再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~

鄭 和食

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第1章 転魂流転~ルーベリス~

第7話 氷の滑り台

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「ど、どうする……」

 ボスウルフがとんでもない真空刃を放つ瞬間、俺は鉄馬車を異空間に収納して、その破壊を防いだ。いくら鉄馬車とは言え、あの真空刃を食らっていたら破壊されていただろう。だがその結果……俺は十数頭の狼に360度囲まれていた……

 とりあえず、異空間から剣を取り出し構える。自分でも意外と様になっているのが分かる。だが、如何せんこの状況を剣一本で突破するのは無理だろう。ならば……

「鉄馬車っ!!」

 ドンッ!

 俺はボスウルフの頭上から鉄馬車を落とす。周りにいた2頭はその下敷きになったが、ボス狼はあっさり躱していた。俺は次に備え、すぐさま鉄馬車を回収する。だが、

「ワオォーン!」

 ボスウルフが遠吠えを上げると、俺を取り囲む狼たちはお互い距離を取り始めた。明らかに鉄馬車対策だ。

「統率されてんのか、こいつら……」

 ボス狼の左右にいた狼が2匹襲ってくる。「うわっ」と情けない声を出しながら体が反射的に反応し、剣を横なぎに払い迎撃する。運よく1匹の鼻っ面をかすめ怯んだ隙に、ボス狼のいない方向へ逃げ出すが……

「しまっ……こっちはダメだ」

 この方向には人間の遺体がある。こちらに逃げれば奴らに気づかれてしまう。いや、それを餌に時間が稼げれば…………

「うおおぉおーーー!!」

 俺は包囲を突破すべく、剣を振り上げ駆け出した。。奴も一瞬意外そうな表情を浮かべた気がしたが、すぐに身体を沈め迎撃の態勢をとる。

「おおーー! 犬とは仲良くしたいのにっーーー!!」

 つい本心が大声で漏れてしまいつつ、上段に振り上げた剣を振り下ろす。しかし、ボスウルフは横に飛び、あっさり俺の剣を躱す。が、同時に……

「ソードバレットッ!!」

 奴が横っ飛びから着地した瞬間、俺は異空間から抜き身の剣をした。我ながら完璧なタイミングだ!

「クッ!」

 しかし、ボスウルフは人間みたいな声を出したかと思うと、着地と同時に身をひねる。それでもその身に剣が突き刺さるかと思われたが、一瞬ボスウルフの身体に濃い青の光が灯り、それが若干剣の勢いを削ぐと同時に剣を体から逸らす。

 ビシャァーー

 だがそれも完璧ではなく、ボスウルフの体を切り裂き大量の血の雨を降らせた。

「うおおーーーー!!」

 俺はすかさず追撃を…………せず、ボスウルフが飛び退き、かつ負傷したことによる包囲の穴を突破し、全力で逃げた!

 走る、とにかく走る、だが一面の銀世界。雪に足をとられ、思うほど速度が出ない。ボスウルフは負傷からか、さすがに追ってこないが、他の狼が5、6頭追いかけてきている。
 ぞわっ! 俺は悪寒を感じ、走りながら後ろを振り返る。ボスウルフが四肢を踏ん張り、真空刃を放とうとしている。

「やばい、やばい! 防御、防御……防具っ!! 弾幕鎧バラージメイル!!」

 異空間から収納してある鎧や防具をとにかく全て高速射出する、アレの射線上に。

 ガキィーンッ!! ガキッ!! ガガッ!

 う、うまく相殺できたか!? 多少傷はおったが、とにかく動けないほどの怪我はしていない。ボス狼《ウルフ》はさすがに血が流れすぎたのか、その場に伏せるように横たわった。だが、まだ狼は数頭追いかけてくる。

「ソードバレットッ!」

 追いかけてくる狼に向けて、剣を高速射出する。

「ギャインッ!」

 6頭いたうち、5頭には命中、致命傷を与えた。残り1頭か、異空間の残弾剣は1、後は手に持つ剣のみ。ボスウルフとの距離もだいぶ空いた……ならば、

「迎え撃つっ!! 来いや……うわっ」

 立ち止まり振り返った瞬間、狼に体当たりされた。あっさり吹き飛ばされ、地面に衝突する衝撃に身を固くしたのだが……

「ええぇぇ~~!! うわ~~…………」

 俺は浮遊感を感じた数瞬後、氷の斜面をすごい速度で滑り落ちていった。滑り落ち何とか一瞬、上を見上げると、井戸の底から見上げたように、きれいな青空がそこにはあった。

「……落とし穴ぁ~、ク、クレバスかぁ~~、がばっ」

 滑りながら氷の出っ張りにでも頭をぶつけたのか、俺はあっさり意識を失った。

 ◇

 さらさらさら………ピトッ、ピトッ……さーさー

 ん、ん~~、う~ん……つ、冷たい……ん、川の音……??

 体の節々が痛む……もうこの歳になると、こういう痛みがなかなかとれないんだよな……憂鬱だぜ……
 嫌々ながらも目を開けるとやわらかい緑の絨毯の上に俺は寝そべっていた。

「……どこ……?」

 似たようなセリフをここ最近幾度となく吐いた気がする……
 俺はびっしり敷き詰められた苔の絨毯に横たわっていた。痛む体を無理やり起こし周りを見渡す。左側にはとてつもなく高い切り立つ壁がある。見上げても上空には薄く雲がかかっており、その高さを測ることができない。何か世界を区切る壁のようだ。その壁に幅3メートルくらいの亀裂が走っており、その中には氷でできた斜面が果てしなく続いている。

「氷の滑り台……ウォータースライダーならぬアイススライダーか……相当な距離を滑り落ちてきたようだな……よく無事だったもんだ」
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