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08 婿養子候補達
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私はライル・リプトン。
バルド・ノウルの分家に次男として生を受けた。
貴族社会では家督を継ぐのは後継ぎの長男だけなので、次男以降は長男に万が一の事があった時の【予備】でしかない。
長男以外は、貴族として生を受けても、その地位を息子に残してやれない。
社会的には、貴族が増えすぎない様な処置だそうだ。
どんな富と栄誉も、分散し続ければ平民と変わらなくなるからだと教わった。
次男は長男と、その後継者を補佐して、平民へと堕ちていく宿命だ。
どんなに才能があっても努力しても、成果をあげても、長男に失態さえなければ覆らない運命。
そんな当家の長男は無能だ。いや、失態を恐れて何もしないのは保身としては有能なのかも知れない。
それ故に、この家では私に貴族としての未来は来ないのだ。
頭では分かっていても、その貧乏クジが自分に回ってくると心がざわつく。
その差が大きいのであれば諦めもつくが、差が小さいほど諦めがつかないものだ。
何度、長男の暗殺計画を考えた事か・・・
だが、成人を迎えた直後に転機が訪れた。
貴族派閥の長であるバルドが婿養子を求めていると言う。
容姿には自信がある。頭髪も金髪で、幼い時から兄を補佐する為に統治の学習と運営にも携わってきた。
追い越そうと、幾つかの実績も積み上げている。
年齢差は五歳と許容範囲内だ。
運もあってか、十数人の候補を押し退けて、最終候補の御嬢様側仕えとして、バルド邸に住み込む事になった。
あの無能な兄を、私を道具とてしか見ない父上を見返し、顎で使う地位が目の前にある。
「このチャンスを逃すものか!」
当主のフェラルド・バルドは、一人娘であるエリーシアに激甘だった。
普通は父親が娘の配偶者を決めるものだが、この家ではエリーシアが気に入った者が婿になるだろう。
もう一人の婿養子候補と共に男性の中ではエリーシアに会う機会は多いが、相手が病弱な女性で寝込む事が多い為に、なかなか親密な関係にはなれない。
「趣味は何だ?好きな食べ物は?何に興味がある?嫌いなタイプの人間は?誰と親しい?」
「御嬢様は無口なので、全く好き嫌いとかは口になさいません」
「本当に使えない使用人だな!」
「お役に立てず、申し訳ありません」
端で見ていても、確かに黙々と勉強や稽古事をやっているのだから、これ以上責めることもできない。
執拗な追求は、エリーシア様に告げ口されて評価が落ちかねない。
◆◆◆◆◆
俺、ファイアットはサイラス家の三男だ。
ある意味で【幸運な男】なのかも知れない。
貴族の三男。違うな、三男以降は婿養子の口が無ければ即座に平民落ち確定だ。
そもそも、日頃の生活も裕福な平民と大差無い。
やがて強制される独立話の為に、成人前から商人と付き合いだして幾つかの領内事業を成功に導いた。
一応は貴族である事の権限を振るって、暴利を貪ってきた大棚商会を使わなかっただけだが、その結果が父上に気に入られたのだ。
最終的には、御用商人だった商会の癒着や汚職、非合法行為を摘発して、領地に多大な利益をもたらした。
だが、これだけの功績をあげても平民落ちは変わらない。
俺自身が新たな商会の代表として担ぎ上げられそうなだけだ。
ともあれ、当初の目的であった独立準備が整ったと思っていたら、とんでもない話が舞い込んできた。
「俺がバルド様へ婿養子ですか?」
「お前は母親譲りの見事な金髪と容姿を持っている。領地内での貢献もある。それに、これが成れば望んでいた貴族社会に戻れるのだぞ?」
貴族の生活に憧れていないと言えば、嘘になるだろう。
父上達の優雅な生活を見せられてきたのだから。
だが、父上としては俺の将来よりも、バルドとの血縁と権威を欲したのだろう。
いろいろと手を回していたのを俺は知っている。
俺としては、今まで育ててくれたサイラス家の役に立つのも吝かではない。
「婿養子になれれば実家に恩返しもできる。例え婿養子になれなくても、バルドや一族と顔見知りになれたから、商会開く時に役に立つだろう」
最終的にエリーシア御嬢様の婿養子候補になって、側仕えとして働いているのは幸運なのか不幸なのか?
