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11 奴隷市場でお買い物
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前回の娼館訪問から、あまり日を空けずに奴隷市場には行くことができた。
今回エリーシアは、暗殺ギルドだけではなく、正規の護衛と側仕えを同伴している。
バルドでも、とある都合で奴隷を購入する事があり、出入りが無いわけではなかったからだ。
「今日の外出には、ファイアットが一緒なのね?」
「はい。奴隷市場なら公的な【領内の視察】としても成り立ちますし、ファイアットは相場や商業にも明るいと聞いたのでお役に立てると存じます」
エリーシアが馬車に同乗したマリアナから詳細を聞いていた。
婿養子候補とは言え、未婚の男女が同じ馬車に乗り込むのは芳しく無いために、別の馬車に彼は乗っている。
実際、仮病とはいえ久々に歩く最近の外出は、運動不足のエリーシアには良いリハビリになっていた。
筋肉が付きすぎるのも不味いが、いくら【病弱だった】とは言え、社交界デビューで息切れや倒れるのはバルドの評価にも影響する。
今回はシンシアに連絡をとってもらって、乗り換え馬車は手配していない。
ただ、暗殺ギルドのガズズには奴隷商に話をつけてもらって、融通をきかしてもらっている。
表向きは、エリーシア達バルドは案内人が暗殺ギルドだとは知らない事になっており、事実としてファイアットを含む大半の側仕えと使用人は知らされていない。
下僕の一人が、偶然見付けてきた案内人と言う事になっている。
だが、その様な案内人は客観的には信用がならないので、正規の側仕えと護衛が同行する事になったのだ。
「これが、領地で最底辺の者達かえ?」
「へいっ。は、はい。左様でごじゃいます」
店の支配人が直々に出迎えて答えた。
豪華なコートにフードとマスク。
一応は【高貴な御方の社会勉強】と聞いているが、馬車に刻まれた紋章を見れば、この御嬢様の立場は一目了然と言えた。
「当家にも【奴隷】は居るのじゃったな?見たことは無いが」
「当家に居る奴隷は【犯罪奴隷】が主でございますので、御嬢様に近付ける訳にはまいりませぬ」
奴隷には、娼婦同様に人買いを経由して売られた者や違法に領内に侵入した異邦人などの他に、死刑囚である【犯罪奴隷】も含まれる。
他の奴隷が金額で誰でも買えるのに対して、犯罪奴隷を買えるのは貴族に限られるのだ。
その主な目的は、人を殺した事の無い新米兵士や護衛に人殺しを経験させる為などだ。
【兵士】や【護衛】は、命令や必要に応じて他者を殺さねばならない時がある。
疫病が蔓延した村を、被害の拡散を避けるために処分したりするのも【兵士】の役目なので、無実の者や女子供も殺せる様にならないと兵士としては失格なのだ。
それ故に、練習の為に兵士に殺させる奴隷は【犯罪奴隷】だけではない。
そんな悲惨な者を御嬢様に見せる訳にはいかないのだ。
支配人に通されたホールの作りは明るい娼館といった感じで、違うのは鉄格子と中に全裸で大の字に固定された男女だった。
その身体は洗われ、髭や髪の毛は綺麗に整えられている。
容姿や肉体的にも美しく、健康美に溢れていた。
「ここは臭くないのじゃな?」
「はへっ?」
「いや、奴隷と言えば臭くて醜いイメージを持っていたのでな」
本当は前回の娼館での、お香のイメージが彼女には残っていたのだ。
「そうでしゅたか。この部屋は鑑賞用や愛玩用、娼婦などに相応しい奴隷を取り揃えておりましゅので」
支配人の説明に、マリアナがハンカチで口元を押さえて眉間に皺を寄せた。
「この様な所は、御嬢様に相応しくないかと」
その視線は全裸の男性へと向けられていた。
しかし、当のエリーシアは、あっけらかんとしていた。
「男の全裸など、全ての母となる者が通る道であろう?怯えては貴族の女は務まらんじゃろう」
「確かにそうでございますが、まだ早くはございませんか?」
娼館で男女の全裸の先まで見たエリーシアは、顔を赤らめる事すらせずに周りを見回した。
