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リザード陸戦隊
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ヌエからもらった、ボシェットを巻いて、ここに剣を差しながら、ミランダの後を追う。すると、目の前に巨大なトカゲ人間たちが、ミランダに並ぶようにやって来た。リザードマンたちは、身長が2メートルある巨体ぞろい。
でかっ、リザードマンだ
「バクバ。私を抱えて後宮に向かって。一刻を争うの」
リザードマンの隊長は、ギャオーーと雄たけびをあげて、ミランダを小脇に抱えた。そして、いきなりスピードをあげた。全員めちゃめちゃ早い。そこで、ミランダが、リザードマンの隊長に事情を話しているようだったが、おれは、この一団から外れてしまった。
― 道は、私が、分かる。後から来てってさ
あいつら、レベル幾つなんだ
― 30以上だ。任せていいんじゃないか
そうはいくか
― 地下と言っても城の地下だろ。そこはまだ、火の国だよ。さっき私を出し抜いたじゃないか。王子は、こっちのものだ。まっ、出し抜いたと言っても、急に服を脱いだ、だけだけどな
そんなの出し抜いたうちに入るか。だから急いでいるんだろ。城の地下っつうたら普通、ダンジョンだ。ミランダに、薬丸を半分渡しとけばよかった。
― リザードマンたちがやられるようだったら、ヒロなんかイチころだよ。彼らは、泳ぎも達者なんだと。暗河の入り口で待つってさ
暗河ったって、上から蓋をした川じゃないだろ。地下水の川があるはずだ。そっちに向かえって言え
― 了解・・そんなの城には、ないって困惑しているぞ
タマゴの大きさは?。いいからミランダとつなげ。いや、火龍王とだ。竜玉の周波数は、分かっているんだろ
― 繋いだぞ
火龍王、聞こえますか
>ヒロか、ミランダなら後宮に到着したぞ
お聞きしたいことがあるんですがいいですか
>言ってみろ
暗河っていうのは、川の上から蓋をした川のことですよね。それだと、タマゴは、地上に出ますよね
>そっちは、火竜飛翔隊に捜索させている。ただ、タマゴの大きさが、人が抱えるほどしかないのだ。王族と一部の者は、タマゴから孵ってから、さらに1年育てる。未開の地でタマゴが孵るとそれは死を意味するのだ
なんてこった。でも、川に出る暗河だと、地下に行きませんよね。どの暗河か、ヨウメイに聞いてください
>地下水路は複雑だからな。ヨウメイを起こせ。癒してやっても構わん。・・・、・・・ギャオーーー。なんだと。そんなこと聞いたことがない。・・・・、・・・・・、古代のか・・・・。
次に火龍王が話し掛けてくれた時は、肩を落としているように感じた。
>この城は、古くてな。地盤は、まだ、エルフがいた時代のものだ
1万年以上たっているのですか
>その時代の方が、科学が進んでいたのだ。進んでいたのは、エルフのことだぞ。エルフは、神の決めたことを我々に伝える役目を持っていた。だから、この城の最下層には、地底の町に通じる水路があるそうだ。そこはエルフ用でな、われらは通れん。
>その道をミランダに教えてやってください。ミランダといるリザードマンの足の方が速い。自分は、ミランダと話せます。後から追っかけます
>分かった。
ほかに何か情報は?
