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第1章 転魂流転~ルーベリス~
第14話 総合調整自由組合員証票(冒険者カード)
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心を落ち着けて、『誓約の魔紙』に魔素を流す。仮にも【異空間魔法】を使えるんだ、何となくやり方はわかる、はず……よし、うまくいった!
”水聖の川”で『魔素調整力』が爆上がりしてから、魔素の扱いも俄然、うまくなった気がする。
誓約の魔紙で一部、淡く光った個所があった。内心「うわっ」と焦ったが、〈出身地〉の箇所だった。
「これは仕方ないですね。ユキアさんの認識では出身地は『山の村』ですから。まったく問題ありませんよ。それにしても……本当に男性なんですね……」
ミレイさんは用紙の〈性別〉の箇所をマジマジと見ている。
「えっ……??」
「い、いえ! それでは、『総合調整自由組合員証票』、通称『冒険者カード』を発行してまいりますね、しばらくお待ちください」
ミレイさんは柔らかい笑みを残して席を立った。美人、優しい、しごでき。そんな人がここまで丁寧に優しく接してくれると……完全に俺の偏見だが、調子に乗ってる冒険者に勘違いとかされないだろうか? 「コイツ、完全に俺に気があるよなぁ~」なんて思われて、付きまとわれたりしないだろうか?? ちょっと心配になってくる。
しばらくしてミレイさんが戻ってきた。黒い金属製の名刺サイズのカードを渡された。
「それではユキアさん、こちらのカードに再度、魔素を流し込んでください」
黒い金属製のカードに、再度、魔素を流し込む。先ほどの『誓約の魔紙』より、かなり抵抗を感じたが、何とか魔素はカードに流れていった。すると、俺の名前、年齢、職(空欄)、そして”Fランク”の文字が浮かび上がる。
「うおっ!」と俺が素で驚いていると、ミレイさんは一瞬、俺以上に驚愕の表情を浮かべた。だがそれもほんの一瞬で、また優し気な笑みを浮かべながら、説明してくれた。
「それは『黒色魔鉄鉱石』、いわゆる”黒魔鉄”から作られております。F、Eランクは黒魔鉄ですが、それ以降はランクが上がるごとに色が変わっていきます。簡単に言えば、赤、青、紫、緑といった感じです。〈五光神色〉になぞらえて作られています。再発行は金貨2枚がかかりますので、失くさないように気を付けてくださいね」
五光神色……?? さらっと出てきたワード、知らないと非常識なやつだろうか? 尋ねるかどうか迷っていると、おずおず、といった感じでミレイさんが差し出してきたものがあった。首から下げる、ネックストラップ、IDカードホルダーのようなものだ。
「あの……私が昔使っていたもので恐縮ですが、よかったら使ってください。冒険者カード、失くされる方が多いので」
淡い緑色の鞣した皮で作られた、カード入れだ。肌触りも良く、ちょっと高級感もある。服の内側に入れても問題なさそうだ。
「あの……いいんですか? すごく高いものでは……??」
「いえ、そんなことはありませんよ! 私の手作りですから、全く価値なんてありません。趣味でこういうの作るの好きなんです。ですから気にせずお使いください、邪魔でなければですが」
少し恥ずかしそうに微笑むミレイさん。大丈夫だろうか、変な男に付きまとわれたりしてないだろうか?? 男は基本バカなんですよ、優しくされると、ましてや手作りの物をもらうなんて、すぐ勘違いしちゃうんですよ!
