魔法少年だるま☆マギカ

kromin

文字の大きさ
上 下
6 / 12

魔法少年だるま☆マギカ 凄まじいニート体質の子が魔獣化した時の話

しおりを挟む
追加キャラの先輩が加入する少し前の事。


アレな町の騒動を日々解決していたある日の事、僕達4人の前に見慣れない妖精が助けを求めて来た。

「あれ、君見た事無いけど誰の担当妖精?」
「ぼ、ボクはカケミンといいますミン。自分で言うのも悲しいけど同期妖精たちの中ではあんまり成績良くなくて、担当してる子も相当問題あって残念な子なんですミン」

「ありゃりゃー、それは大変だね。問題あるって元不良の子みたいな感じ?」
「え、えっとそういうのともちょっと違いまして。要するに働いたら負けって主義の凄まじいニート体質の子でして、契約してからという物一度たりとも平和を守る活動をしなくてもう魔法界から再三警告されてるのに一向に改善しないんですミン」
「あー、カケミン確かにガチャ運も悪いからアレな子に当たっちゃったっピね」

「うーん、倫理観アレな魔法界だからずっと警告シカトしてたらマジで魔獣化させられちゃうよね」
「そうっピね。まあ大概は魔獣化嫌だからその前に働くけど、そこまで筋金入りだったりめっちゃ病んでもうどうにでもなれみたいな子は魔獣化する事もたまにはあったっピ」

「うわー、やっぱそういう子いるんだ」
「うん、事情は違うけど相当アレな事やらかして罰で魔獣化させられた劇場版ラスボスみたいな子もいるしっピね」
「あ、ああ。あの子はもうボク、収監されてる魔法監獄に近づいただけで凶悪なオーラに当てられて失禁嘔吐しそうなくらい恐ろしいですミン」
「えー、それは汚いからやめて」
「グロは良いが汚物は嫌だな」
「まあケッソンアレされてアレまみれになったりはするけどな」


「そ、そういう訳でもう今度仕事しなかったらマジで魔獣化させるぞゴラと魔法界から相当強めに警告されてるんですが、全く動じてませんで。申し訳無いんですがどうにかうちの子を説得して働かせて欲しいんですミン」
「うーん、それは人道的に捨て置けないね。いいよ」
「うん、その子の家に案内して」
「はい、こちらですミン」


そうしてカケミンに案内された先は、銀髪の子の家程では無いがそれなりに立派な邸宅だった。

「ふーん、結構いい家の子なんだね」
「ええ、契約する前からそれなりに経済的に裕福なお家の子でして。ただ中学は行ってるものの高校に行くのはめんどいけど中卒で働くのも嫌、一生家に引きこもってゲームとネット三昧で生きると豪語してるアレな子なんです。当然親御さんは大反対なんですが、契約でご両親の精神をアレして文句言わせないようにして一生実家に寄生してニートする気満々というガチ勢なんですミン」
「うっわー、マジで筋金入りのニート体質だね」
「ご両親可哀想に」
「働け」
「そういう願いの使い方は感心しねえなー」

「結構固有能力は強力なんで、ちゃんと魔法少年として働けば世の為にもなるしニート脱却できると説得してるんですが聞く耳持たないんです。マジで魔獣化寸前なんで皆さん、どうにか性根を叩き直して欲しいですミン」
「うん、分かった。とりあえずその子に会ってみよう」


そして両親は共働きとの事なのでカケミンに鍵を開けてもらい、僕達はその子の部屋にノックして入った。

「ん~、だれ?」

その子は典型的なヒキニートといった風貌のぼさぼさの黒髪と眼鏡で、体は細身だがだらしないジャージ上下を着てだいぶ魔窟となった部屋でスナック菓子を食べながら(手が汚れるのが嫌なのか箸でつまんでいた)ネトゲに勤しんでいた。

「えーっと、僕達カケミンに頼まれて来た別グループの魔法少年なんだけど。君働かないと魔獣化させられちゃうんでしょ。ちょっとは活動しなよ」
「ん~めんどい。魔獣化したらしたで良いよ。人じゃ無くなれば仕事もクソも無いし」
「うっわー、マジで筋金入りだな」

「でも君、契約でこの先の人生相当長いのにそんな短慮な考えで棒に振っちゃって良いの?長生きしてれば良い事もたくさんあるはずだよ」
「ん~。確かに僕生まれ家庭ガチャは割と成功した方だと思うけどこういうアレな性格だし友達もそんなにいないし、ゲーム以外大した取り柄無いけどかといってプロゲーマーになれる程上手いわけでも無いし。親も毒じゃ無いけど働けとか進学しろばっか言って来てそんなに仲良く無いし。あんまり明るい展望が見えないんだよね」

「…うーん。でも魔法使える時点で十分個性だしアドバンテージあるじゃん。折角普通の家庭に生まれて、ライバルの子みたいに理不尽にひどい目に遭ったとかでも無いんだし魔法使って前向きに頑張れば良いじゃん」

「…ライバルの子とか君らの噂も魔法少年ネットワークで聞いた事はあるし、大変な目に遭った子達は気の毒だと思うけど。僕何やってもゲーム以外本気になれないし、ゲームも大好きかって言われるとちょっと悩む所で、他にする事もないからとりあえずやってるって感じなんだよねー。まあ僕生まれた時点でそういうどうしようも無いクズだから。魔獣化したらしたで当然の報いだろうし良いよ」


「うー、自覚あるだけに説得が難しいなー」
「じゃあ悪いけど、もう無理矢理引っ張って働かせようか」
「そうだな、4人がかりなら連れて行けるだろう」
「んー、ちょうど良く事件起きねえかな」

「ライバルの子は先週戦ったしたぶん今回来ないよね」
「じゃあ今回は3バカかな」
「流れ的にそろそろ何か起きるんじゃないかな」


その時昼間なのに急に外が暗くなり、空から典型的な悪役的高笑いが聞こえて来た。

「ひゃっひゃっひゃ。今日も世界をアタイの魔法で混沌の極みにしてやるわさ」

「あー、やっぱ3バカ来た」
「本気出すと妖艶な美女に変身する魔女のBBAだな」
「本気出してなければそこまで強く無いし、この子に働かせるにはちょうど良いんじゃないかな」
「よし、じゃあ皆で変身して引っ張ってこ」
「ああ、投げ網を出す」

そうして僕達は変身して銀髪のアレな子の出した投網でニートの子をふん縛り、空を飛んでホウキで滞空する魔女BBAに向かって行った。

「ああ?目障りなガキンチョどもさね。今日という今日はアタイの邪魔はさせないよ」
「うん、僕達は今日は遠慮しとく。代わりにこの子が相手になるよ」

投げ網に包んだままのニート体質の子をBBAの前に突き出した。

「え~やだ、働きたくない~」
「ああーん?そんな弱っちそうなメガネっ子一人とはアタイも舐められたもんだねえ。じゃあ遠慮なく地獄のイカヅチを喰らいな!」

魔女BBAが手を振り上げると、ニートの子の頭上にたちまち黒雲が発生し強烈な雷が落ちた。

「ちょ、ちょっと変身しないと死んじゃうよ」
「うん、ギャグ補正かかってるにしても限度があるし早く変身しなよ」
「ああ、死んでシャレで済むのはケッソンだけだ」
「だな、基本この作品よっぽどシリアス回以外は人は死なねえし」

「え~、変身呪文唱えるのめんどい~」

その子は黒焦げになりながら怠そうに意思を曲げなかった。

「いや呪文なんでもいいんだし適当に唱えなよ」
「うん、もう3文字くらいで良いじゃん」
「無言でも変身出来るしな」
「あー、そういやそうだったな」

「ん~、呪文考えるのもめんどい~。あ~もう何もかもどうでも良いや~」


その時、天上からアレな光が降って来て凄まじいニート体質の子を直撃した。

「え、ちょ、何これ」
「ややや、やばいミン。ついに魔法界の偉い方達がブチ切れたミン~!!」
「え、これが魔獣化なの!?」
「うん、ぼくも見たのは初めてだけどっピ。魔法少年が変化した魔獣は通常より強いからみんな気を付けるっピ!」

「な、何だいこのえげつない魔力は。これはアタイも本気出さないとまずいかもねえ」

そう言って魔力を解放しナイスバディの妖艶な美女に変身した元魔女BBA。

「おー、今回変身したか」
「サービス回だな」
「魔女も本気出して来たし、みんな気を付けようね」
「うん、僕も全力で行くよ」


そして光が消え現れたのは、巨大なナマケモノのような魔獣だった。

「んー、見た目はそんなに強そうには見えないけど」
「元魔法少年の魔獣は、変化前の能力を持っている事が多いですミン。この子の固有能力厄介だから気を付けて下さいミン!」

「あ~、皆ニートになれ~」

そのナマケモノ型魔獣が脱力物のオーラを放つと、皆変身が強制解除させられ地面に落ちてしまい、妖艶な美女になっていた魔女も元のBBAに戻った。

「いったたた、落ちちゃった」
「えー、何これ。めっちゃ気が抜ける」
「この子の能力で脱力させ魔力を吸い取ってしまうんですミン。さらに強化されて変身解除まで出来るようになってるみたいですミン」
「うわー、確かにそれは厄介だね」
「弱体化は辛いな」

「あ~もう邪魔~。あっち行って~」

魔獣の長い手でBBAに戻った魔女を思い切り跳ね飛ばし、BBAはあっさり空高く消えて行った。

「こ、こんなクズニートにやられるなんてあんまりだわさ~」


「あー、BBAは消えたがこいつどうするかな。変身解除させられちゃどうしようもねえな」

「じゃあ、これを使うと良いよ」

そう言って手製のジェットパックを背負って飛びながら現れたのはCV花江〇樹の天才少年だった。

「あ、来てくれたんだ。どうもありがとう」
「うん、すごい魔力を感じたからね。僕も魔法少年が魔獣化したのは初めて見たね。ほら、皆これを付けて」

そう彼は僕達に食玩で付いて来そうなブローチを配ってくれた。

「えっと、幼児向けの食玩っぽいけどこれは?」
「うん、見ての通りセ〇ンスターにダークシードを組み込んで改造した防御アイテムだよ。数分程度だけどこれを装備すればあの子の魔力も防げるはずだよ。悪いけど短期決戦で頑張ってね」
「分かった、ありがとう」
「コスパが良いな」


そして僕達はその改造食玩ブローチを付け再度変身し、ナマケモノ魔獣に猛攻を加えた。

とどめは僕の巨大砲と銀髪のアレな子の出したロケットランチャーを同時にぶっ放し爆発四散させた。

「あ~、これで働かなくて済む~…」

そう幸せそうに言い残し、凄まじいニート体質の子は一際強く輝くダークシードを残し消えていった。

「ふー、終わって良かった」
「自業自得とはいえ、ニートの子気の毒だね」
「まあ、再三警告したのに改心しねえ方が悪いだろ」
「ある意味初志貫徹していたな」

「皆お疲れっピ!このダークシードはいつもより強力っピよ」
「…うーん、でも元仲間だと思うとなんか使いづらいなあ」

「じゃあ、僕が実験や新たなアイテムの開発に利用しても良いかい?」
「うん良いよ。今回も君のお陰で勝てたし。よろしく」
「どういたしまして。僕もアレな実験楽しいしね。…僕をこういう風に育てたあの人にも、いつか一泡吹かせてやりたいしね」
「あー、やっぱ君も相当色々あるんだね」
「闇深だな」


「まあ、気が向いたらその内話すよ。それじゃあまたね」
そう闇深天才少年はジェットパックを噴かせ去って行った。

「…ううう、担当してた子魔獣化とかもうボク終わったミン。魔法長老様達からめっちゃ怒られるミン~」

めそめそと泣き出すカケミンを、珍しくケッソンが慰めた。

「まあ魔法少年ガチャ爆死したと思って諦めるっピよ。ぼく達に助け求めたり君も色々なんとかしようと頑張ってたし、魔法長老様達もその辺は考慮してくれるっピよ」
「…うう、だと良いけどミン。でも当分仕事させてくれないよね。妖精も性格アレだったりあまりに使えないと消去されて魔力に還されるし」
「うっわー、マジで魔法界ブラックだね」

「まあとはいっても本気で鬼畜外道なのは一部の神様とか上級国民だけだから、何だかんだで真面目にやってれば恩情はあるっピよ。ぼくからも魔法長老様に処分軽くしてもらうよう言っておくっピよ」
「うう、ありがとうケッソン…君も中の上くらいの成績だったけど、ガチャ結構成功してていいミンよね」

「うんまあ、性格や性癖は相当アレな子揃いっピけどね」
「いやお前に言われたく無いんだが」
「ああ、俺もそこまでアレではない」
「いや家爆破する君は相当アレだと思う」

「…じゃあ、処分怖いけどボクは魔法界に帰りますミン。残念な結果になったけど、皆さんありがとうございましたミン」

そう凹みながらカケミンは天空に去って行った。


「うーん、あの妖精も可哀想だね。あの子は何も悪くないのに」
「まあ、運の悪い人ってどうしてもいるからね」
「あの子昔からそうだったっピ。遠足の日に熱出したり授業参観に凄まじい化粧とファッションでお母さん来たり」
「妖精も学校あるんだ」
「まあぼく達魔力で生成される生物だから2年ちょいで小学1年から中学3年程度まで教育叩き込まれるけどっピ」
「やっぱ教育制度もブラックだな」

「じゃあまあ、大した事してないけど戦闘してお腹空いたし、お姉さんのカフェ行こうか」
「そうだね。お姉さん今度親戚の高校生の男の子紹介してくれるって言ってたし楽しみだね」
「ウーパールーパー丼が食べたい」
「お前マジでゲテモノ食いだよな」


その後カケミンはやっぱちょっと怒られ再教育させられたものの、1年くらいで再び別の魔法少年の担当妖精に付く事が出来た。

しかし次担当した子は強かったもののその子はその子で相当な問題児であり、1年ちょい後に僕達と出会いまた一騒動に巻き込まれる事をこの時の僕達は知る由も無かった。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

まぼろしの恋

恋愛 / 完結 24h.ポイント:21pt お気に入り:4

私、異世界で監禁されました!?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:376pt お気に入り:8,057

子宮

ミステリー / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:2

あいするひと。【完】

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:104

宇佐美くんと辰巳さん〜人生で一番大変だったある年越しの話

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:852pt お気に入り:1

【R18】先輩、勉強のお時間です

恋愛 / 完結 24h.ポイント:71pt お気に入り:49

年上カメラマンと訳あり彼女の蜜月までー月の名前ー

恋愛 / 完結 24h.ポイント:7pt お気に入り:129

短編集(SF・不思議・現代・ミステリ・その他)

ライト文芸 / 連載中 24h.ポイント:284pt お気に入り:1

気がついたらクズ男から溺愛されてました!?

恋愛 / 完結 24h.ポイント:0pt お気に入り:51

処理中です...