12 / 17
第1章 転魂流転~ルーベリス~
第12話 不夜城ルーベリス
しおりを挟む
いそいそと違う門へ移動する。確かにさっきの門には大きな荷物を積み込んだ馬車が並んでたな……
一般人向けの門に並ぶ、心臓はバクバクだ。皆、門番と何かのやり取りをして街に入っている。お金を支払っているのか? カ、カネ……そういえば追いはぎ……服をいただいた際に硬貨があったな。ああ、もう俺の番だ……
「……嬢ちゃん、この町のもんじゃないだろ? 身分証は??」
シブめの門番に話しかけられる。
「……あ、ありません。無いと入れないのですか?」
「いや、そういうわけじゃないが……目的は? ここに親類でもいるのか?」
「い、いえ……その、で、出稼ぎに……」
ヤバい、怪しい奴と思われるだろうか? 実際怪しいけど……
「————なっ!! い、いや、その……まだ早いんじゃないか? 嬢ちゃんは若いし、それにかなり……かわいいじゃねぇか! もったいねぇ! いいか、どういう話を聞いたか分らんが、”常夜の姫”になれるのはほんの一握りの運のいい女だけなんだぞ! 大体の奴はそれはもう……」
「えっと、何の話でしょうか!?」
「何の話って……出稼ぎにきたんだろう? この西部最大の歓楽街”不夜城ルーベリス”に。その……その、もっとだな、自分の身体は大切に……俺も嬢ちゃんくらいの娘がいるんだよ。だから、何と言うか、その……」
歓楽街って……? 常夜の姫? なんか田舎から出てきた、冬の次のアレを売りにきた娘……的に思われてる?? というか、それ以前に……そういえば、さっきから”嬢ちゃん、嬢ちゃん”って言われてるな。
「えーっと、おれ男なんですけど……」
「——えっ!? うそっ!!」
シブめの中年男性門番さんが驚愕の表情を浮かべている。そして、”おそるおそる”といった感じで尋ねてくる。
「……それなら単に冒険者希望か? それとも、その、そっち専門の……」
「——冒険者ですっ!!」
◇
とにかく街には入ることができた。身分証を持たないとのことで、銀貨1枚の通行税がかかった。これは鉄馬車の人たちからいただいた中にあった、銀貨っぽい硬貨を1枚出して乗り切れた。
そして「そっち専門の」を強く否定するため、思わず「冒険者ですっ!」って叫んだため、冒険者ギルドを案内された。冒険者ギルドに登録し、冒険者証を発行してもらえば、次から通行税は銅貨1枚でいいらしい。タダじゃないんだね。
「……”冒険者”……か。ザ・ファンタジー……」
やっぱりあれか、魔物がいるなら”冒険者”だよな。そして、冒険者ギルドだよな。ただ、『冒険者ギルド』とはただの通称で、正式名称は『総合調整自由組合』だそうだ。ファンタジー感ゼロだな……
中世西欧風の街並み……にしては均一に整えられた精緻な石畳の上を歩く。この大通りを歩いていくと街の中心に出るらしい。しばらく歩くと大きく開けた、円形の広場に出た。
その中心には、白い大理石で造られたような大きな時計塔が立っていた。
『時計……あるんだな、この世界も』
妙なことに感動しながら、空いているベンチに座る。
「さて……今からどうしよう」
街に着くまで気にしていなかったが、異空間に収納された硬貨を数える。わざわざ出さずとも意識するだけで、数とかは把握できる。
『大金貨2枚、金貨24枚、銀貨30枚、銅貨45枚。すげー、コインカウンター機能までついてるとは』
チートすぎるぜ、異空間魔法。貨幣価値、物価などはまだ全くわからないが、今日明日で食うに困るというほどではないはずだ、とんだインフレ経済でもない限り。
「………とにもかくにも、『冒険者ギルド』を目指すか」
この街、西部最大の歓楽街がある”不夜城ルーベリス”には地方からの出稼ぎ労働者が多く来るらしい。一番多いのが、何と言ってもこの街最大の産業、いわゆる”夜の世界”の業界で働くためにやってくる者たち。特に若い女性が多いらしい。なぜか、俺もそれに間違われたし。そして次に多いのが、冒険者志望の若者たち。