「ありがとうございます。大事に使わせていただきます」
それからミレイさんは冒険者の”いろは”を教えてくれた。依頼の種類、買取の方法、仲間集めの方法など。
「ユキアさんはソロでやっていくおつもりですか? それともパーティ—メンバーをこれから探す予定ですか?」
「少なくとも当面はソロでやっていこうかと思ってます」
いまだ、こちらのことがよくわかっていない段階で人とつるむのは、正直怖い。俺のこのスキルが一般的なものか分からないし。いや、決して人見知りが発動したわけではない。
それに、正直『身分証』と『情報』欲しさに冒険者ギルドに来た部分が大きいし。
「……そうですか、確かに信頼できる仲間集めは、ランクが上がらない限り、相当に難しいことですからね。でもユキアさんがソロというのは、少し不安ですね……」
そうだよなぁ。外見もムキムキマッチョというわけでもなく、むしろ華奢な感じがするし、今なぜか、15歳という少年になってるし。こんな子供が一人でウロチョロしてたら、危なっかしいよな。うーん、だからと言って、仲間に伝手はないし……
「今すぐは無理でしょうが、奴隷の購入も視野に入れて活動した方がいいかもしれません」
「ど、奴隷ですか!?」
「え? ええ。 さすがに戦闘奴隷は買えないでしょうから、まずは『荷物持ち』役の『職なし健常奴隷』を。いるといないのでは雲泥の差ですよ」
ま、まじか……こんな優し気な美人から、奴隷購入を勧められるとは……この世界での人権感覚はやはり以前の世界とは全く違うのだろうな。
「そ、その……一般的なんですか? 冒険者が奴隷を購入するの?」
「だいたい3割くらいでしょうか。特に『職持ち冒険者』であれば、他の冒険者とパーティーを組むより、利益を独占できるメリットがありますから。もちろん、奴隷扶養の義務はありますが、それでも複数の冒険者と利益を配分するより、はるかに利益が増えます。そして何より、しっかりと隷属契約を結べば、ほぼ裏切りはありません」
「……でも、それは『職持ち』の稼げる冒険者ならですよね。俺は『職』ありませんし、稼げるかどうかも全く分からないから」
「確かにユキアさんは『職』はお持ちではなさそうですが……」
そう言って、かわいく首を傾げたミレイさんだが、一瞬、ゾクッとするほどの妖艶な笑み浮かべた……様な気がした。気のせいか……??
「……大丈夫です。私が陰ながら全力でサポートしますので。ユキアさんなら講習も真摯に取り組んでくれそうですし、私もそういった方の力になりたいのです。それにこちらの都合もありますから、あはは」
今度は、最初の印象通りの優しい笑み。やっぱり気のせいだったかな。
「なるほど、俺が『初心者講習』を受けて、早く一人前になれば、講習の有用性を少しは広められますかね? でも、ミレイさんの期待にこたえられるかどうか」
「大丈夫です! ユキアさんは大丈夫ですよ。 私が保証します!」
「あ、ありがとう、ございます……」
”水聖の川”で『魔素調整力』が爆上がりしてから、魔素の扱いも俄然、うまくなった気がする。
誓約の魔紙で一部、淡く光った個所があった。内心「うわっ」と焦ったが、〈出身地〉の箇所だった。
「これは仕方ないですね。ユキアさんの認識では出身地は『山の村』ですから。まったく問題ありませんよ。それにしても……本当に男性なんですね……」
ミレイさんは用紙の〈性別〉の箇所をマジマジと見ている。
「えっ……??」
「い、いえ! それでは、『総合調整自由組合員証票』、通称『冒険者カード』を発行してまいりますね、しばらくお待ちください」
ミレイさんは柔らかい笑みを残して席を立った。美人、優しい、しごでき。そんな人がここまで丁寧に優しく接してくれると……完全に俺の偏見だが、調子に乗ってる冒険者に勘違いとかされないだろうか? 「コイツ、完全に俺に気があるよなぁ~」なんて思われて、付きまとわれたりしないだろうか?? ちょっと心配になってくる。
しばらくしてミレイさんが戻ってきた。黒い金属製の名刺サイズのカードを渡された。
「それではユキアさん、こちらのカードに再度、魔素を流し込んでください」
黒い金属製のカードに、再度、魔素を流し込む。先ほどの『誓約の魔紙』より、かなり抵抗を感じたが、何とか魔素はカードに流れていった。すると、俺の名前、年齢、職(空欄)、そして”Fランク”の文字が浮かび上がる。
「うおっ!」と俺が素で驚いていると、ミレイさんは一瞬、俺以上に驚愕の表情を浮かべた。だがそれもほんの一瞬で、また優し気な笑みを浮かべながら、説明してくれた。