「しかし、相応しく無いのは確かじゃな。妾は【最底辺の者達】が見たいのじゃ。臭い物に蓋をしたままでは上に立つものとしては視野が狭くなるのでな」
エリーシアの要求に支配人がガズズの顔色を伺い、彼の頷きを見て項垂れる。
その傍らで、エリーシアの配下達は別の表情を見せていた。
「すばらしい。そう思いませんかマリアナ様」
「確かに御立派な事ですが・・」
確かに、この奴隷達ですら【最底辺】では無い。
エリーシアの意気込みは、為政者としては立派だが、まだ幼い彼女には見せたくないと言うのがメイド長マリアナの気持ちだ。
「(エリーシア様は、年齢にサバをよんでないか?確かに御体は十歳のソレだが)」
同行したファイアットが、そう思ったのは無理もない。
「(これが本家の、後継ぎの教育というものなのか?)」
三男である彼は、後継ぎである長男と共に教育は受けれない。
次男は補佐の為に同等の教育をうけられるが、三男がその教育を受けれるのは長男に何かがあった後になるのだ。
主の成長に感動する者、精神面を心配する者。将来の妻になるかも知れない相手に驚愕する者達を引き連れて、エリーシアは地下への階段を降りていった。
「ここはまた、特種じゃな」
「病人はおりましぇんが、あまり近付きましぇん様に」
支配人に案内された地下室はジメジメしており、カビと腐敗臭が漂った暗い場所だった。
中型動物用の小さな檻に、薄汚れた衣服や毛布にくるまった人間らしき者がうずくまっている。
「この奴隷達は、どういった者達なのじゃ?」
「【欠損奴隷】と申ひまして、労働力にもならない手足の欠けたり、精神に問題のある者達でございましゅ。犯罪奴隷ではありませんが、主に騎士様方の訓練用に需要がごじゃります」
この支配人自体も身体に傷があり、顔が少し歪んでいる。
「こやつ等と少し話をしたいのじゃが、良いかのう?」
「そりぇは、ちょっと・・・」
支配人は難色を示している。
「ファイアット」
「はいっ、御嬢様」
「今期の新兵は何人程じゃ?」
「確か十人程かと」
「では、訓練用の奴隷は二十人くらいは必要じゃな?」
「おっしゃる通りでございます」
実際にはストックされている奴隷もいるので、そこまでの数は必要ない。
だが、ファイアットは空気を読める男だったので、エリーシアの意図を汲んだのだ。
今のところ国内外での戦争は無いが、山賊の討伐などでバルドの私兵に死傷者が出ている。
更には高齢で退職する者も居るので、毎年新規の兵士補充が必要となる。
そして新兵には【殺し】の訓練が必要となる。
「では、犯罪奴隷と欠損奴隷を十人づつ買い上げようかのう。支配人よ、品定めしてもよいかのぉ?」
「二十人でごじゃいますか?それはもちろんでごじゃいます」
殺傷用の犯罪奴隷と欠損奴隷は、購入者が限られる上に高値での取引ができないが、維持費はそれなりにかかる。
その割りに次々と増えていき、二束三文でも奴隷商に売り付けていく者があとを絶たない。
支配人としてはソレを大量購入し、その為の品定めとなれば断る理由が無いのだ。
エリーシアは、欠損奴隷を幾人か見て回り、失った腕の包帯がまだ赤い少女に目をつけた。
「お前は、何故ここに居る?」
「・・・山菜取ってたら・・・山賊に拐われて、逃げようとしたら斬りつけられて・・・」
「人拐いかえ?」
このエリーシアと少女の会話に支配人が割って入った。
「御客様、奴隷の言うことをマトモに信じちゃいけましぇんですだ。コイツ等は逃げ帰る為にゃ平気で嘘つきましゅですから」
「そうじゃな。お前等も金を払ったのだしな」
例え少女の言う話が本当でも、奴隷商人の損失を誰が保証するのか?真実の調査を誰が行うのかなどの問題がある。
現実的には、事故などで腕を失い労働力として使えなくなった子供を、生活の為に断腸の思いで売りに出す貧しい親も居るだろう。
ここで話を信じ娘を解放して家に返せば、親達は娘の売買金額を丸儲けとなる。
それは正しい行為なのか?その損失を誰が受け持つのか?
その事例は、この娘一人に収まることになるのか?この娘一人を特別扱いする理由は?
