再生の賢者 ~スキルポイント目当てで低級奴隷を漁っていたら、再生の賢者と呼ばれるハメに~

鄭 和食

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第1章 転魂流転~ルーベリス~

第16話 迷宮ルーベリス

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 ……で、だ。
 このルーベリスという街について、”不夜城”や”歓楽街”などといったワードが聞かれる。いわゆる”夜の街”が重要な産業なのだろう。門番のカルマルさんにも、そっちの志望者だと間違われたし……なぜ!?
 だが、それ以上に俺のファンタジーセンサーが反応したワード……”迷宮都市”

「あの、このルーベリスには迷宮があるんですか??」

「……えっ! それ目的でここに来たんじゃないんですか!?」

 し、しまった! ミレイさんとのやり取りに慣れてきて、気が抜けていた。もっと婉曲に聞くんだった。

「えーっと、す、すみません不勉強で。とにかく、大きな街に行こうって……」

『……不思議な子…頭の回転も速い、会話のやり取りからも知的水準の高さがうかがえる。なのに、こんな一般的な常識がない……』

 ミレイさんが表情を消して俺を見ている。ヤバい、さすがに不審がられたか……と思っていたら、

『いやぁ~ん、もう!! そんな無計画で無鉄砲なんて、ギャップが!! 私が導いてあげなきゃいけないじゃな~い!! ユッくーん!!!』

 急に悶絶し始めた……

「あ、あの。ミレイさん……」

「……はっ! っごっふぇん! ……え、ええ。この街には『回廊迷宮ルーベリス』がありますよ」

 回廊……?? とはよくわからないが、迷宮って、あの迷宮だよね!?

「迷宮ってダンジョンのことですよね!? 魔物がわんさか出てくる!」

「だ、だん、じょん……? というのが何かは分かりませんが、迷宮内には魔物がおり、それを倒して『魔晶石』を持ち帰るのが、主に冒険者の生業となっておりますよ」

 ダンジョンとは言わないのか。そして、『魔晶石』……

「その魔晶石をギルドで買い取ってもらうんですよね。ちなみに迷宮内の魔物は倒したら、その、消えたりするんですか? そして、魔晶石以外にも何か落としたりしないんですか?」

 ここまで来たら、無知をさらけ出しに聞きまくる。ちなみに、森で倒した魔物は消えず、死骸は放置してきた。

「ええ、迷宮内の魔物は倒せば消えて、魔晶石が残ります。稀に武具や道具なども落とすことがありますが、これは魔物が以前殺した冒険者の遺品を取り込んだものと推測されています。迷宮内の魔物は魔晶石を核とした魔素による疑似生命体と考えられていますから」

 ドロップアイテムの有りか、よし。俺のファンタジーリテラシーとある程度合致する。子供のころからRPGにハマっていてよかった、こんなところで役に立つとはね。

 だが…………あまりに次元軸が、世界の構成要件が違うのに、共通する知識ってなんだ……前の世界で物語として語られるような世界。人の想像力は次元軸も超えるのか……?

——人の想像の源泉は経験だ。だから、偶然ならこれを活かさないと……

 ……えっ!? 今のは……

「……キアさん、ユキアさん!!」

「うわっ!」

 いつの間にかミレイさんの美しい顔が、どアップだ。嬉しいけどびっくりした。

「どうしたんですか? 急にボーっといて。ユキアさんがそんな人前で油断してたら、いつの間にかかどわかされてますよ!」

 いや、怖いわっ! そんな治安悪いんかい!

「迷宮のことが気になるみたいですけど、先に申し上げておきますが、迷宮ルーベリスに入れるのはCランク以上の冒険者からですよ」

「えっ! えぇー! そうなんですか……?」

「ええ、ルーベリスはギルド本部が管轄する”回廊迷宮”ですから」

…………つながる……??

「ですので、ユキアさんの様なFランクからDランクまでの冒険者は、近郊の『ルーベの森』か『ディック平原』で魔獣狩りや依頼クエストをこなすことが主ですね」

「そ、そうなんですね……」

 えーっと、他に何を聞くんだったけ??

「それでは、その他は明日以降の講習で詳しくご説明します。もう日が傾いてきましたので、先に宿をとられた方がいいでしょう。私も一緒に参りますので、ロビーでお待ちください、少し準備してまいります」
                   
「え? ミレイさんも一緒に来てくれるんですか??」

「ええ、私が直接行って宿のおかみさんと話をつけますので」

「あ、あの、とてもありがたいんですけど……なぜ、そこまで親切にしてくれるんですか……?? いくら『初心者講習』受けるっていっても……」

 ミレイさんは、いかにも”うふふっ”という感じで、少し誇らしげに微笑んだ。そして机に肘をつき前のめりに俺に近づく。い、いや、胸チラ、が……

「”先行投資”ですよ」

「……先行投資??」

「はい。だから……」

 ミレイさんはその魅惑的な唇を小さく開けると、自分の人差し指をくわえた。

「……”つば”、つけとこうかなーって」

 加えた人差し指を俺の唇に軽くあてた。

 ——はうっ!!

「それでは準備してまいりますね!」

 軽やかな足取りで、ミレイさんはカウンターの奥に消えた。

 俺はしばらく椅子から立てなかった。だって、今の俺の身体は、中3男子……さっしてくれ。
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