「それは『黒色魔鉄鉱石』、いわゆる”黒魔鉄”から作られております。F、Eランクは黒魔鉄ですが、それ以降はランクが上がるごとに色が変わっていきます。簡単に言えば、赤、青、紫、緑といった感じです。〈五光神色〉になぞらえて作られています。再発行は金貨2枚がかかりますので、失くさないように気を付けてくださいね」
五光神色……?? さらっと出てきたワード、知らないと非常識なやつだろうか? 尋ねるかどうか迷っていると、おずおず、といった感じでミレイさんが差し出してきたものがあった。首から下げる、ネックストラップ、IDカードホルダーのようなものだ。
「あの……私が昔使っていたもので恐縮ですが、よかったら使ってください。冒険者カード、失くされる方が多いので」
淡い緑色の鞣した皮で作られた、カード入れだ。肌触りも良く、ちょっと高級感もある。服の内側に入れても問題なさそうだ。
「あの……いいんですか? すごく高いものでは……??」
「いえ、そんなことはありませんよ! 私の手作りですから、全く価値なんてありません。趣味でこういうの作るの好きなんです。ですから気にせずお使いください、邪魔でなければですが」
少し恥ずかしそうに微笑むミレイさん。大丈夫だろうか、変な男に付きまとわれたりしてないだろうか?? 男は基本バカなんですよ、優しくされると、ましてや手作りの物をもらうなんて、すぐ勘違いしちゃうんですよ!
「ありがとうございます。大事に使わせていただきます」
それからミレイさんは冒険者の”いろは”を教えてくれた。依頼の種類、買取の方法、仲間集めの方法など。
「ユキアさんはソロでやっていくおつもりですか? それともパーティ—メンバーをこれから探す予定ですか?」
「少なくとも当面はソロでやっていこうかと思ってます」
いまだ、こちらのことがよくわかっていない段階で人とつるむのは、正直怖い。俺のこのスキルが一般的なものか分からないし。いや、決して人見知りが発動したわけではない。
それに、正直『身分証』と『情報』欲しさに冒険者ギルドに来た部分が大きいし。
「……そうですか、確かに信頼できる仲間集めは、ランクが上がらない限り、相当に難しいことですからね。でもユキアさんがソロというのは、少し不安ですね……」
そうだよなぁ。外見もムキムキマッチョというわけでもなく、むしろ華奢な感じがするし、今なぜか、15歳という少年になってるし。こんな子供が一人でウロチョロしてたら、危なっかしいよな。うーん、だからと言って、仲間に伝手はないし……
「今すぐは無理でしょうが、奴隷の購入も視野に入れて活動した方がいいかもしれません」
「ど、奴隷ですか!?」
「え? ええ。 さすがに戦闘奴隷は買えないでしょうから、まずは『荷物持ち』役の『職なし健常奴隷』を。いるといないのでは雲泥の差ですよ」
ま、まじか……こんな優し気な美人から、奴隷購入を勧められるとは……この世界での人権感覚はやはり以前の世界とは全く違うのだろうな。
「そ、その……一般的なんですか? 冒険者が奴隷を購入するの?」
「だいたい3割くらいでしょうか。特に『職持ち冒険者』であれば、他の冒険者とパーティーを組むより、利益を独占できるメリットがありますから。もちろん、奴隷扶養の義務はありますが、それでも複数の冒険者と利益を配分するより、はるかに利益が増えます。そして何より、しっかりと隷属契約を結べば、ほぼ裏切りはありません」
「……でも、それは『職持ち』の稼げる冒険者ならですよね。俺は『職』ありませんし、稼げるかどうかも全く分からないから」
「確かにユキアさんは『職』はお持ちではなさそうですが……」
そう言って、かわいく首を傾げたミレイさんだが、一瞬、ゾクッとするほどの妖艶な笑み浮かべた……様な気がした。気のせいか……??
「……大丈夫です。私が陰ながら全力でサポートしますので。ユキアさんなら講習も真摯に取り組んでくれそうですし、私もそういった方の力になりたいのです。それにこちらの都合もありますから、あはは」
今度は、最初の印象通りの優しい笑み。やっぱり気のせいだったかな。
「なるほど、俺が『初心者講習』を受けて、早く一人前になれば、講習の有用性を少しは広められますかね? でも、ミレイさんの期待にこたえられるかどうか」
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