>ヨウメイは、話せば話すほど、虚け者だとわかった。今、リシという腹心の部下を探させている。詳細は、待て
龍王城は、とても広く、いつまでたっても後宮に辿り着けない。それはそうだ。火竜たちのサイズが違う。普通の火竜でも、体長が5~6メートルある。火龍王やショウギ将軍などは、10メートルもあるのだ。
せっかく、スーザンにもらった服を王の間に置いてきちゃったよと、思いながら、ひたすら走るヒロだった。
ヒロを置いて先行したミランダは、リザード陸戦隊のバクバ隊長に小脇に抱えられて後宮を目指していた。
「リクシャン様が心配だわ。バクバ、先に行った衛兵から何か連絡あった?」
「無い、バクバ、後宮に入るの初めて。本当に入って良かったか」
「私が一緒なのよ。それより、リザード陸戦隊の他の人は?地下水路に向かったの」
「バクバたちだけ呼ばれた。地下水路、火竜の衛兵も入れる。あそこの地下、古の浄化施設ある。そこ、火竜は入れない。バクバたち入れる。壊れると大変。だから行かない」
「そうだったわね。ここをずっと真っ直ぐよ。突き当りにリクシャン様がいらっしゃるわ」
「衛兵、居るな」
衛兵がミランダに駆け寄って、リザード陸戦隊も含めてエスコートした。
「リクシャン様は?」
「安心されよ、眠っておられるだけだ」
「この、お香の匂いは変だ。体がだるくなる。換気をさせてもらったが、良かったか」
「ありがとう。この匂い、眠り香ね。竜族にしか効かないお香だわ。ヨウメイ!!!」
リクシャンは、真っ白く、とても美しい火竜。お付きの者も寝ているだけ、ミランダは、リクシャンが無事なのにホッとした。そこにコンピューターが、話しかけてきて、ヒロの伝言を伝えた。
― ミランダ、地下水路から、地下に下る川はどこだ。ヒロが、そっちに向かいたがっている。
そんな川、無いわ。外の川に流れているはずだけど
― それだと、地下世界に行かないぞ
でも、聞いたことない
― ・・・。ヨウメイから聞くのが早い。火龍王に聞くそうだ。ここでまとう
ミランダは、寝ているリクシャンを撫でながら心配した。この後、起きて、王子が盗まれたと聞いたときのリクシャンの心痛を思うと、自分の胸まで張り裂けそうだ。
>ミランダ、わしだ。
「火龍王様!」
>バクバは、そこにいるな。皆も聞け。地下水路にある古の浄化施設には、地下世界と繋がる川が流れているそうだ。ダイオをそこに向かわせた。この道は、リザード族の限られた者だけが、知っている道だ。わしが聞くまで、ダイオは答えないのが、習わしだと言いおった。ところが、火の国の人間の公文書館にも、この記録が、残っていた。限られたものしか閲覧出来ないものだ。それをヨウメイに利用されたのだ。
「火龍王様。親父、そんな話、したことない」
>一子相伝だそうだぞ。バクバは、ここに入る権利がある。非常事態だ。皆を連れて行け。バクバ以外の者は、地龍との親交ができない限り、他に漏らすな
「ははっ」
「ははっ」
>よいか、王子の捜索は、我が国の領土だけにしろ。後は、ヒロという人間を待て。彼は、どの国にも行けるであろうと、全員、見解が一致した。公文書官長〈彼は人間〉と老中、ダイオも賛成してくれた。ヒロに追ってもらえ
「はっ」
「火龍王様。私も後を追いたいです」
>ミランダは、ここに残れ。リクシャンが目覚めたとき。誰が相手をいたす
「ヒロに聞いてください。私の本質は、エルフです。だから、火の魔法が弱かったんです。私も、どの国にも行けます。それに私のウォームがないとタマゴが冷えてしまいます。お願いです。行かせてください」
>なんと・・・ふむ・・・。命の危険がある。それでも行くか
「行きます」
>ショウギが大反対しよる。だが聞け、わしの一存だ。王子を頼むぞミランダ
「ありがとうございます」
バクバがミランダの所に来た。
「ミランダ、浄化施設の入り口が、頭に浮かんだ。行こう。みんな、ついてこい」
そう言って、バクバが、また、ミランダを小脇に抱えた。リザード陸戦隊は、尋常ならざるスピードで、地下水路を目指した。
地下水路の入り口は、王宮の中庭の隅に有る。火竜たちが入る入り口だ。結局ヒロは後宮には辿りつけず地下水路の衛兵に抱え上げられて、浄化施設の入り口に向かうことになった。
「はあはあ、何なんだ、あのリザードマンのスピード」
「わははは、騎士殿、修行が足りませんぞ。しかし、バクバ隊の足が異常に速いと言われれば、そうですぞ」
衛兵の火竜に笑われたが、仕方ない。
「火竜は、空も飛べるんですよね。うらやましい」
― ヒロも修行次第だぞ。こんどは、ミランダを泣かせるなよ
わかったよ