ここルーベリスには西部地方2番目に大きな冒険者ギルドがあるらしい。そして、その冒険者ギルドで近年行われるようになった『初心者講習』。これを受けてみろ、とは先ほどのシブめの門番、カルマルさん談。
「なんだかんだで、色々と教えてくれた親切なおじさんだったな。変な勘違いされそうだったけど……」
時計塔を正面に見て、右側に伸びる大通り。その通り沿いにある大きな3階建ての建物。それが冒険者ギルドらしい。『剣と盾』が描かれた看板……ではなく、普通に『総合調整自由組合』と書かれた看板が掛かっていた。建物自体は石造りの武骨な感じだが、どことなく日本の市役所を思わせる。
正面玄関の右側には開けた場所があり、そこに冒険者と思しき人たちが、色々な物資……魔物の死体?? などを運び込んでいる。
「ふぅー、とりあえず入るか……入るとおそらく……」
「おお! ここはガキの来るところじゃねぇぞぉ!」とガラの悪い男たちに絡まれ……ることもなく、『総合案内』と書かれたカウンターがあった。
「総合調整自由組合ルーベリス支部へようこそ。ご用件をお伺いします」
と感じのいい若い女性に対応された。普通に市役所じゃん、と内心思いながらも
「あの、冒険者の登録……」
「えっ?? 依頼の持ち込みじゃないんですか!?」
「えっと、その、違います。初心者講習も受けたくて……」
「――本当ですかっ!! よしっ! ミレイさーんッ!!」
なぜかガッツポーズを決めた受付の女性は、バックヤードを振り返り人を呼んだ。一人の若い、しかもすごい美人がやってくる。
「この子が冒険者登録と、初心者講習を受けたいって!」
「ええ!? ……こんなかわいい子が冒険者??」
「そんなことより、『初心者講習』ですよ! うちの支部の第一号さんがやってきたんですよぉ!!」
おお、なんかすごくテンション上がってるな。しかし、”第一号”なのか、おれ?
「ルーシュ、落ち着いて。失礼しました、それでは初心者講習の説明もありますので、こちらのブースへどうぞ」
一般人向けの門に並ぶ、心臓はバクバクだ。皆、門番と何かのやり取りをして街に入っている。お金を支払っているのか? カ、カネ……そういえば追いはぎ……服をいただいた際に硬貨があったな。ああ、もう俺の番だ……
「……嬢ちゃん、この町のもんじゃないだろ? 身分証は??」
シブめの門番に話しかけられる。
「……あ、ありません。無いと入れないのですか?」
「いや、そういうわけじゃないが……目的は? ここに親類でもいるのか?」
「い、いえ……その、で、出稼ぎに……」
ヤバい、怪しい奴と思われるだろうか? 実際怪しいけど……
「————なっ!! い、いや、その……まだ早いんじゃないか? 嬢ちゃんは若いし、それにかなり……かわいいじゃねぇか! もったいねぇ! いいか、どういう話を聞いたか分らんが、”常夜の姫”になれるのはほんの一握りの運のいい女だけなんだぞ! 大体の奴はそれはもう……」
「えっと、何の話でしょうか!?」
「何の話って……出稼ぎにきたんだろう? この西部最大の歓楽街”不夜城ルーベリス”に。その……その、もっとだな、自分の身体は大切に……俺も嬢ちゃんくらいの娘がいるんだよ。だから、何と言うか、その……」
歓楽街って……? 常夜の姫? なんか田舎から出てきた、冬の次のアレを売りにきた娘……的に思われてる?? というか、それ以前に……そういえば、さっきから”嬢ちゃん、嬢ちゃん”って言われてるな。
「えーっと、おれ男なんですけど……」
「——えっ!? うそっ!!」
シブめの中年男性門番さんが驚愕の表情を浮かべている。そして、”おそるおそる”といった感じで尋ねてくる。
「……それなら単に冒険者希望か? それとも、その、そっち専門の……」
「——冒険者ですっ!!」
◇
