殺し屋に拾われました。

さゆまー

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第21話〜記憶

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「レベッカ、君は乗るの?」
不機嫌なウィリアムはいじけながら質問した。
「いいえ……私はここで彼らのサポートをするわ。ケガもまだ……」
「そっか。やっぱり僕も………」
「だーめ。あなたは戦力なんだから、早くケガ治すの」
「………むぅぅ」
「いい大人がむぅぅじゃないの。ほら、二人とも、乗ってー」
「案内、ちゃんとしてよね」
「レベッカちゃん、しっかりするのよ!」
「ええ、まかせて」
レベッカは二人に親指を立てる。
その背後で、ウィリアムが黒い何かを発している。
「…そんなに行きたかったの?」
「行きたかったに決まってるだろぉ!あの子の王子様は僕だぞ!オカマと根暗に渡すもんかぁ!」
ヘリに乗ろうとしていた2人の顔つきが、微妙に変わった。
きっとそれに気づいたのは、レベッカだけだった。
「ウィリアムちゃん、お前の○○○を○○○たくなきゃ大人しくしてろよ」
マクシルのその一言によって、その場にいた全員の体が緊張に包まれた。
「ま、まあ、早く乗ってちょうだい。出発しなきゃ」
レベッカは冷や汗が止まらない。
「…そうだよマクシル。乗って。踏むよ」
「キャ!ニコラスったら変態!」
「あんたに言われたくない」
ニコラスの手慣れた対応に空気は和む。
二人はヘリに乗り込んだ。
レベッカは無事に飛んだことを確認し、国への入国許可申請やさらに詳しい場所を調べるなどしてずっと忙しかった。
「うぅ…三十路の体にはハードね…」
だんだん刺された脇腹が熱を帯びてきた。
「はぁ…ちょっとウィリアムに代わってもらおう…」
レベッカはオリヴァーとウィリアムのいる部屋に電話をかけた。
出たのは寝たきりのはずのオリヴァーだった。
寝てろよとレベッカがキレると、オリヴァーははいはいと流し、用件を言えとあくびをしながら言った。
「ちょっと…まあいいわ。ウィリアムいる?あいつに雑用押しつけたいんだけど」
「そんなこと言われて行くやつがあるか。ウィリアムはいねーよ。暇だからレベッカいじめてくるって言って部屋出たきり戻ってきてねぇ。さっきトイレにも行ったんだがな。やっぱいねーわ」
「あんたなんで動いて…って、え?じゃあどこよ?」
「知るか。さっき飛んだヘリがあったけど、なんかあったのか?今日そんな重大な任務あったのか」
「うーん…まあそうね。後で説明するわ。まずはウィリアムを探さなきゃ…」
「おう。まあ、大体わかるけどな。ウィリアムがどこにいるかなんてよ」
「え?どこよ。ちょっと!ねぇ!」
オリヴァーは一方的に電話を切った。
「何よあの筋肉オバケ!腹立つわね」
レベッカはイライラしながらパソコンの画面を覗いた。
「ん?メールが来てるわね」
開くと、それはマクシルからだった。
「え?マクシル?メールじゃなくて通信機でいいのに…」
《レベッカちゃん!ウィリアムちゃんが乗り込んでて通信機占領してるんだけど!?どうするのよ?》
「はぁぁぁぁぁ!?あのマヌケ!」
《とりあえず、アレやってあげてよ。通信機繋ぐわね》
レベッカは慌てて通信機を繋いだ。
『あっ、繋がった。やぁ、レベッカ。調子はどう?』
ウィリアムの呑気な声を聞くと、更にイライラした。
「あんた…死にたいの?バカなの?」
『ああもう嫌だな。そんな怒らないで…って、マクシル?なんでズボン下ろすの…ってニコラスまで!腕固定しないで!あっ、ちょっと、それは…アアアアアア!!』
通信機が途切れた。
「生々しいわね…ウィリアム、あんたが悪いのよ…それにしても今さら引き返すには時間が足りないわ…仕方ない、このまま向かわせるか」
レベッカはメールで指示を出した。

カルラは。

「ママ…」
「ママはシルラだけど、ママでいいわよ。そのほうが可愛いもの」
「…そう」
リビングの方から電話が鳴り響いた。
「ごめんね、電話出てくるわ」
「うん」
ママは何やら焦った様子で電話に出た。
なんだかその様子が気になって、思わずあとをつけた。
丁度いい柱があったので、そこに隠れた。
「もしもし…そう、シルラよ。………ええ。……顔を見られた?…………バレたのね………大丈夫、記憶は曖昧みたいだから………夜ね…わかってる……」
…なんの話だろう。声のトーンからして誰かに聞かれてはまずいものだろうか。
顔を見られた…記憶…夜……
そういえばあのとき顔を見た気がする。
誰だろう。
目はわずかにつり上がっていて。
長くてふさふさのまつ毛。
高くて小さな鼻。
ほんのり赤く色づいた唇。
わずかに開いた口から覗く八重歯。







「ボクの名前はアリーだよ」









あのときの人は…………ボス?
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