「風竜には、敵わんですがな。だか、攻撃力ならこちらが上だ。腕っぷしなら負けませんぞ」
「そうだ、聞きたかったんですが、もし、人間を乗せて対戦したら、どちらが強いですか。スピードのまじないは無し。人を傷つけるのも無しで、ですよ。じゃないと、おれ、死んじゃいますよ」
「人を乗せて。それでもスピードは向こうが上、防御は、こちらが上ですかな」
「もしかして、いい勝負ってことですか」
「それは、そうでしょう。人間を傷つけないという縛りはキツイ」
「へーー。じゃあ、おれがゲームを考えますから。できたら、風竜と勝負してみませんか。対等なら、どちらが強いか試せるじゃないですか」
「ふん、それは、我らでしょう。鍛え方が違う」
「人のことを忘れたら負けですよ」
「なるほど、それでも、我らの勝ちだ。火の国の人間も強いですからな。そんなゲームがあるのなら、勝負してみたいですな」
「今度、考えときます。できたら、火龍王に提案しますね」
そんな話をしながら、地下水路の浄化施設前に到着した。そこに、年老いたリザードマンが待っていた。さすがに、バクバ隊は優秀で、ミランダを抱えたバクバを先頭に、30名のリザードマンが、同時に到着した。
同着なのだが、リザード族の長老ダイオと、バクバ隊の隊長バクバは、親子で、目で何か話をしている。そして、そのまま難しい話をここにいる全員にすることになった。
衛兵の火竜は、息の上がっているおれを抱えたままその話を聞いた。武士の情けというやつだ。リザードマンたちは、全く息が乱れていない。ミランダの騎士という立場を気にしてくれたのだろう。
「皆、聞け。この浄化施設は、エルフが作った施設だ。だが、本当に、1万年もの間、壊れなかったと思うか。そんなことがあるはずがない。では、誰がメンテナンスしていた。誰が修理していた。それは、ドワーフじゃ。この浄化施設に繋がっている川を下ると、ドワーフが住む町がある。彼らが、今まで、この浄化施設を保持していたのじゃ」
火竜の衛兵も含めて、リザードマンたちがざわついた。敵が、この城の真下まで来ていたことに驚いたからだ。
「静まれ。エルフは、この星よりいなくなるとき、4大属性に連なる人間どもに役割を与えた。火の国の人間には、歴史を。風の国の人間には、生命の樹を。水の国の人魚には、命の保存を。そして、地の国のドワーフには、エルフの技術を継承した。この城近くに住むドワーフたちは、そう言う種族じゃ。普通のドワーフどもではない。それをゆめゆめ忘れるでないぞ」
「親父殿、我らは、その、ドワーフも、守るのか」
「そうじゃ。エルフの技術を絶やしてはならん。この浄化施設を守るということは、その、ドワーフも守ることになると、心せよ」
リザードマンたちは、リザード族の長老が言っていることなので、真摯に受け取っていた。だが、火竜の衛兵は、とんでもないことを聞かされたと、棒立ちになった。
「大丈夫ですか」
「騎士殿。わしは、長いこと、この城に仕えているが、こんなに緊張したのは、初めてだ。聞かない方が気が楽だった。わしらは、戦わなければいけないと思っていた地の国の者を守らねばいけない仕事についているのだろう。もし出会ったら、どう接したものか」
「急には、気持ちを切り替えられませんよね。火竜で、この話を聞いているのは多分、火龍王と、ショウギ将軍、老中の方のみだと思います。でも、現場ですもんね。老中の方に相談した方がいいと思います」
「ショウギ将軍もか。将軍にも相談するか。今これを知っているのは、現場では、わしだけだろう。わし一人で背負うのは、ちと重い」
「分かります」
衛兵の火竜は、苦虫をかみつぶしたような顔になった。
「すいません、もう、降ろしてもらっていいですか」
「おお、すまん」
火竜の衛兵に、ミランダがいる皆の中心に降ろされた。リザード族の長老ダイオは、おれを見止めるや、駆け寄って、おれをのぞき込むように見た。やっぱりリザードマンって、でかい。
「ヒロか」
「は、はい」
「すまん、パトーナム、打ってくれ」
「ここでですか」
「そうじゃ、大事なことじゃ」
「分かりました。みんな、下がってくれるか」
ヒロは、左腕に盾を持って掲げるような姿勢になった。
「パトーナム」
ヒロにとっては、守りの光だ。モンスターは、この光を嫌う。そして、実際、盾の役目もする。
「おおっ、おおっ、神官様」
リザード族の長老ダイオは、その場でひれ伏してしまった。
困った
「すいません。おれ、エルフじゃあ、ありません。ミランダ脱げよ」
「なんで?ヒロのエッチ」
「違うだろ、ミランダがエルフだろ。もう一度、ダイオさんに、こうさせたいのか」
「分かったわよ。じい、みんな。私、エルフみたい。エルフの家系を復活するって約束するわ」