それは、まだ分からない。
◆◆◆◆◆
私、ルーク・セドランは、侍従長ダニエル・セドランの孫で、現当主であるフェラルド様からすれば従兄弟の子供である従甥と言う立場だ。
血縁ではあるが、地位は平民扱いで【使用人】より下位の【下僕】となる。
祖父の縁故でバルド邸にて働いているが、血縁的にはエリーシア御嬢様の婿に最適な人間だと思っている。
だが、貴族社会は階級社会。
血縁が近く、生まれた時から見守ってきた私よりも、遠縁で御嬢様を知りもしない奴等が【婿養子候補】となっているのが腹立たしい。
ライルは野心丸出しだし、ファイアットは逆にやる気がない。
王族なら兎も角、こんな奴等に我々の未来を。いや、エリーシア御嬢様を任すわけにはいかない。
「お祖父様の名を使っても、あの二人を邪魔して、もっと良い御相手を探さなくては」
他の側仕えや護衛、使用人や下僕の中にも、あの二人に不満を持つものは居るようだ。
「ルークさんは多分、誰が御相手でも納得はしないでしょうね」
「何を仰有るのですかシンシアさん。そんな事はないですよ。例えば・・・・」
「例えば?」
「・・・・・・・取りあえず【あの二人】では駄目です」
「まぁ、そこは同意しますけどね」
このシンシアと言うメイドは、最近入った新入りで、一応は貴族の子女らしいが、行儀作法や教育を受けてこなかったらしい。
平民の私にも地位の格差を示さず対応して下さるのは嬉しいが、大丈夫だろうか?
◆◆◆◆◆
リアリント王国上級貴族に生まれた私は、リゼート領のパーシェル・リゼート。
父はソライト・クス・リゼートだ。
バルド・ノウル派閥の最大クスの一つである我が家は、農業生産量の減った周辺領地に食料を融通したり、自領の農業や商業を支援したりして、栄えている。
「自分や目先の事ばかりを考えていては駄目だ。次世代や子孫の事を考えて行動しなければ」
こう言って父上は、およそ十年前から行動を改めた。
「お前を、次のバルドにする為にも、もっと稼がなくては」
貴族の根回しには金が掛かる。
フェラルド公には未だ御子息が生まれたという話は無い。
父上は、フェラルド・バルド・ノウル様の御息女と私を結婚させるつもりなのだろう。
かなりの金が、領の内外で動いているらしい。
「しかし父上。エリーシア様は未だ十歳と聞きます。25歳の私には幼すぎませんか?」
「そんな歳の差など気にする事はない。お前は、将来の為に領地運営を学んでおれば良いのだ」
確かに貴族では、孫ほど歳の離れた側室や後妻をもらう事も希ではない。
それに、全てはエリーシア様の成人後の話なのだ。
今は父上の仰有る通りにするだけだ。
◆◆◆◆◆
「で、御嬢様はライルとファイアットのどちらがお好みなんですか?」
就寝の前に、メイド長のマリアナはエリーシア訪ねた。
「どちらも、我が家にとって利益になるとは思えないし、これと言って心引かれるものもないのよねぇ」
近くで側仕えとして居ると、配下の様な扱いになるので、兄弟姉妹の様に恋愛感情の対象にはなりにくくなる。
ましてや、貴族の義務として婚姻を教育されてきた者には、淡い恋心など邪魔なものとして認識されており、利益のある結び付きが【婚姻】という認識しかない。
「そうなると、他の分家から選び直さなくてはなりませんが?」
「でも、御父様の選んだ中では、この二人が最優秀なのでしょ?」
エリーシア自身に、貴族としての教育と、人並み以上の家督意識が無ければ。
または、病弱な振りをせずに、婿養子候補や他の男性と接する機会がもっとあれば、多くの選択肢があったのかも知れない。
「いっそのこと、王族とかで居ないかしら?」
「それは難しゅうございますね。現在の王子様は御三人様で、それぞれ婚約が決められているとの御話です」
「そうらしいわね」
他のバルド三家に比べて、エリーシアの居る現在のバルド・ノウルは、財力も発言力も弱い家柄だったのだ。
王子が産まれた直後に、他のバルドは勢力的に婚姻話を進めていた。
「王子が、もっと何人も居れば一人くらい何とかなるでしょうに。世の中は思い通りにはいかないものね」
「・・・・・・」