とにかく街には入ることができた。身分証を持たないとのことで、銀貨1枚の通行税がかかった。これは鉄馬車の人たちからいただいた中にあった、銀貨っぽい硬貨を1枚出して乗り切れた。
そして「そっち専門の」を強く否定するため、思わず「冒険者ですっ!」って叫んだため、冒険者ギルドを案内された。冒険者ギルドに登録し、冒険者証を発行してもらえば、次から通行税は銅貨1枚でいいらしい。タダじゃないんだね。
「……”冒険者”……か。ザ・ファンタジー……」
やっぱりあれか、魔物がいるなら”冒険者”だよな。そして、冒険者ギルドだよな。ただ、『冒険者ギルド』とはただの通称で、正式名称は『総合調整自由組合』だそうだ。ファンタジー感ゼロだな……
中世西欧風の街並み……にしては均一に整えられた精緻な石畳の上を歩く。この大通りを歩いていくと街の中心に出るらしい。しばらく歩くと大きく開けた、円形の広場に出た。
その中心には、白い大理石で造られたような大きな時計塔が立っていた。
『時計……あるんだな、この世界も』
妙なことに感動しながら、空いているベンチに座る。
「さて……今からどうしよう」
街に着くまで気にしていなかったが、異空間に収納された硬貨を数える。わざわざ出さずとも意識するだけで、数とかは把握できる。
『大金貨2枚、金貨24枚、銀貨30枚、銅貨45枚。すげー、コインカウンター機能までついてるとは』
チートすぎるぜ、異空間魔法。貨幣価値、物価などはまだ全くわからないが、今日明日で食うに困るというほどではないはずだ、とんだインフレ経済でもない限り。
「………とにもかくにも、『冒険者ギルド』を目指すか」
この街、西部最大の歓楽街がある”不夜城ルーベリス”には地方からの出稼ぎ労働者が多く来るらしい。一番多いのが、何と言ってもこの街最大の産業、いわゆる”夜の世界”の業界で働くためにやってくる者たち。特に若い女性が多いらしい。なぜか、俺もそれに間違われたし。そして次に多いのが、冒険者志望の若者たち。
ここルーベリスには西部地方2番目に大きな冒険者ギルドがあるらしい。そして、その冒険者ギルドで近年行われるようになった『初心者講習』。これを受けてみろ、とは先ほどのシブめの門番、カルマルさん談。
「なんだかんだで、色々と教えてくれた親切なおじさんだったな。変な勘違いされそうだったけど……」
時計塔を正面に見て、右側に伸びる大通り。その通り沿いにある大きな3階建ての建物。それが冒険者ギルドらしい。『剣と盾』が描かれた看板……ではなく、普通に『総合調整自由組合』と書かれた看板が掛かっていた。建物自体は石造りの武骨な感じだが、どことなく日本の市役所を思わせる。
正面玄関の右側には開けた場所があり、そこに冒険者と思しき人たちが、色々な物資……魔物の死体?? などを運び込んでいる。
「ふぅー、とりあえず入るか……入るとおそらく……」
「おお! ここはガキの来るところじゃねぇぞぉ!」とガラの悪い男たちに絡まれ……ることもなく、『総合案内』と書かれたカウンターがあった。
「総合調整自由組合ルーベリス支部へようこそ。ご用件をお伺いします」
と感じのいい若い女性に対応された。普通に市役所じゃん、と内心思いながらも
「あの、冒険者の登録……」
「えっ?? 依頼の持ち込みじゃないんですか!?」
「えっと、その、違います。初心者講習も受けたくて……」
「――本当ですかっ!! よしっ! ミレイさーんッ!!」
なぜかガッツポーズを決めた受付の女性は、バックヤードを振り返り人を呼んだ。一人の若い、しかもすごい美人がやってくる。
「この子が冒険者登録と、初心者講習を受けたいって!」
「ええ!? ……こんなかわいい子が冒険者??」
「そんなことより、『初心者講習』ですよ! うちの支部の第一号さんがやってきたんですよぉ!!」
おお、なんかすごくテンション上がってるな。しかし、”第一号”なのか、おれ?