じいとは、ダイオのこと。
「ミランダ、なんのことだ」
「馬鹿もん、ミランダ姫と言わんか」
バクバが、ダイオに殴られている。ミランダは、その場で、服を脱いで、エルフの巫女装束だけになった。
「まさか、まさか。ははーー」
ダイオが、また、その場でひれ伏した。
「こら、皆も、ひれ伏さんか」
「ごめん、私って、まだエルフのエの字ぐらいの人見たい。これから頑張るね。でも、この巫女装束は、本物よ。エルフの城の宝物殿で借りたものよ」
火竜の衛兵が、訳わからんと、鼻先をおれに向けて聞いてきた。
「騎士殿、どうなっとる」
「おれの服は青線が入っているでしょう。古の神官服だそうです。でもこれは偽物です。偶々似ていただけなんですが、ミランダのは、赤線が入っているじゃないですか。あれは、エルフの巫女装束です。あれ、本物です。ミランダは、大昔にほろんだエルフの因子を持って生まれたみたいですよ。修行次第で、エルフになれます」
「なんだと・・」
「あーっ、フリーズしないでください。だから、ミランダは、どの国にも行ける人になったんです。タマゴを追って地下世界にも行けます。浄化施設の地下に降りる許可をください」
「許可は、わしではない。ダイオだ。あの様子だと、問題ないのではないか」
「ですね」
リザード族の長老に言われて、リザードマン全員がひれ伏していた。
「じい、急ぐの。地下の川に案内して」
「ミランダ姫がエルフの巫女!。驚いた」
「早く!」
おれは、一番後ろにいるリザードマンの肩をたたいた。
「すいません、おれも、抱えてもらえませんか。おれ、走るの遅くて」
「騎士殿、走るの遅い。分かった」
そんなわけで、みんな、また駆け足になった。
「騎士殿、ご武運を」
火竜の衛兵に見送られながら、地下に降りることになった。
でかっ、リザードマンだ
「バクバ。私を抱えて後宮に向かって。一刻を争うの」
リザードマンの隊長は、ギャオーーと雄たけびをあげて、ミランダを小脇に抱えた。そして、いきなりスピードをあげた。全員めちゃめちゃ早い。そこで、ミランダが、リザードマンの隊長に事情を話しているようだったが、おれは、この一団から外れてしまった。
― 道は、私が、分かる。後から来てってさ
あいつら、レベル幾つなんだ
― 30以上だ。任せていいんじゃないか
そうはいくか
― 地下と言っても城の地下だろ。そこはまだ、火の国だよ。さっき私を出し抜いたじゃないか。王子は、こっちのものだ。まっ、出し抜いたと言っても、急に服を脱いだ、だけだけどな
そんなの出し抜いたうちに入るか。だから急いでいるんだろ。城の地下っつうたら普通、ダンジョンだ。ミランダに、薬丸を半分渡しとけばよかった。
― リザードマンたちがやられるようだったら、ヒロなんかイチころだよ。彼らは、泳ぎも達者なんだと。暗河の入り口で待つってさ
暗河ったって、上から蓋をした川じゃないだろ。地下水の川があるはずだ。そっちに向かえって言え
― 了解・・そんなの城には、ないって困惑しているぞ
タマゴの大きさは?。いいからミランダとつなげ。いや、火龍王とだ。竜玉の周波数は、分かっているんだろ
― 繋いだぞ
火龍王、聞こえますか
>ヒロか、ミランダなら後宮に到着したぞ
お聞きしたいことがあるんですがいいですか
>言ってみろ
暗河っていうのは、川の上から蓋をした川のことですよね。それだと、タマゴは、地上に出ますよね
>そっちは、火竜飛翔隊に捜索させている。ただ、タマゴの大きさが、人が抱えるほどしかないのだ。王族と一部の者は、タマゴから孵ってから、さらに1年育てる。未開の地でタマゴが孵るとそれは死を意味するのだ
なんてこった。でも、川に出る暗河だと、地下に行きませんよね。どの暗河か、ヨウメイに聞いてください
>地下水路は複雑だからな。ヨウメイを起こせ。癒してやっても構わん。・・・、・・・ギャオーーー。なんだと。そんなこと聞いたことがない。・・・・、・・・・・、古代のか・・・・。
次に火龍王が話し掛けてくれた時は、肩を落としているように感じた。
>この城は、古くてな。地盤は、まだ、エルフがいた時代のものだ
1万年以上たっているのですか
>その時代の方が、科学が進んでいたのだ。進んでいたのは、エルフのことだぞ。エルフは、神の決めたことを我々に伝える役目を持っていた。だから、この城の最下層には、地底の町に通じる水路があるそうだ。そこはエルフ用でな、われらは通れん。
>その道をミランダに教えてやってください。ミランダといるリザードマンの足の方が速い。自分は、ミランダと話せます。後から追っかけます
>分かった。
ほかに何か情報は?