実質は、エリーシアが選り好みをしなければ、分家の二人もソコソコの相手ではあるのだけれど。
バルド・ノウルの分家に次男として生を受けた。
貴族社会では家督を継ぐのは後継ぎの長男だけなので、次男以降は長男に万が一の事があった時の【予備】でしかない。
長男以外は、貴族として生を受けても、その地位を息子に残してやれない。
社会的には、貴族が増えすぎない様な処置だそうだ。
どんな富と栄誉も、分散し続ければ平民と変わらなくなるからだと教わった。
次男は長男と、その後継者を補佐して、平民へと堕ちていく宿命だ。
どんなに才能があっても努力しても、成果をあげても、長男に失態さえなければ覆らない運命。
そんな当家の長男は無能だ。いや、失態を恐れて何もしないのは保身としては有能なのかも知れない。
それ故に、この家では私に貴族としての未来は来ないのだ。
頭では分かっていても、その貧乏クジが自分に回ってくると心がざわつく。
その差が大きいのであれば諦めもつくが、差が小さいほど諦めがつかないものだ。
何度、長男の暗殺計画を考えた事か・・・
だが、成人を迎えた直後に転機が訪れた。
貴族派閥の長であるバルドが婿養子を求めていると言う。
容姿には自信がある。頭髪も金髪で、幼い時から兄を補佐する為に統治の学習と運営にも携わってきた。
追い越そうと、幾つかの実績も積み上げている。
年齢差は五歳と許容範囲内だ。
運もあってか、十数人の候補を押し退けて、最終候補の御嬢様側仕えとして、バルド邸に住み込む事になった。
あの無能な兄を、私を道具とてしか見ない父上を見返し、顎で使う地位が目の前にある。
「このチャンスを逃すものか!」
当主のフェラルド・バルドは、一人娘であるエリーシアに激甘だった。
普通は父親が娘の配偶者を決めるものだが、この家ではエリーシアが気に入った者が婿になるだろう。
もう一人の婿養子候補と共に男性の中ではエリーシアに会う機会は多いが、相手が病弱な女性で寝込む事が多い為に、なかなか親密な関係にはなれない。
「趣味は何だ?好きな食べ物は?何に興味がある?嫌いなタイプの人間は?誰と親しい?」
「御嬢様は無口なので、全く好き嫌いとかは口になさいません」
「本当に使えない使用人だな!」
「お役に立てず、申し訳ありません」
端で見ていても、確かに黙々と勉強や稽古事をやっているのだから、これ以上責めることもできない。
執拗な追求は、エリーシア様に告げ口されて評価が落ちかねない。
◆◆◆◆◆
俺、ファイアットはサイラス家の三男だ。
ある意味で【幸運な男】なのかも知れない。
貴族の三男。違うな、三男以降は婿養子の口が無ければ即座に平民落ち確定だ。
そもそも、日頃の生活も裕福な平民と大差無い。
やがて強制される独立話の為に、成人前から商人と付き合いだして幾つかの領内事業を成功に導いた。
一応は貴族である事の権限を振るって、暴利を貪ってきた大棚商会を使わなかっただけだが、その結果が父上に気に入られたのだ。
最終的には、御用商人だった商会の癒着や汚職、非合法行為を摘発して、領地に多大な利益をもたらした。
だが、これだけの功績をあげても平民落ちは変わらない。
俺自身が新たな商会の代表として担ぎ上げられそうなだけだ。
ともあれ、当初の目的であった独立準備が整ったと思っていたら、とんでもない話が舞い込んできた。
「俺がバルド様へ婿養子ですか?」
「お前は母親譲りの見事な金髪と容姿を持っている。領地内での貢献もある。それに、これが成れば望んでいた貴族社会に戻れるのだぞ?」
貴族の生活に憧れていないと言えば、嘘になるだろう。
父上達の優雅な生活を見せられてきたのだから。
だが、父上としては俺の将来よりも、バルドとの血縁と権威を欲したのだろう。
いろいろと手を回していたのを俺は知っている。
俺としては、今まで育ててくれたサイラス家の役に立つのも吝かではない。
「婿養子になれれば実家に恩返しもできる。例え婿養子になれなくても、バルドや一族と顔見知りになれたから、商会開く時に役に立つだろう」
最終的にエリーシア御嬢様の婿養子候補になって、側仕えとして働いているのは幸運なのか不幸なのか?
