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第20話~カルラ
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時計を見ると、もう夕方だった。
ボスに報告しなきゃ。
ボスは、携帯が触れるのは夕方だけなんだーと言っていた。
電話にゆっくりと数字を入れていく。
と、その瞬間部屋に誰かが入ってきた。
「やぁ、レベッカ。調子はどう?」
「……なんだ。ウィリアムか。ビックリさせないでよ。」
「ノックできないもんでね。ごめんよ。」
そういうとウィリアムは松葉杖を投げ捨て、ソファに座った。
「……雑にも程があるでしょうが。」
レベッカは仕方なく松葉杖をウィリアムの隣に置いた。
「ありがと。誰に電話しようとしてたの?」
「……別に。ボスよ。」
「何かあったの?そういえば、事務室がバタバタしてたね。」
「…………」
「早く電話しなよ。僕はトイレにでも行ってる。」
よっこらしょ、とウィリアムは立ち上がった。
「……ウィリアム。」
レベッカの手には汗がにじむ。
「なんだい?」
ウィリアムはにっこり笑っている。
「……知ってるんでしょ。あなた性格悪いわね。」
「もちろん。事務長に聞いちゃった~。」
「わざわざ知らないふりしたの?」
「君がどう判断を下すかを試した。」
ウィリアムから笑顔が消えた。
「どうして?」
「君はやっぱりボスには及ばないね。」
ウィリアムはまたにっこりと笑う。
レベッカは思わず目をそらす。
「……君は、オリヴァーの元奥さんのこと知ってる?」
「……?いいえ……知らないけど。」
「彼女はね、カルラっていうんだよ。」
「そ、そうなの!?」
「オリヴァーはわざわざ彼女に元奥さんの名前をつけた。」
レベッカは吸い込まれるようにウィリアムの話を聞いた。
「……どうして今それを?」
「まあまあ、質問は僕の話が終わったらにしてよ。……話戻すけど、君は元奥さんの顔を見たことがあるかい?」
「いいえ。ないわ。」
「僕はね、オリヴァーの携帯にある写真でチラッとみたよ。まだ離婚してないときに。」
「………なんで携帯なんかみたのよ。」
「質問はき・ん・しー!話終わるまで待って!」
ウィリアムはソファにドカッと座り、ため息をついた。
「それでね、彼女はとてもキレイな人だったよ。特に目がね……」
「レベッカさんっ!!」
バンッと音を立て、事務長が飛び込んできた。
「!どうしたの?」
「カルラちゃんの居場所がわかりました!」
ウィリアムとレベッカは目を見開いた。
「………わかったわ。ニコラスとマクシルに戻るように言ってちょうだい。」
「了解です!二人に向かわせますか?」
「そうね。お願い。」
事務長はわかりました!と元気のいい声を出しながら部屋を出ていった。
「……で、ウィリアム。さっきの話、なに?」
「聞いてくれるのかい?………どこまで話したっけ。」
「えーっと……その人がすごくキレイだった、ってとこかしら。」
「そうそう。それでね、その人の目が特にキレイでさ。ものすごく………」
ウィリアムは少し間を置いた。
この間は、一瞬だったのだろうが、永遠のようにもとれた。
「………少女のカルラにそっくりなんだ。」
「少女の……カルラ?」
「そう。今君が探してる少女のことさ。」
「似てるからつけたのかしら。」
「………オリヴァーにカルラを見つける手がかりになるって言ったら、写真貸してくれたよ。」
「!?それを早く言いなさいよっ!」
ウィリアムはポケットから写真を一枚取り出した。
「この人だよ。そっくりでしょ。」
「……………」
そっくりどころか、まるで親子のようだった。
「でも……彼女が関係してるかなんてわからないじゃない。ただ似てるだけかもしれないし……」
「………彼女には妹がいるんだ。」
「うん……だからそれは………」
「オリヴァーと彼女が離婚した原因は知ってる?」
「………知らないわ」