>ヨウメイは、話せば話すほど、虚け者だとわかった。今、リシという腹心の部下を探させている。詳細は、待て
龍王城は、とても広く、いつまでたっても後宮に辿り着けない。それはそうだ。火竜たちのサイズが違う。普通の火竜でも、体長が5~6メートルある。火龍王やショウギ将軍などは、10メートルもあるのだ。
せっかく、スーザンにもらった服を王の間に置いてきちゃったよと、思いながら、ひたすら走るヒロだった。
ヒロを置いて先行したミランダは、リザード陸戦隊のバクバ隊長に小脇に抱えられて後宮を目指していた。
「リクシャン様が心配だわ。バクバ、先に行った衛兵から何か連絡あった?」
「無い、バクバ、後宮に入るの初めて。本当に入って良かったか」
「私が一緒なのよ。それより、リザード陸戦隊の他の人は?地下水路に向かったの」
「バクバたちだけ呼ばれた。地下水路、火竜の衛兵も入れる。あそこの地下、古の浄化施設ある。そこ、火竜は入れない。バクバたち入れる。壊れると大変。だから行かない」
「そうだったわね。ここをずっと真っ直ぐよ。突き当りにリクシャン様がいらっしゃるわ」
「衛兵、居るな」
衛兵がミランダに駆け寄って、リザード陸戦隊も含めてエスコートした。
「リクシャン様は?」
「安心されよ、眠っておられるだけだ」
「この、お香の匂いは変だ。体がだるくなる。換気をさせてもらったが、良かったか」
「ありがとう。この匂い、眠り香ね。竜族にしか効かないお香だわ。ヨウメイ!!!」
リクシャンは、真っ白く、とても美しい火竜。お付きの者も寝ているだけ、ミランダは、リクシャンが無事なのにホッとした。そこにコンピューターが、話しかけてきて、ヒロの伝言を伝えた。
― ミランダ、地下水路から、地下に下る川はどこだ。ヒロが、そっちに向かいたがっている。
そんな川、無いわ。外の川に流れているはずだけど
― それだと、地下世界に行かないぞ
でも、聞いたことない
― ・・・。ヨウメイから聞くのが早い。火龍王に聞くそうだ。ここでまとう
ミランダは、寝ているリクシャンを撫でながら心配した。この後、起きて、王子が盗まれたと聞いたときのリクシャンの心痛を思うと、自分の胸まで張り裂けそうだ。
>ミランダ、わしだ。
「火龍王様!」
>バクバは、そこにいるな。皆も聞け。地下水路にある古の浄化施設には、地下世界と繋がる川が流れているそうだ。ダイオをそこに向かわせた。この道は、リザード族の限られた者だけが、知っている道だ。わしが聞くまで、ダイオは答えないのが、習わしだと言いおった。ところが、火の国の人間の公文書館にも、この記録が、残っていた。限られたものしか閲覧出来ないものだ。それをヨウメイに利用されたのだ。
「火龍王様。親父、そんな話、したことない」
>一子相伝だそうだぞ。バクバは、ここに入る権利がある。非常事態だ。皆を連れて行け。バクバ以外の者は、地龍との親交ができない限り、他に漏らすな
「ははっ」
「ははっ」
>よいか、王子の捜索は、我が国の領土だけにしろ。後は、ヒロという人間を待て。彼は、どの国にも行けるであろうと、全員、見解が一致した。公文書官長〈彼は人間〉と老中、ダイオも賛成してくれた。ヒロに追ってもらえ
「はっ」
「火龍王様。私も後を追いたいです」
>ミランダは、ここに残れ。リクシャンが目覚めたとき。誰が相手をいたす
「ヒロに聞いてください。私の本質は、エルフです。だから、火の魔法が弱かったんです。私も、どの国にも行けます。それに私のウォームがないとタマゴが冷えてしまいます。お願いです。行かせてください」
>なんと・・・ふむ・・・。命の危険がある。それでも行くか
「行きます」
>ショウギが大反対しよる。だが聞け、わしの一存だ。王子を頼むぞミランダ
「ありがとうございます」
バクバがミランダの所に来た。
