優しく掴んだ。
「君、誰かに追われているのか?」
俺が黙っていると、《強面》は手首をつかんだまま歩き始めた。
「お、おい!何すんだよ!お前も追っ手か!?」 
俺は大声を出した。
「追っ手じゃない。ボクは《ボス》だよ。誰かから逃げているんだろ?しばらく匿ってやるよ」
前を向いたまま《ボス》は言った。
俺は一瞬期待してしまった。この人は守ってくれると。しかし俺は我にかえって、その手を振り払った。
「………追っ手なんだろ?ふざけんな!!もう追いかけてくんなよ!!俺は自由に生きたい!!自由に生きて!!何にも囚われないまま死ぬんだよ!!」
俺は出せるだけの声を出した。だけどその声はかすれていて、自分でも驚いた。そう言えば、もう10時間くらい何も飲んでいない。夜とはいえ、夏だ。唇もカサカサになっている。
「…………君がどんな人生を送ってきたかは知らないけど、苦労しているんだろう?わかったよ、付いてくるかは君が決めてくれ。ただボクは君をほっておけない。それだけだよ」
「俺を連れていって何すんだよ?」
「君に衣食住を与える。それだけさ。ボクは君の保護者でもないし、友人でもない。守ってやることはできない。君の人生を変える自信もないし、君の望んだものは無いかもしれない。だけど、安心する場所を与えることはできる」
は、屈託のない笑顔で俺を見た。
俺は、泣いた。
ここから先はよく覚えてない。泣きすぎて顔がグショグショになりながらあの大きな背中について行ったことなら覚えている。
これが、俺、オリヴァーの人生が変わったきっかけだ。
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