「彼女にこの仕事がバレたから。人殺しのことが知られて、すぐに離婚を言われたらしい。」
「そうなのね……」
「そこまではまだ良かったんだ。オリヴァーに家族はいるけど、今は会っていない。でも、彼女はどうだろう。もちろん、彼女にも家族はいた。しかもその妹も結婚していたんだ。当然彼女が急に離婚して帰ってきたら、おかしいと思うだろう?そして、殺し屋のことが家族に広まる。」
「……なるほど。それで、普通の人は絶対知らないこのアジトの場所を知ってる可能性があるってことね……」
「そう。それ、事務長が持ってきた紙だよね?」
「ええ。場所がメモされてるわ。住所は……外国!?」
レベッカは目を見開いた。
目をこすってもう一度確認した。
「うん………外国だわ………」
「どうやって探したんだろうねー。」
「……これはヘリコプターじゃないとダメね。」
「僕も行きた…」
「ダメ。絶対ダメ。大人しくしなさいよ。」
「むぅ………」
ニコラスとマクシルが戻り、ヘリコプターの音がボスの部屋まで響く。
「レベッカ……電話は?」
「あぁ、そうなんだけど……繋がらなくて。何回もかけたんだけど……」
「ふーん。まあ、ボス気まぐれだしね。」
カルラ。
今はお昼どき。ママは私にひとしきりドレスを着せたら、すべて写真におさめ、今日はゆっくり休んでいいわよ。と言ってくれた。
「お見合いはディナーにするわ。それまでゆっくりしなさい。何かあったら、このメモの番号にかけてね。」
ママは優しく笑った。
「………ねぇ、ママ。」
カルラは思いきって聞くことにした。
ママの本名。私の本名。
「なぁに?アリー。」
「………私の名前は、アリーなの?」
すると、ママは悲しそうな顔をした。
「そう……よね………ママ…呼ばなかったもんね……」
「ママ……」
「そうよ……あなたの名前はアリーなの。パパがつけたのよ。あと……ママの名前も、知らないでしょう?」
ママは複雑な表情をしている。
「うん……ごめん……」
「ううん、アリーは悪くないの。悪いのは、私。」
「…………」
「ママの名前はね……シルラっていうのよ。」
ボスに報告しなきゃ。
ボスは、携帯が触れるのは夕方だけなんだーと言っていた。
電話にゆっくりと数字を入れていく。
と、その瞬間部屋に誰かが入ってきた。
「やぁ、レベッカ。調子はどう?」
「……なんだ。ウィリアムか。ビックリさせないでよ。」
「ノックできないもんでね。ごめんよ。」
そういうとウィリアムは松葉杖を投げ捨て、ソファに座った。
「……雑にも程があるでしょうが。」
レベッカは仕方なく松葉杖をウィリアムの隣に置いた。
「ありがと。誰に電話しようとしてたの?」
「……別に。ボスよ。」
「何かあったの?そういえば、事務室がバタバタしてたね。」
「…………」
「早く電話しなよ。僕はトイレにでも行ってる。」
よっこらしょ、とウィリアムは立ち上がった。
「……ウィリアム。」
レベッカの手には汗がにじむ。
「なんだい?」
ウィリアムはにっこり笑っている。
「……知ってるんでしょ。あなた性格悪いわね。」
「もちろん。事務長に聞いちゃった~。」
「わざわざ知らないふりしたの?」
「君がどう判断を下すかを試した。」
ウィリアムから笑顔が消えた。
「どうして?」
「君はやっぱりボスには及ばないね。」
ウィリアムはまたにっこりと笑う。
レベッカは思わず目をそらす。
「……君は、オリヴァーの元奥さんのこと知ってる?」
「……?いいえ……知らないけど。」
「彼女はね、カルラっていうんだよ。」
「そ、そうなの!?」
「オリヴァーはわざわざ彼女に元奥さんの名前をつけた。」
レベッカは吸い込まれるようにウィリアムの話を聞いた。
「……どうして今それを?」
「まあまあ、質問は僕の話が終わったらにしてよ。……話戻すけど、君は元奥さんの顔を見たことがあるかい?」
「いいえ。ないわ。」
「僕はね、オリヴァーの携帯にある写真でチラッとみたよ。まだ離婚してないときに。」