「ミランダ、浄化施設の入り口が、頭に浮かんだ。行こう。みんな、ついてこい」
そう言って、バクバが、また、ミランダを小脇に抱えた。リザード陸戦隊は、尋常ならざるスピードで、地下水路を目指した。
地下水路の入り口は、王宮の中庭の隅に有る。火竜たちが入る入り口だ。結局ヒロは後宮には辿りつけず地下水路の衛兵に抱え上げられて、浄化施設の入り口に向かうことになった。
「はあはあ、何なんだ、あのリザードマンのスピード」
「わははは、騎士殿、修行が足りませんぞ。しかし、バクバ隊の足が異常に速いと言われれば、そうですぞ」
衛兵の火竜に笑われたが、仕方ない。
「火竜は、空も飛べるんですよね。うらやましい」
― ヒロも修行次第だぞ。こんどは、ミランダを泣かせるなよ
わかったよ
「風竜には、敵わんですがな。だか、攻撃力ならこちらが上だ。腕っぷしなら負けませんぞ」
「そうだ、聞きたかったんですが、もし、人間を乗せて対戦したら、どちらが強いですか。スピードのまじないは無し。人を傷つけるのも無しで、ですよ。じゃないと、おれ、死んじゃいますよ」
「人を乗せて。それでもスピードは向こうが上、防御は、こちらが上ですかな」
「もしかして、いい勝負ってことですか」
「それは、そうでしょう。人間を傷つけないという縛りはキツイ」
「へーー。じゃあ、おれがゲームを考えますから。できたら、風竜と勝負してみませんか。対等なら、どちらが強いか試せるじゃないですか」
「ふん、それは、我らでしょう。鍛え方が違う」
「人のことを忘れたら負けですよ」
「なるほど、それでも、我らの勝ちだ。火の国の人間も強いですからな。そんなゲームがあるのなら、勝負してみたいですな」
「今度、考えときます。できたら、火龍王に提案しますね」
そんな話をしながら、地下水路の浄化施設前に到着した。そこに、年老いたリザードマンが待っていた。さすがに、バクバ隊は優秀で、ミランダを抱えたバクバを先頭に、30名のリザードマンが、同時に到着した。
同着なのだが、リザード族の長老ダイオと、バクバ隊の隊長バクバは、親子で、目で何か話をしている。そして、そのまま難しい話をここにいる全員にすることになった。
衛兵の火竜は、息の上がっているおれを抱えたままその話を聞いた。武士の情けというやつだ。リザードマンたちは、全く息が乱れていない。ミランダの騎士という立場を気にしてくれたのだろう。
「皆、聞け。この浄化施設は、エルフが作った施設だ。だが、本当に、1万年もの間、壊れなかったと思うか。そんなことがあるはずがない。では、誰がメンテナンスしていた。誰が修理していた。それは、ドワーフじゃ。この浄化施設に繋がっている川を下ると、ドワーフが住む町がある。彼らが、今まで、この浄化施設を保持していたのじゃ」
火竜の衛兵も含めて、リザードマンたちがざわついた。敵が、この城の真下まで来ていたことに驚いたからだ。
「静まれ。エルフは、この星よりいなくなるとき、4大属性に連なる人間どもに役割を与えた。火の国の人間には、歴史を。風の国の人間には、生命の樹を。水の国の人魚には、命の保存を。そして、地の国のドワーフには、エルフの技術を継承した。この城近くに住むドワーフたちは、そう言う種族じゃ。普通のドワーフどもではない。それをゆめゆめ忘れるでないぞ」
「親父殿、我らは、その、ドワーフも、守るのか」
「そうじゃ。エルフの技術を絶やしてはならん。この浄化施設を守るということは、その、ドワーフも守ることになると、心せよ」
リザードマンたちは、リザード族の長老が言っていることなので、真摯に受け取っていた。だが、火竜の衛兵は、とんでもないことを聞かされたと、棒立ちになった。
「大丈夫ですか」
「騎士殿。わしは、長いこと、この城に仕えているが、こんなに緊張したのは、初めてだ。聞かない方が気が楽だった。わしらは、戦わなければいけないと思っていた地の国の者を守らねばいけない仕事についているのだろう。もし出会ったら、どう接したものか」