それは、まだ分からない。
◆◆◆◆◆
私、ルーク・セドランは、侍従長ダニエル・セドランの孫で、現当主であるフェラルド様からすれば従兄弟の子供である従甥と言う立場だ。
血縁ではあるが、地位は平民扱いで【使用人】より下位の【下僕】となる。
祖父の縁故でバルド邸にて働いているが、血縁的にはエリーシア御嬢様の婿に最適な人間だと思っている。
だが、貴族社会は階級社会。
血縁が近く、生まれた時から見守ってきた私よりも、遠縁で御嬢様を知りもしない奴等が【婿養子候補】となっているのが腹立たしい。
ライルは野心丸出しだし、ファイアットは逆にやる気がない。
王族なら兎も角、こんな奴等に我々の未来を。いや、エリーシア御嬢様を任すわけにはいかない。
「お祖父様の名を使っても、あの二人を邪魔して、もっと良い御相手を探さなくては」
他の側仕えや護衛、使用人や下僕の中にも、あの二人に不満を持つものは居るようだ。
「ルークさんは多分、誰が御相手でも納得はしないでしょうね」
「何を仰有るのですかシンシアさん。そんな事はないですよ。例えば・・・・」
「例えば?」
「・・・・・・・取りあえず【あの二人】では駄目です」
「まぁ、そこは同意しますけどね」
このシンシアと言うメイドは、最近入った新入りで、一応は貴族の子女らしいが、行儀作法や教育を受けてこなかったらしい。
平民の私にも地位の格差を示さず対応して下さるのは嬉しいが、大丈夫だろうか?
◆◆◆◆◆
リアリント王国上級貴族に生まれた私は、リゼート領のパーシェル・リゼート。
父はソライト・クス・リゼートだ。
バルド・ノウル派閥の最大クスの一つである我が家は、農業生産量の減った周辺領地に食料を融通したり、自領の農業や商業を支援したりして、栄えている。
「自分や目先の事ばかりを考えていては駄目だ。次世代や子孫の事を考えて行動しなければ」
こう言って父上は、およそ十年前から行動を改めた。
「お前を、次のバルドにする為にも、もっと稼がなくては」
貴族の根回しには金が掛かる。
フェラルド公には未だ御子息が生まれたという話は無い。
父上は、フェラルド・バルド・ノウル様の御息女と私を結婚させるつもりなのだろう。
かなりの金が、領の内外で動いているらしい。
「しかし父上。エリーシア様は未だ十歳と聞きます。25歳の私には幼すぎませんか?」
「そんな歳の差など気にする事はない。お前は、将来の為に領地運営を学んでおれば良いのだ」
確かに貴族では、孫ほど歳の離れた側室や後妻をもらう事も希ではない。
それに、全てはエリーシア様の成人後の話なのだ。
今は父上の仰有る通りにするだけだ。
◆◆◆◆◆
「で、御嬢様はライルとファイアットのどちらがお好みなんですか?」
就寝の前に、メイド長のマリアナはエリーシア訪ねた。
「どちらも、我が家にとって利益になるとは思えないし、これと言って心引かれるものもないのよねぇ」
近くで側仕えとして居ると、配下の様な扱いになるので、兄弟姉妹の様に恋愛感情の対象にはなりにくくなる。
ましてや、貴族の義務として婚姻を教育されてきた者には、淡い恋心など邪魔なものとして認識されており、利益のある結び付きが【婚姻】という認識しかない。
「そうなると、他の分家から選び直さなくてはなりませんが?」
「でも、御父様の選んだ中では、この二人が最優秀なのでしょ?」
エリーシア自身に、貴族としての教育と、人並み以上の家督意識が無ければ。
または、病弱な振りをせずに、婿養子候補や他の男性と接する機会がもっとあれば、多くの選択肢があったのかも知れない。
「いっそのこと、王族とかで居ないかしら?」
「それは難しゅうございますね。現在の王子様は御三人様で、それぞれ婚約が決められているとの御話です」
「そうらしいわね」
他のバルド三家に比べて、エリーシアの居る現在のバルド・ノウルは、財力も発言力も弱い家柄だったのだ。
王子が産まれた直後に、他のバルドは勢力的に婚姻話を進めていた。
「王子が、もっと何人も居れば一人くらい何とかなるでしょうに。世の中は思い通りにはいかないものね」
「・・・・・・」
実質は、エリーシアが選り好みをしなければ、分家の二人もソコソコの相手ではあるのだけれど。
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