様々な問題がある為に、エリーシアは【人拐い】の件は棚上げにした。
「どう足掻いても、お前達は自由にはなれぬ。元の生活には戻れぬ。このまま檻の中で暮らしていたいか?早く死にたいか?」
「暗いし、毎日が恐いし痛いし、ひもじいし苦しい。これが続くなら早く楽になりたい・・・死にたい」
癌の末期患者の様に、死だけが救いである者も少なくはない。
現代日本でさえ、身体に障害や病気を持ち治療もできずに、延命に多額の費用が掛かるので家族に負担をかけたくなくて、自ら命を絶つ者も居るのだ。
この少女達が死を望むのも不思議はない。
「ファイアット。この様な哀れな者を中心に選別をし、楽にしてつかわせ。犯罪奴隷の方は護衛に選ばせよ」
「仰せのままに」
エリーシアは口元にハンカチを当て、馬車に向かって歩きだした。
今回エリーシアは、暗殺ギルドだけではなく、正規の護衛と側仕えを同伴している。
バルドでも、とある都合で奴隷を購入する事があり、出入りが無いわけではなかったからだ。
「今日の外出には、ファイアットが一緒なのね?」
「はい。奴隷市場なら公的な【領内の視察】としても成り立ちますし、ファイアットは相場や商業にも明るいと聞いたのでお役に立てると存じます」
エリーシアが馬車に同乗したマリアナから詳細を聞いていた。
婿養子候補とは言え、未婚の男女が同じ馬車に乗り込むのは芳しく無いために、別の馬車に彼は乗っている。
実際、仮病とはいえ久々に歩く最近の外出は、運動不足のエリーシアには良いリハビリになっていた。
筋肉が付きすぎるのも不味いが、いくら【病弱だった】とは言え、社交界デビューで息切れや倒れるのはバルドの評価にも影響する。
今回はシンシアに連絡をとってもらって、乗り換え馬車は手配していない。
ただ、暗殺ギルドのガズズには奴隷商に話をつけてもらって、融通をきかしてもらっている。
表向きは、エリーシア達バルドは案内人が暗殺ギルドだとは知らない事になっており、事実としてファイアットを含む大半の側仕えと使用人は知らされていない。
下僕の一人が、偶然見付けてきた案内人と言う事になっている。
だが、その様な案内人は客観的には信用がならないので、正規の側仕えと護衛が同行する事になったのだ。
「これが、領地で最底辺の者達かえ?」
「へいっ。は、はい。左様でごじゃいます」
店の支配人が直々に出迎えて答えた。
豪華なコートにフードとマスク。
一応は【高貴な御方の社会勉強】と聞いているが、馬車に刻まれた紋章を見れば、この御嬢様の立場は一目了然と言えた。
「当家にも【奴隷】は居るのじゃったな?見たことは無いが」
「当家に居る奴隷は【犯罪奴隷】が主でございますので、御嬢様に近付ける訳にはまいりませぬ」
奴隷には、娼婦同様に人買いを経由して売られた者や違法に領内に侵入した異邦人などの他に、死刑囚である【犯罪奴隷】も含まれる。
他の奴隷が金額で誰でも買えるのに対して、犯罪奴隷を買えるのは貴族に限られるのだ。
その主な目的は、人を殺した事の無い新米兵士や護衛に人殺しを経験させる為などだ。
【兵士】や【護衛】は、命令や必要に応じて他者を殺さねばならない時がある。
疫病が蔓延した村を、被害の拡散を避けるために処分したりするのも【兵士】の役目なので、無実の者や女子供も殺せる様にならないと兵士としては失格なのだ。
それ故に、練習の為に兵士に殺させる奴隷は【犯罪奴隷】だけではない。
そんな悲惨な者を御嬢様に見せる訳にはいかないのだ。
支配人に通されたホールの作りは明るい娼館といった感じで、違うのは鉄格子と中に全裸で大の字に固定された男女だった。
その身体は洗われ、髭や髪の毛は綺麗に整えられている。
容姿や肉体的にも美しく、健康美に溢れていた。
「ここは臭くないのじゃな?」
「はへっ?」
「いや、奴隷と言えば臭くて醜いイメージを持っていたのでな」
本当は前回の娼館での、お香のイメージが彼女には残っていたのだ。
「そうでしゅたか。この部屋は鑑賞用や愛玩用、娼婦などに相応しい奴隷を取り揃えておりましゅので」
支配人の説明に、マリアナがハンカチで口元を押さえて眉間に皺を寄せた。
「この様な所は、御嬢様に相応しくないかと」
その視線は全裸の男性へと向けられていた。
しかし、当のエリーシアは、あっけらかんとしていた。
「男の全裸など、全ての母となる者が通る道であろう?怯えては貴族の女は務まらんじゃろう」
「確かにそうでございますが、まだ早くはございませんか?」
娼館で男女の全裸の先まで見たエリーシアは、顔を赤らめる事すらせずに周りを見回した。
「しかし、相応しく無いのは確かじゃな。妾は【最底辺の者達】が見たいのじゃ。臭い物に蓋をしたままでは上に立つものとしては視野が狭くなるのでな」