「ルーシュ、落ち着いて。失礼しました、それでは初心者講習の説明もありますので、こちらのブースへどうぞ」
0
あなたにおすすめの小説
貞操逆転世界に転生したのに…男女比一対一って…
美鈴
ファンタジー
俺は隼 豊和(はやぶさ とよかず)。年齢は15歳。今年から高校生になるんだけど、何を隠そう俺には前世の記憶があるんだ。前世の記憶があるということは亡くなって生まれ変わったという事なんだろうけど、生まれ変わった世界はなんと貞操逆転世界だった。これはモテると喜んだのも束の間…その世界の男女比の差は全く無く、男性が優遇される世界ではなかった…寧ろ…。とにかく他にも色々とおかしい、そんな世界で俺にどうしろと!?また誰とも付き合えないのかっ!?そんなお話です…。
※カクヨム様にも投稿しております。内容は異なります。
※イラストはAI生成です
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
ヤンデレ美少女転校生と共に体育倉庫に閉じ込められ、大問題になりましたが『結婚しています!』で乗り切った嘘のような本当の話
桜井正宗
青春
――結婚しています!
それは二人だけの秘密。
高校二年の遙と遥は結婚した。
近年法律が変わり、高校生(十六歳)からでも結婚できるようになっていた。だから、問題はなかった。
キッカケは、体育倉庫に閉じ込められた事件から始まった。校長先生に問い詰められ、とっさに誤魔化した。二人は退学の危機を乗り越える為に本当に結婚することにした。
ワケありヤンデレ美少女転校生の『小桜 遥』と”新婚生活”を開始する――。
*結婚要素あり
*ヤンデレ要素あり
この世界、貞操が逆で男女比1対100!?〜文哉の転生学園性活〜
妄想屋さん
SF
気がつけば、そこは“男女の常識”がひっくり返った世界だった。
男は極端に希少で守られる存在、女は戦い、競い、恋を挑む時代。
現代日本で命を落とした青年・文哉は、最先端の学園都市《ノア・クロス》に転生する。
そこでは「バイオギア」と呼ばれる強化装甲を纏う少女たちが、日々鍛錬に明け暮れていた。
しかし、ただの転生では終わらなかった――
彼は“男でありながらバイオギアに適合する”という奇跡的な特性を持っていたのだ。
無自覚に女子の心をかき乱し、甘さと葛藤の狭間で揺れる日々。
護衛科トップの快活系ヒロイン・桜葉梨羽、内向的で絵を描く少女・柊真帆、
毒気を纏った闇の装甲をまとう守護者・海里しずく……
個性的な少女たちとのイチャイチャ・バトル・三角関係は、次第に“恋と戦い”の渦へと深まっていく。
――これは、“守られるはずだった少年”が、“守る覚悟”を知るまでの物語。
そして、少女たちは彼の隣で、“本当の強さ”と“愛し方”を知ってゆく。
「誰かのために戦うって、こういうことなんだな……」
恋も戦場も、手加減なんてしてられない。
逆転世界ラブコメ×ハーレム×SFバトル群像劇、開幕。
旧校舎の地下室
守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。
転生?したら男女逆転世界
美鈴
ファンタジー
階段から落ちたら見知らぬ場所にいた僕。名前は覚えてるけど名字は分からない。年齢は多分15歳だと思うけど…。えっ…男性警護官!?って、何?男性が少ないって!?男性が襲われる危険がある!?そんな事言われても…。えっ…君が助けてくれるの?じゃあお願いします!って感じで始まっていく物語…。
※カクヨム様にも掲載しております
高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜
水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。
その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。
危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。
彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。
初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。
そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。
警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。
これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる