勇者の拳士様

星村直樹

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ここは剣と魔法の世界だった

ノイ村の村長に、魔王との戦いの話を聞く

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 昼食になった。
 おかみさんの飯は、旨い!。ずっと山中暮らしだったおれは、何を食べても、ほっぺたが落ちそうになる。この味は、一生忘れないだろう。修行当時は、もさかったから、失礼だと思って遠慮していたけど。偶に山から下りた時に、ご馳走になればよかった。

 昼からの村長の話に、ミワは、居なかった。村長の片手がなくなった話もあるからだ。いやな話を子供に聞かせたくなかったのだろう。

「一つ聞いていいか。熊を倒したから、修行が終わったと思ったのか?」

「それはそうですよ。山の主ですよ」
 本当は、風竜だけど言えない。

「ふーーーむ。悪くない頑張りだと思うが、それでやっと、帝国の魔物討伐隊に入れると言ったところだ。オーガは、グリズリー〈熊〉と変わらん。熊と、クマと同じ大きさの巨人だと、どちらが強いと思う」

「オーガは、武器を持っていますか」

「巨大なこん棒というのが多いな」

「武器があるんなら、オーガですよ。熊より3倍強い」

「その通りだ。ゴブリンも武器を持っているが、今のわしでも勝てる。上位のホブゴブリンになっても、まだ人より小さいが、上位になると、それなりの武器を持っている。訓練された人と互角だと思え。奴らも、強いぞ。今のわしでは、いいとこまで行って負ける。これで、相手の強さを察してくれ」

「魔物って戦闘狂ってことですか。じゃあ、ムーマ大陸は、住みにくいところなんですね」

「人にはな。見たわけじゃないから噂の話ですまんが、ムーマ大陸は、いいところだそうだ。魔物同士の争いというのは原始的な奴らがやっていることだ。亜人には、我らより知的な種族もいる。技術の進んだ種族もな。強い戦士や魔法使いが持っている武器やアイテムは、殆ど、ムーマ大陸製だ」

「どういうことですか?敵の武器を使っているってことですか」

「先に、基本を押さえろ。アストラル大陸は、聖獣様に守られている大陸。ムーマ大陸は、魔王に支配されている大陸だとということだ。その中のゼゲイという魔王が、帝国と接している魔王国の王だ。ゼゲイ魔王国と言う。このゼゲイが、人の国を脅かしている。他の魔王は、そうでもないんだ。ゼゲイが、他の魔王たちが人族の国に侵攻するのを妨げているだけかもしれないがな。魔王は5人いる。五芒星の魔王と呼ばれている。今のところ敵は、ゼゲイ魔王国だけだと思っていい」

 魔王?ムーマ大陸を治めているのは黒龍様じゃなかったっけ。シップウにそう聞いたのだけれど、後で聞きなおそう。
「ムーマ大陸に行ってみたいな」

「ギルドのランクが上がると、サザンやセイドン王国の商船を護衛する仕事を受けられる。よっぽどの腕じゃないと無理だがな」

「じゃあ、ギルドのランクが知りたい。出来る仕事は、ランクで決まるんでしょう」

「それは、追々な。学校で学べるから。それより、11年前の帝国防衛作戦の話をしよう。わしは、騎士として、参加していた。愛馬は、老齢だが、未だに健在だぞ。あとで、飼料をやりに行ってくれ」

「そう言えば、村長は、騎士だったんですよね。サザン王国の冒険者は、魔法が得意なんじゃなかったでしたっけ」

「わしは、魔法も少し使えた。得意はプロテクト、守りの魔法だ。だから、将軍の盾役として任務に就いていた。分かるか、プロテクトしている守りの騎士が、片手を失ったんだぞ」

「敵は、どんな魔族ですか。魔法は何を?」

「あの時は、驚いたよ。デーモンの急襲だった。デーモンも翼があるが、グリホンに乗っていた。さすがに、あれはない」

「魔王ゼゲイの眷属ですか?」

「ゼゲイは、デビルだよ。神域に達した悪魔だ。デーモンは、魔物の上位種だ。それもピンキリいるが、あの時の敵は、魔物の神域に達したゼゲルの眷属だろう」

 悪魔の方が魔物より上位。ゼゲルは悪魔。眷属は魔物!。

「結果、帝国が貸し与えてくれた、ミスリルの盾は、性能を十分果たしてくれた。わしの手が、それについて行けなかっただけだ。盾は、壊れなかったんだ。ただ、一撃、防いだのは良かった。サンダー将軍を守る防護体制ができたからな。サンダー将軍は、トールサンダーで応戦していたよ。わしは、リタイヤするしかなかった」

「戦争は、ずっと続いているんですか」

「いいや、11年前を境に、侵攻してこなくなった。力を蓄えたら、また来るだろうな。そうなる前に、死なないように鍛えろ。せっかく強い体を持っているんだ。魔法をとことん覚えろ」

「おばあちゃんにもそう言われました。それで、いい歳なのに、冒険者学校です」

「ユウは、見た目16歳だ。冒険者学校に入る年齢だ。それで通すんだ。いいな。体が強いことは、ひけらかすな。魔法使いは、貴族のボンボンばかりだぞ」

「気をつけます」

 おかみさんが、お茶を持ってやってきた。
「大丈夫さ。ユウは、クマを倒すのに華奢に見えるからね。みんなにも言っとくよ。なにかあって、ここに貴族が調べに来ても口裏合わせるからさ。ちょっとぐらいはめをはずしゃあいいんだ」

「おかみさん!」

「お前さん、お茶だよ。嫌な話は、終わりかい」
「何度もしたくない」
「ユウだからしてくれたんだよ」

 こくんと頭を下げた。後は、世間話になる。物陰から見ていたミワも食卓にやってきて、お茶とお茶菓子を要求。家族だんらんが戻った。

 明日は、サザンの城下町に行く。
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