「………なんで携帯なんかみたのよ。」
「質問はき・ん・しー!話終わるまで待って!」
ウィリアムはソファにドカッと座り、ため息をついた。
「それでね、彼女はとてもキレイな人だったよ。特に目がね……」
「レベッカさんっ!!」
バンッと音を立て、事務長が飛び込んできた。
「!どうしたの?」
「カルラちゃんの居場所がわかりました!」
ウィリアムとレベッカは目を見開いた。
「………わかったわ。ニコラスとマクシルに戻るように言ってちょうだい。」
「了解です!二人に向かわせますか?」
「そうね。お願い。」
事務長はわかりました!と元気のいい声を出しながら部屋を出ていった。
「……で、ウィリアム。さっきの話、なに?」
「聞いてくれるのかい?………どこまで話したっけ。」
「えーっと……その人がすごくキレイだった、ってとこかしら。」
「そうそう。それでね、その人の目が特にキレイでさ。ものすごく………」
ウィリアムは少し間を置いた。
この間は、一瞬だったのだろうが、永遠のようにもとれた。
「………少女のカルラにそっくりなんだ。」
「少女の……カルラ?」
「そう。今君が探してる少女のことさ。」
「似てるからつけたのかしら。」
「………オリヴァーにカルラを見つける手がかりになるって言ったら、写真貸してくれたよ。」
「!?それを早く言いなさいよっ!」
ウィリアムはポケットから写真を一枚取り出した。
「この人だよ。そっくりでしょ。」
「……………」
そっくりどころか、まるで親子のようだった。
「でも……彼女が関係してるかなんてわからないじゃない。ただ似てるだけかもしれないし……」
「………彼女には妹がいるんだ。」
「うん……だからそれは………」
「オリヴァーと彼女が離婚した原因は知ってる?」
「………知らないわ」
「彼女にこの仕事がバレたから。人殺しのことが知られて、すぐに離婚を言われたらしい。」
「そうなのね……」
「そこまではまだ良かったんだ。オリヴァーに家族はいるけど、今は会っていない。でも、彼女はどうだろう。もちろん、彼女にも家族はいた。しかもその妹も結婚していたんだ。当然彼女が急に離婚して帰ってきたら、おかしいと思うだろう?そして、殺し屋のことが家族に広まる。」
「……なるほど。それで、普通の人は絶対知らないこのアジトの場所を知ってる可能性があるってことね……」
「そう。それ、事務長が持ってきた紙だよね?」
「ええ。場所がメモされてるわ。住所は……外国!?」
レベッカは目を見開いた。
目をこすってもう一度確認した。
「うん………外国だわ………」
「どうやって探したんだろうねー。」
「……これはヘリコプターじゃないとダメね。」
「僕も行きた…」
「ダメ。絶対ダメ。大人しくしなさいよ。」
「むぅ………」
ニコラスとマクシルが戻り、ヘリコプターの音がボスの部屋まで響く。
「レベッカ……電話は?」
「あぁ、そうなんだけど……繋がらなくて。何回もかけたんだけど……」
「ふーん。まあ、ボス気まぐれだしね。」
カルラ。
今はお昼どき。ママは私にひとしきりドレスを着せたら、すべて写真におさめ、今日はゆっくり休んでいいわよ。と言ってくれた。
「お見合いはディナーにするわ。それまでゆっくりしなさい。何かあったら、このメモの番号にかけてね。」
ママは優しく笑った。
「………ねぇ、ママ。」
カルラは思いきって聞くことにした。
ママの本名。私の本名。
「なぁに?アリー。」
「………私の名前は、アリーなの?」
すると、ママは悲しそうな顔をした。
「そう……よね………ママ…呼ばなかったもんね……」
「ママ……」
「そうよ……あなたの名前はアリーなの。パパがつけたのよ。あと……ママの名前も、知らないでしょう?」
ママは複雑な表情をしている。
「うん……ごめん……」
「ううん、アリーは悪くないの。悪いのは、私。」
「…………」
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