エリーシアの要求に支配人がガズズの顔色を伺い、彼の頷きを見て項垂れる。
その傍らで、エリーシアの配下達は別の表情を見せていた。
「すばらしい。そう思いませんかマリアナ様」
「確かに御立派な事ですが・・」
確かに、この奴隷達ですら【最底辺】では無い。
エリーシアの意気込みは、為政者としては立派だが、まだ幼い彼女には見せたくないと言うのがメイド長マリアナの気持ちだ。
「(エリーシア様は、年齢にサバをよんでないか?確かに御体は十歳のソレだが)」
同行したファイアットが、そう思ったのは無理もない。
「(これが本家の、後継ぎの教育というものなのか?)」
三男である彼は、後継ぎである長男と共に教育は受けれない。
次男は補佐の為に同等の教育をうけられるが、三男がその教育を受けれるのは長男に何かがあった後になるのだ。
主の成長に感動する者、精神面を心配する者。将来の妻になるかも知れない相手に驚愕する者達を引き連れて、エリーシアは地下への階段を降りていった。
「ここはまた、特種じゃな」
「病人はおりましぇんが、あまり近付きましぇん様に」
支配人に案内された地下室はジメジメしており、カビと腐敗臭が漂った暗い場所だった。
中型動物用の小さな檻に、薄汚れた衣服や毛布にくるまった人間らしき者がうずくまっている。
「この奴隷達は、どういった者達なのじゃ?」
「【欠損奴隷】と申ひまして、労働力にもならない手足の欠けたり、精神に問題のある者達でございましゅ。犯罪奴隷ではありませんが、主に騎士様方の訓練用に需要がごじゃります」
この支配人自体も身体に傷があり、顔が少し歪んでいる。
「こやつ等と少し話をしたいのじゃが、良いかのう?」
「そりぇは、ちょっと・・・」
支配人は難色を示している。
「ファイアット」
「はいっ、御嬢様」
「今期の新兵は何人程じゃ?」
「確か十人程かと」
「では、訓練用の奴隷は二十人くらいは必要じゃな?」
「おっしゃる通りでございます」
実際にはストックされている奴隷もいるので、そこまでの数は必要ない。
だが、ファイアットは空気を読める男だったので、エリーシアの意図を汲んだのだ。
今のところ国内外での戦争は無いが、山賊の討伐などでバルドの私兵に死傷者が出ている。
更には高齢で退職する者も居るので、毎年新規の兵士補充が必要となる。
そして新兵には【殺し】の訓練が必要となる。
「では、犯罪奴隷と欠損奴隷を十人づつ買い上げようかのう。支配人よ、品定めしてもよいかのぉ?」
「二十人でごじゃいますか?それはもちろんでごじゃいます」
殺傷用の犯罪奴隷と欠損奴隷は、購入者が限られる上に高値での取引ができないが、維持費はそれなりにかかる。
その割りに次々と増えていき、二束三文でも奴隷商に売り付けていく者があとを絶たない。
支配人としてはソレを大量購入し、その為の品定めとなれば断る理由が無いのだ。
エリーシアは、欠損奴隷を幾人か見て回り、失った腕の包帯がまだ赤い少女に目をつけた。
「お前は、何故ここに居る?」
「・・・山菜取ってたら・・・山賊に拐われて、逃げようとしたら斬りつけられて・・・」
「人拐いかえ?」
このエリーシアと少女の会話に支配人が割って入った。
「御客様、奴隷の言うことをマトモに信じちゃいけましぇんですだ。コイツ等は逃げ帰る為にゃ平気で嘘つきましゅですから」
「そうじゃな。お前等も金を払ったのだしな」
例え少女の言う話が本当でも、奴隷商人の損失を誰が保証するのか?真実の調査を誰が行うのかなどの問題がある。
現実的には、事故などで腕を失い労働力として使えなくなった子供を、生活の為に断腸の思いで売りに出す貧しい親も居るだろう。
ここで話を信じ娘を解放して家に返せば、親達は娘の売買金額を丸儲けとなる。
それは正しい行為なのか?その損失を誰が受け持つのか?
その事例は、この娘一人に収まることになるのか?この娘一人を特別扱いする理由は?
様々な問題がある為に、エリーシアは【人拐い】の件は棚上げにした。
「どう足掻いても、お前達は自由にはなれぬ。元の生活には戻れぬ。このまま檻の中で暮らしていたいか?早く死にたいか?」
「暗いし、毎日が恐いし痛いし、ひもじいし苦しい。これが続くなら早く楽になりたい・・・死にたい」
癌の末期患者の様に、死だけが救いである者も少なくはない。
現代日本でさえ、身体に障害や病気を持ち治療もできずに、延命に多額の費用が掛かるので家族に負担をかけたくなくて、自ら命を絶つ者も居るのだ。
この少女達が死を望むのも不思議はない。
「ファイアット。この様な哀れな者を中心に選別をし、楽にしてつかわせ。犯罪奴隷の方は護衛に選ばせよ」
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