「急には、気持ちを切り替えられませんよね。火竜で、この話を聞いているのは多分、火龍王と、ショウギ将軍、老中の方のみだと思います。でも、現場ですもんね。老中の方に相談した方がいいと思います」
「ショウギ将軍もか。将軍にも相談するか。今これを知っているのは、現場では、わしだけだろう。わし一人で背負うのは、ちと重い」
「分かります」
衛兵の火竜は、苦虫をかみつぶしたような顔になった。
「すいません、もう、降ろしてもらっていいですか」
「おお、すまん」
火竜の衛兵に、ミランダがいる皆の中心に降ろされた。リザード族の長老ダイオは、おれを見止めるや、駆け寄って、おれをのぞき込むように見た。やっぱりリザードマンって、でかい。
「ヒロか」
「は、はい」
「すまん、パトーナム、打ってくれ」
「ここでですか」
「そうじゃ、大事なことじゃ」
「分かりました。みんな、下がってくれるか」
ヒロは、左腕に盾を持って掲げるような姿勢になった。
「パトーナム」
ヒロにとっては、守りの光だ。モンスターは、この光を嫌う。そして、実際、盾の役目もする。
「おおっ、おおっ、神官様」
リザード族の長老ダイオは、その場でひれ伏してしまった。
困った
「すいません。おれ、エルフじゃあ、ありません。ミランダ脱げよ」
「なんで?ヒロのエッチ」
「違うだろ、ミランダがエルフだろ。もう一度、ダイオさんに、こうさせたいのか」
「分かったわよ。じい、みんな。私、エルフみたい。エルフの家系を復活するって約束するわ」
じいとは、ダイオのこと。
「ミランダ、なんのことだ」
「馬鹿もん、ミランダ姫と言わんか」
バクバが、ダイオに殴られている。ミランダは、その場で、服を脱いで、エルフの巫女装束だけになった。
「まさか、まさか。ははーー」
ダイオが、また、その場でひれ伏した。
「こら、皆も、ひれ伏さんか」
「ごめん、私って、まだエルフのエの字ぐらいの人見たい。これから頑張るね。でも、この巫女装束は、本物よ。エルフの城の宝物殿で借りたものよ」
火竜の衛兵が、訳わからんと、鼻先をおれに向けて聞いてきた。
「騎士殿、どうなっとる」
「おれの服は青線が入っているでしょう。古の神官服だそうです。でもこれは偽物です。偶々似ていただけなんですが、ミランダのは、赤線が入っているじゃないですか。あれは、エルフの巫女装束です。あれ、本物です。ミランダは、大昔にほろんだエルフの因子を持って生まれたみたいですよ。修行次第で、エルフになれます」
「なんだと・・」
「あーっ、フリーズしないでください。だから、ミランダは、どの国にも行ける人になったんです。タマゴを追って地下世界にも行けます。浄化施設の地下に降りる許可をください」
「許可は、わしではない。ダイオだ。あの様子だと、問題ないのではないか」
「ですね」
リザード族の長老に言われて、リザードマン全員がひれ伏していた。
「じい、急ぐの。地下の川に案内して」
「ミランダ姫がエルフの巫女!。驚いた」
「早く!」
おれは、一番後ろにいるリザードマンの肩をたたいた。
「すいません、おれも、抱えてもらえませんか。おれ、走るの遅くて」
「騎士殿、走るの遅い。分かった」
そんなわけで、みんな、また駆け足になった。
「騎士殿、ご武運を」
火竜の衛兵に見送られながら、地下に降りることになった。
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息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
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